2005年07月31日

「帰郷」

西島秀俊が好き。そして予告編で泣きそうになった。見に行った理由は多分それだけ。でも、良かった。最近の邦画は何だかいい感じな気がするんだよね。ハリウッドが得意とする映画はハリウッドが撮ればいいし、日本は日本で撮れる映画を撮ればいい。そこにただある、普通の日常の一場面、そんな感じの映画を見るとほっとする。

東京で働く男が、母親の再婚を唐突に葉書で知らされ、結婚式に故郷へ戻る。そこで初恋の女性と偶然に再会するが、彼女の言動から、彼はその子供が自分の子ではないかと思い始める。そして、彼女は昔と同じように唐突に彼の前から姿を消した。子供を置いて……。

この話って、西島くん扮する主人公の成長物語なわけだけど、当然の如く私は女なので、彼に感情移入することはできない。同じように故郷を離れ、淡々とありふれた日常を過ごし、時々ふと過去をふりかえったり、忘れてしまったり、そしてもうそんなに若くない。そういった部分においては、30歳をとうに過ぎ同じような環境にいる人間として、ものすごく共感できるし、切ない。でも、未練とも単純(!)ともとれる彼の行動については、さすがにちょっと理解できない。いや、どこにでもいる男性だとは思う。そしてそこからの成長がテーマなわけだから。私としては、主人公を振り回しているとしか思えない初恋の女の行動もどうかと思うけど、確かにああいったタイプの男性を前にするとそうなるかもなあ、というか。そんな忘れてしまいそうな昔のことを、「あれは何だったの?」「どうしてなの?」「ねえねえ」と子供みたいに聞かれても確かに困るわな。もうお互い、いい大人なんだし。

だから、これは割とリアルな話だと思うし、見ているこちらとしては何となく照れくさくて、少し俯きたくなるよな、そしてちょっとほろ苦い気分になる。恥ずかしい、というのもあるかもね。

今回の西島くんて、割と子供っぽくて真っ直ぐで、一歩間違うとダメな男性役なんだけど、すごく自然に演じていて、実は素なんじゃないかと思ってしまうほどだった。やはりいい役者だよね。主役でも脇役でも、存在感があって。もちろん主役ではない時は、主役をくってしまうよなことは絶対なく。今年はまだまだこれから西島くんの出る映画目白押しだから、非常に楽しみ。

この作品、どちらかといえば地味だと思うけど、30代男女に見てもらいたいな。多分、10代・20代前半でこれを見ても、感じるものは少なかったと思う。そういう作品、最近増えたような気がするんだけどね……(遠い目)

投稿者 kaori : 13:08 | Comments (0) | TrackBack

「交渉人 真下正義」

言わずと知れた「踊る大捜査線」のスピンアウト作品。
「おーだーゆーうーじー」と前面に押し出されないかわりに、登場人物それぞれの個性がそこかしこで光っていて面白い。(但し、織田裕二の青島刑事は好きですよ。カッコいい男の人は好き:笑) ユースケ・サンタマリア演じる真下は、どこまでいってもやはり真下なのでサスペンスものだというのに、微笑ましくていい感じ。緊張ばっかりしてても、ね。

東京の地下鉄の管制システムと試験車両が何者かに乗っ取られ、その車両は地下を縦横無尽に動きまわる。しかも車両は無人。さらに爆弾もしかけられているやもしれず、テロの恐れもある。そこで借り出されたのが、真下。クリスマスデート予定が入っているから早めに解決してしまいたい真下、だが……。

この際本筋についてはどうでもいい(笑) きっとそのうちDVDになり、そして地上波で放送される。「踊る大捜査線」が好きな人が見たら面白いに決まってる。青島は出てきませんけどね。皆、楽しんで作ったんだな、ということが良くわかる、(ストーリーとか作りとかそういうものは脇に置いて)とてもいい映画だと思ったですよ。

それより何より、やっぱ私、地下鉄ものって好きだわ(笑) 正確に言うと制御室とか時刻表とか線引きとか! 刑事より絶対カッコいいですってー。以前、「TUBE」の感想でも書いたけど、たまりません。涎でそうです。事故を回避する為の作戦やら、あの一瞬の緊張感やら、もう……(以下略) ま、今回は半分コメディですからね。緊張感ばかりでなく笑いもしっかりとりますけど、もっとこういう地下鉄制御室舞台の映画とかってないのかな。見たい。あれば誰か教えて(笑)

さて、もうすぐスピンアウト第2弾「容疑者 室井慎次」が公開になるわけですけど、これの予告編がまた腐女子心をそそります。んもー。(←いい加減にしろって:笑) いつものように眉間に皺を寄せた室井、雨に濡れた室井、そしてとどめの「青島、約束は果たせそうにない……」(ちょっと違うかも)というテロップ。きゃー、もー。「交渉人 真下正義」を見た時の予告編はこんな感じだったんだけど、先日見た予告編では、田中麗奈ちゃんの「室井さん、私には笑ってください……」(やはりちょっと違うかも)って言葉が入ってて、いやいやわかるよー、麗奈ちゃん、とか訳の判らないことを思ってたりして、既に相当壊れてます。ぜえぜえ。

あ、思い出した。前回、「踊る」の「レインボーブリッジを封鎖せよ」の時、小泉孝太郎がどの役をやってるのかちーっとも判らなくて、どうなることかと思ったのだけれど、この作品では随分といい感じになってきてる気がするですよ。少なくとも、とーちゃんよりはキミに頑張ってもらいたいよ、私は。(いや、特に好きなわけじゃないけど、捨て犬みたいな気がするんですわ、何故か:笑)

投稿者 kaori : 12:10 | Comments (0) | TrackBack

「甘い人生」

何故にこんなにアクションシーンが……。
スーツ男子萌えのわたくしとしましては、黒のスーツに身を包んだイ・ビョンホンの冒頭におけるアクションシーンは、相当きまくっていたわけですが(笑) カッコ良すぎです。素敵です。

話はいたって単純で、本人としてはそこまで目くじら立てられると思ってもみなかったミスで、ボスにひどい仕打ちを受けたことに対する復讐劇なわけだ。但し、そこにボスの女なんかが絡んでくるから、ラブストーリーと勘違いしそうになりますけど、実は違うなー。もちろん、彼女に恋心を抱いていたのは確か。でも、それと復讐は全く別物というか。

んまー、それにしてもドンパチドンパチ。銃声とか誰かが誰かを痛めつけるシーンばかりが連続して、何かストーリーとして一体どうなのかという気分にさせられましたって。あそこまで徹底抗戦することになった原因が……どうにも弱すぎて何というか。信じていたのに、裏切られた、くやしー。ただそれだけのことなのに、何かわかりにくいなあ。ラストもわかりにくい。確かにさ、ちょっと切なかったりはするけれど、そこまで「a bettersweet life」とかタイトルつけるほどのことでも、ない、と……。もちろん、「甘い人生」は論外だと思われ。

確かにビョン様はカッコいいですよ。哀愁漂う姿にはうっとり。でも、それだけ。何か残念だなぁ……。そういえば先日新幹線でお隣に座った映画配給会社のおじさまには、「人に見たと言う映画じゃないな。見てもいいけど黙ってた方がいい」っつー、厳しい評価を下されております(笑)

投稿者 kaori : 11:46 | Comments (0) | TrackBack

2005年07月27日

「マルチュク青春通り」

クォン・サンウ、そろそろ高校生の役は厳しくないかい? 確かに(表情によって)顔は可愛らしくて甘い雰囲気を漂わせてはいるけれど、一度上半身を見たら呆然としますよ。こ、こんないい身体してる高校生っておるんかいな!と。ま、そりゃいるとは思うけど、あまりにもアンバランス。おまけにヌンチャクとか操っちゃうし、ブルース・リーだし。まるでコスプレ映画ですよ(笑) 「恋する神父」は、神学生コスプレ(笑)

ひとことで片付ければ、高校生の男の子達の友情・恋愛・喧嘩フルコースの青春物語。しかし、男の子達の青春ってこんな感じなんですかね。女子高だった私にはわからないなぁ。恋はともかくとして、こんなにしょっ中喧嘩してんの? 今の日本だったら、血まみれの喧嘩なんてしたら即警察沙汰になりそうだ。昔は違ったのかしら? もちろん映画の舞台である韓国の時代背景とかもあるんだろうけど。

「本当に強いヤツは、喧嘩をせずに勝つ人間だ」とか何とかそんなニュアンスのことを、サンウの友人役が言うシーンがあって、おー、確かにそうだよそうだよ、逃げじゃなくてな!なんて納得してたんだけど、結局最終的には喧嘩するんだな。やれやれ。PG-12指定されるだけあって、半分以上は喧嘩喧嘩の流血シーン。友情物語としても、恋愛物語としても、成長物語としても、何だか全てが中途半端な感じがして、すっきりしない気持ちで映画館を後にしたのでした。うーん、いまいち。確かに「残酷通り」だったわ(笑)

投稿者 kaori : 00:11 | Comments (0) | TrackBack

2005年07月26日

「逆境ナイン」

先日小耳に挟んだのだけれど、これって評判ええんですか? いえね、私は原作を全く読んでいないから、元々がどんな雰囲気の作品なのか、どの程度原作に忠実でどこからアレンジされているのか、実写になって演じている役者は原作のキャラに合っているのかとか、良くわかっていないのです。ただ、映画ですらここまでバカバカしいのだから、マンガの方はもっとすごいんだろうな、という想像だけはできる。とんでもないやり過ぎ映画です、これ。

同じやり過ぎでもハリウッドのそれ(チャーリーズ・エンジェルとか)と違って、どんびきしてしまう危険と完全に薄っぺらな書道紙一枚で隔てられているというか何というか。確かに見ていておかしいから笑うのだけれど、心から笑っているのは3割程度で、残りの7割は笑っている自分は一体何なんだろうと思わず観察してしまう感じ。呆れていると言ってもいいかもしれない。

何事も全力をモットーとする高校にあって、試合に全く勝つことのできない弱小運動部である野球部は廃部の危機にさらされていた。「逆境」が口癖のキャプテンは、甲子園出場を校長に約束することで廃部を先延ばしにすることに成功する。しかし、口だけではとっとと廃部になってしまう。そこから部員達(9人こっきりと女子マネ1人しかいない)の猛練習が始まるのだが。次々と野球部に(キャプテンに?)降りかかる理不尽な逆境の数々。そして、逆境だけではなく、強豪野球部達も彼らの前に立ちふさがる。果たして彼らは甲子園に行けるのか?

「カンフー・ハッスル」じゃないけど、これも「ありえねー」。
でも、役者達が妙な個性を発揮していて、芝居というより実は素じゃないのか?と疑いたくなる。恥ずかしげが全くないというか。そういう意味で言うならばやはりいい作品なのかもしれないねえ。やり過ぎを楽しんで演じられるのは確かにすごい。だって、この映画は元々そういう性質のものなんだよね? 演技とか期待しちゃいけないというか、思い切り突き抜けてくれないとあかんわけで。だけどなー。玉山鉄二くんよ、キミええんか? この役はものすご~くはまり過ぎやで? ナルシストだし、勘違い男だし、妙に暑苦しいし、二枚目なだけに救いようがない。今後に影響しないといいけど。遠くから祈っております。

しかし、あまりのバカバカしさにラスト近くで不覚にも、少々感動して涙ぐんでしまいました。いえ、これはマジメに。……とっても悔しい。

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2005年07月25日

「姑獲鳥の夏」

見ないだろうな、と思っていたのに結局足は映画館へと向いてしまった。半分後悔。言葉で、想像力で、不足なくカタチづくられていた物語の世界を、何故に映像でまでみたいと思ってしまうのか。十分満たされているはずなのに、さ。別に活字至上主義なわけでは決してないけれど、映像が活字をこえることができるなんて、本当に少ないと思う。いや、活字の世界というより脳内想像の世界をこえることが難しいというか。自分の中で完全に完成していた世界があるのに、他者がその理解によって作り上げた世界を映像として提示されて、自分の想像を補完することができるのかどうか。「あー、違うなー」って思っちゃうこと、多いんじゃないかな。だからね。見ないでおこうと思ったんだ。

大学時代に(卒論書いている時に嵌ってしまって大変な目にあった)このシリーズを読み始め、ひとつ残らずお買い上げ~って感じなので、最後のオチもしっかりわかっているし、その謎にいきつくまでの過程も知っている。だから、ただのミステリーとして謎解きなんかで楽しむことができない。結局、俳優さんの演技や映像が、いかに原作の雰囲気を壊していない「忠実な」再現なのかというのを確認する作業に終始してしまうことになる。もちろんあんな分厚い本をたった2時間程度に仕上げるわけだから、割愛される場面だってたくさんあるだろう。けれど、どれを拾ってどれを捨ててどうすれば雰囲気をそのままに、原作を知らない人にもわかりやすく見せることができるのか、というところで今回のはどうなんだろうなぁ、と。

配役については微妙。私の想像の中では、登場人物に顔がない。誰か特定の人物を、あてはめて考えてみたことすらない。唯一、京極堂を除いては。やー、やっぱ京極堂は作者である京極夏彦が(笑) だから誰がきても「イメージと違う」とはならないはずだったんだけど。しかし、木場修はちょっとなー。宮迫が木場修って。うーあー。意外だったのは、永瀬正敏。彼はやっぱすごいねえ。確かに彼は割とダメな男役多いんだけど、今回の役は相当毛色が違うと思った。だけど、普段からは想像できないダメっぷりをいかんなく発揮していて、手っとり早く言えば、オーラが見えない、という。どんなダメ男役でも、いい男光線が出ている人がいるけど、それだとあかん場合もあるよね。で、今回がそんな感じ。ホントにダメじゃないといけないんだけど、永瀬くんの関口はホントにダメそうだった(笑)

結局、物語を知っている人にとっても、知らない人にとっても中途半端な感じ。どうなんですかね? 読んだことがない人は一体どんな感想を持ったんだろう。相当気になります。続き……次回作は作られるんですかね? 個人的には「姑獲鳥の夏」はあまり好きではないので、見られるとしたら次回作以降を期待したいかも。一番好きなのは「絡新婦の理(じょろうぐものことわり)」なんで、そこまで何とか辿りついて欲しかったりする。さて、どうなるんですかね。

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2005年07月23日

「運命じゃない人」

いつ書くかわからないという過去の映画感想ですが。
ちょっとこれだけは早めに書いておかないと、後で後悔しそうなんで。ええ、わたくし個人としては友人達に絶賛宣伝活動中です。見てほしー。それなりにヒットしてくれないと、もしかしてこの監督の次回作見られないかもしれないぢゃん!(笑)

ミーハー一直線の私ですから、カンヌで話題になるまでこの監督の名前すら知らなかったわけですけど。さらに言えば映画館で予告編を見るまで見る気もなかったわけですけど。いやはや。すんません。めっちゃ面白かったです。久々に夢中になったですよ。もいっかい見てもいいなあ。最近、邦画の方が好きな私ですけど、特に良かった。何がいいって、脚本と構成。これ命。30歳超えた男女の耳に痛い名言(迷言?)もあり、苦笑しつつ含み笑いが随所に(笑)

おそらくタラちゃん(タランティーノ)との影響とか言われるんだろうけど、でもなんか単に真似っ子ってわけでは全然なくて、気負ってなくて(いや、多分そんなことはないだろうけど)、適度な脱力具合が何とも。そして、神田勇介(役名)いいっすねえっっ。すごい好き好き。山中聡じゃなくて、あくまで神田勇介。軽そうに見えて人情に厚くて、でもお金に対する執着もきっちり持ってて打算もできる、でも割と誠実。私もあなたみたいな男好きですよ。あっはっは。

ええと、そんなことが言いたいんじゃなくて。
たった一晩の出来事を、時間軸と場面と登場人物でいぢり倒してできた物語といった感じかな。導入部分は至って単調な「気がする」んだけど、後半になるに従って加速的に面白くなる。そうすると、単調に見えた前半部分を思い起こして笑えてくる。キャスト? 全然悪くないっすよ。だいたい主人公がカッコ良かったら成り立たないもの、このお話。

あまり良かった良かったと言ってると嘘っぽいな。ひとつだけ気になったのは、編集、かな。意図してやってるのかもしれないけど、何回かスクリーンの世界から呼び戻されてしまった瞬間あり。でも、それは今回たいした問題ではなかった。それくらい……(以下略) ……ネタバレできないしな。これ以上は書けないけど、ホント面白いので興味がありましたら是非。

投稿者 kaori : 02:49 | Comments (0) | TrackBack

「恋する神父」

「恋する神父」見てきました。
日記がストップしている間に、ちらほら映画を見ているわけですが、感想はまた後日。いつ書くのかという突っ込みはなしね(笑)

混んでいるという話を知人から聞いたので、たまたまお休みだった今日行ってこようと思ったわけですが、夜20時半だというのにたくさんいらっしゃいました。ええ、女性ばかり(笑) 一応座れたし、前の座席との間が比較的広い劇場なので通路側でなくてもそれほど足も苦痛ではなかったし、良かったかな。

ストーリーそのものは良かったと思うですよ。笑わせてもらったり、ほろりとさせてもらったり。恋はいいですね(笑) いや、この映画の場合だと愛か。何て言うかなあ。普段色々なことを斜に構えたり、強がったりして生きていると、どこかで破綻が生じてくるもので、近頃心がすさんでいるなと思うことしきり。高校生の頃はカトリック系女子高に通っていた私ですが、神様を心から愛するとかは勿論理解不能。そして、人を好きになったことがない神父さんはどこか信用できない。そんな私の実家は浄土真宗(笑) またまた勿論仏教を信じているわけでもないですけど。

いつもめそめそしているのは考えものだけど、素直に流す男の人の涙は嫌いじゃないです。いいなあ、切ないなあ。ここにいない誰かを想うということ。ドキドキというよりも、静かに自分の気持ちを考えてみたり。

それにしても、若い神学生姿はストイックで魅力的ですな。
オチは気に入らなかったけれどもさ(ここ重要:笑)

投稿者 kaori : 02:25 | Comments (0) | TrackBack

2005年06月17日

「美しい夜 残酷な朝」

香港・韓国・日本、それぞれの監督が撮るホラー(スプラッタ)のこれまたオムニバス。実は、私、ホラー&スプラッタ、相当苦手なのね。なのに、何故劇場まで見に行ってしまったかと言えば、イ・ビョンホンが出ているということとタイトルに惹かれたから。そして、DVDになったら絶対に見ることはないだろうと思ったから。んな怖いもんを、わざわざひとりの部屋で見たいもんか!(笑)

でもね、予想以上にあかんかった。近年稀に見る気持ち悪さ。まあ、長谷川京子と渡部篤郎コンビの「BOX」は確かに綺麗だった。これはどちらかと言うと気持ちが追い詰められるタイプの話だから我慢はできる。でも、韓国の「Cut」は……。笑える部分も多いけど、前編すぷらった~といった感じで(それほどでもないのかもしれないけど、私はあかん)、さらには相当理不尽モノだ。後味も悪いし。見終わった後、げっそりしてしまった。

しかし、それより何より香港だ。やっぱり香港はすごいよ。「dumpling」。餃子、ですね。若さと夫の愛情を取り戻したい元女優が、謎の女性が作る特製餃子に辿り着く。費用によって餃子の中味もかわり、若返りの効目も変化する。中味が何で出来ているのかが謎なのが不安な気持ちを煽る。謎の女は台所で餃子を作り続けている。元女優はとうとう餃子の中味を知ってしまうのだが……。

やー、もー、この映画を見る直前まで、「餃子スタジアム」で餃子食べてましたって。思わずぎょっとしてしまいましたよ。こわーい。何が怖いって、美と若さに対してあくなき執着を持つ女が怖い。(って、自分も女なんだけど、だから余計怖い) 驚愕の事実も、あっさりと飛び越えていくその姿は、何とも言えない。そして、その欲望に対してそれを商売の道具にしてしまう女。あー、ほんっとに女って怖いよー。わー。幽霊とかね、そんなんより生きてる人間のが絶対怖い。ぶるぶる。それに餃子の中味、気持ち悪い……。

この「dumpling」に関しては、ストーリーがまたちょっと違う長編バージョンが香港で上映されていたらしい。DVDには収録されるんだろうか。怖いものみたさというか何というか、相当気になるのです。

投稿者 kaori : 23:54 | Comments (0) | TrackBack

2005年06月16日

「愛の神 エロス」

平日の夜とはいえ、人、少なすぎ。私を入れて4名。途中でひとり帰ったから最終的には3名。どういうこっちゃ。

エロスをテーマにしたオムニバス。3人の監督による3つの作品なのですが。ひと口に「エロス」と言ったって、描くものは三人三様。ああ、と納得するものもあれば、私には今ひとつ理解できないものもあり。ウォン・カーウァイ監督の作品が目当てで見に行ったのだけど、やはり何というか残りの二人の監督(と言っては失礼なのかもしれないが)のエロスは、いまひとつぴんとこなかった。自分はやはりアジアの人間なんだと、ここまで実感したことがこれまであっただろうか。(いや、ない:笑)

仕立て屋見習の青年が、高級娼婦の担当になるところから話は始まる。青年は次第に腕をあげていくが、娼婦の側は次第に落ちぶれていく。しかし、青年はどこまでも彼女に服を仕立て続け……。

青年と娼婦は結ばれるわけでは決してない。何らかの関係が生じるとすれば、常に彼女からの一方的な行動によるもの。しかし、それも最初と最後では彼女の気持ちも全く違ったものになっている。彼女は青年をどう思っていたのか。かたや青年が抱く彼女への気持ちは恋なのか愛なのか、それともただの憧れなのか、はたまた感謝の念なのか、どこまでも曖昧で不確かだ。触れそうで触れない、重なるようで重ならない、何ともその微妙な関係にぐっときてしまう。例えばベッドシーンなんてなくても声や言葉や手、風景だけで何かが伝わる感じ。ウォン・カーウァイ監督のこれまでの作品で言えば、「花様年華」のような雰囲気。青春恋愛映画(「恋する惑星」とかさ)もいいけど、そろそろこういうしっとりとした作品をもっと見たいですねえ。

それにしても、やはりコン・リーは女王の風格。映画館に実際に彼女が撮影で着ていたドレスが飾ってあったのだけれど、あんなほっそいウェストの服よう着れますね(笑)

まずトップがこの作品だったのだけれど、これが終わった時点でひとり出ていった。今思えば私も出て行けば良かった。それくらい残りの作品がこう……。あまりにストレートなもの(多分その中に色々と表現したいものがあるのはわかるんだけど)に、今いちエロスを感じられないもの(これも、どこが、というのは頭ではわかるのだけれど乗り切れない)が続いて、最後には「うーん」。まあさ、土地柄ってものがあるから、西洋で香港みたいな作品撮っても、相当あかんとは思うのだけれどね。やっぱね、内に秘めた何か、というものが見え隠れする程度のものが好きなんだな。(だから、インファナル・アフェアのハリウッドリメイクは、全く別物になるだろうなー、という予感)

そんなわけで、全体を通すと評価に悩みます。ウォン・カーウァイ監督のは好き。でも、これは趣味の問題になっちゃうのかな、やはり。

投稿者 kaori : 23:51 | Comments (0) | TrackBack

2005年04月07日

「バンジージャンプする」

ビョン様ことイ・ビョンホンと故イ・ウンジュ(ともうひとりの)のラブストーリー。
ほとんど予習なしで(大枠のストーリーは知っていたけれど、話題となった部分なんかは全く知らずに)映画館に向かったから、内容を見てなるほどこれは若干衝撃的かもねえ、と。

雨の日に突然自分の傘に飛び込んできた女性にひとめ惚れする主人公。おくてな彼だが、彼女との関係は順調で幸せな日々。しかし、その関係はある日突然理由もわからないままに断ち切られてしまうことになる。17年後、高校教師となっていた彼は、担任クラスに在籍するひとりの生徒から目が離せなくなっていた。

ラブストーリーならばゴロゴロと転がっているよな、恋人どうしの間で頻繁に囁かれる常套句(「生まれ変わってもあなたを必ず見つける」「あなたしか愛せない」などなど)を用いた輪廻転生ものと言ってしまえばそれまでなんだが。ちょっと普通と違うのは、再びめぐりあったその相手との関係が世間的にきちんと認知されるにはまだ少々時間のかかるものであったこと。自分に妻子があるのは、17年もたてば普通にあるだろうからそんなのはどうでもいい。ここでは、突然関係が断ち切られ、だからこそ忘れることができないという感じで描かれているけれど、それほどまでに思う相手であれば、同じ大学だったわけだし探そうと思えばいくらでも探せたわけだ。真実を知ることは容易だったと考えれば、彼は全てを知った上で結婚して今に至っているはず。ただずっと彼女のことをどこかに残したまま。

だから彼の苦悩は、相手が自分に気づいてくれないという苛立ちと、許されない(と主人公が、そしてこの映画にかかわっている人々が思っている)関係であるという2点なんだろうね。後半は主人公の苦悩と、相手が彼女の生まれ変わりであるという根拠をひとつひとつ提示していくだけで終わってしまった感じ。一応ハッピーエンドなんだけれども、誰にも祝福されていないというのが語り口からありありと感じられて、何だかどんよりした気分になってしまう。何だかな。そこまでタブーですかね、と。もちろんそのタブーについて描きたかったわけじゃない、というのもわかるけれども、何だか素直に受け止められない感じだ。

ビョン様は、やぼったいカッコもなかなか似合っていて、彼を鑑賞するだけのつもりなら、まあまあでしょう(色男の設定じゃないからさ)。次回の「甘い人生」(英題は「a Bettersweet life」だよね。「Better」はどこいっちまったんだよ)に期待。

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2005年04月06日

「恋の風景」

病死した恋人が死の直前に描き拘っていた景色を求めて青島にやってきた主人公は、実在するのかどうかわからない風景を地元の郵便配達の青年と共に探し続ける。次第に青年に惹かれていく主人公だが、恋人が幼い頃に生活していたその場所で恋人を忘れていく自分を彼女は許せない。

主人公の女性はとても儚げで、恋人をなくし過去にとらわれている役柄にとてもぴったりきているが、それより何よりも郵便配達の青年だ。「山の郵便配達」でやはり郵便配達役だった彼が、傷心の彼女を見守っていく姿はとても優しい空気に包まれていていい。彼女が恋人に執着する姿に、時折嫉妬する姿さえ可愛らしく、そして切ない。すごくルックスがいいわけではないけれど、とても好感が持てるし、ファンになりそうだ(笑)

郵便配達の彼は絵本作家志望なのだけれど、彼の書く絵は「ターンレフト・ターンライト」原作者であるジミーの作品が用いられている。何だか最近あちこちで目にするような気がするけど気のせいかな? 何というか、某放送局○HKっぽい。嫌いじゃないけど、どこか気恥ずかしいというか。

一言で言ってしまえば、きっとラブストーリーなんだろうけれど、なくしてしまった人を想う静かだけれどやりきれない気持ち(なくなった恋人の日記を毎日書き写すんだよ! これって結構怖いと思う)と、恋のはじまりのやわらかい部分が丁寧に描かれていて、それらが混ざり合って何とも言えない気持ちになった。主人公ふたりはすれ違いそうで、でもきっとこの結末はハッピーエンドなんだろう。最後まで郵便配達の青年は、とてもとてもあたたかかった。

しかし、ジミーの絵がそこに存在するだけで、何故かおとぎ話っぽくなっちゃうのは一体……?

投稿者 kaori : 23:11 | Comments (0) | TrackBack

2005年04月05日

「天上草原」

母親に捨てられ、父親は刑務所。挙句親族をたらい回しにされた町の子供が、父親の出所までの期限付きで、同じ刑務所を出所した男の元に連れてこれらる。人を信じられず言葉も話さなくなっている彼は、男や男の家族達に猛烈に反発しつづけるが、町とは違う大きな自然と家族の愛に包まれ、次第に心を開いていく。それと同時に、家族が抱えていた問題も少しずつほぐされていき---。大人になったかつての子供が、人生の一時期を父母と呼んだ彼らとの暮らしについて振り返る。

中国は内モンゴル映画。雄大な草原に自然がものすごく美しかった。物語もさることながら、素直にちょっと行ってみたいと思わせるその景色だけで相当癒される感じだ。それにしても、今でも草原部では放牧的な暮らしをしているんだろうか。社内にいる内モンゴル出身の男の子達に聞いてみると、今では定住しているという返事が返ってきた。彼らは都会の子なんだろうか。

民族衣装だったり、生活様式だったり、私には目新しい知らない世界が広がっていてなかなかに興味深かった。映画そのものは、普通に「ええ話や」といった感じ。言葉を話すことができなかった子供が、心から湧き上がるものを声にするクライマックスシーンは良かった。あと、モンゴル語を普段話さない子供の語り(もっとも、大人となった子供(何か妙な日本語だが)が語っているわけだけど)は漢語で、父母の話す言葉はモンゴル語となっているそうで、それは芸が細かいなあと思うわけだけれど、漢語もモンゴル語も全くわからず、全てを字幕のみで理解している私にはその芸を実感することが出来なかったわけだけど(笑)

投稿者 kaori : 23:14 | Comments (0) | TrackBack

2005年02月02日

「約三十の嘘」

何故見に行ったかって、そりゃミーハーだもん、キャストが豪華だったからに決まってんじゃん(笑) あとタイトル(「約三十の嘘」)。ええええ、浅はかな女ですよ、私は。椎名桔平・中谷美紀・妻夫木聡・田辺誠一・八嶋智人・伴杏里(彼女はどうでも良かったけど)、そしてストーリーはと言えば、全て列車の中だけで事件が起こるという設定。それだけで十分面白そうじゃないですか。……と思ったら、舞台が先なのね。言われてみれば、確かに舞台っぽい。

昔の仕事で起こった裏切り事件をきっかけに崩れてしまった詐欺師チーム。チーフだった男は随分とかつての面影を伺うことすらできないほどダメダメになっており、今では「のど飴依存症」。ところが、メンバーのひとりが再びチームで仕事をしようと呼びかけ実行に移すところから物語が始まる。しかし、集まったメンバーの中には、かつての事件で共犯と疑われていた女も含まれていた。
まんまと詐欺を成功させた彼らだったが、稼いだ7000万円が帰りの車中から忽然と姿を消してしまう。裏切り者は誰か。それぞれの思惑の中で、疑心暗鬼になる6人の詐欺師達……。

椎名桔平、いい男だなぁ。妻夫木くんも可愛い。当然、中谷美紀は素敵だし。つまり、それぞれの役者さんの持ち味が引き出された作品であると思う。話のメリハリもついているし、だからテンポも良くて列車内だけの舞台でも、それほど飽きさせることはない感じ。が、欲を言えばもうちょっと広がりがあっても良かったかも。せっかくこれだけ豪華な役者さん使っているんだし、それぞれの人物を少し深く掘り下げて欲しかったりとか。

消えたお金をめぐり裏切り者を見つけるというストーリーは表向き(?)で、ホントはラブストーリーというか友情というか信頼関係というかそういうものに重きを置いているところが面白い。(詐欺師だって言ってるのね:笑) もしかするとそのあたりがつまらないという人もいるかもしれないけど、私は好き。盗みとか裏切りのテクニックとかそういうのがメインじゃなくて、群像劇なんだよね? これ。
誰がメインということもなくそれぞれに見せ場があるのだけれど、やっぱり椎名桔平なんでしょうかね。結局は、チーフの立ち直り物語なわけだしさ。「のど飴依存症」で、途中までほんっとにやる気のなかった彼が、後半部分的に豹変するわけだけど、もうねー、かっこいいとしか言いようがございません(笑) そら、男を手玉に取る女も本気になりかけるわさ。だけど、伴杏里はちょっといただけないかなぁ。オーディションで決めたってホント? 他のメンバーの中に彼女だけ思い切り埋没してしまっている気がしたのは、おそらく私だけじゃないはずだ。中谷美紀の向こうをはって、男達を手玉に取る女にしてはちょっとインパクトが弱すぎる気がするんだけど、現実として最終的に男を落とすのはああいうタイプの女性なのかもしれないとか、何故だか頭を抱えてしまう私ではありますが。でもやっぱり、中谷美紀でしょ。最後に笑うのはああいう女性だと思いたい。ラスト近くの中谷美紀と椎名桔平のからみ。女の私でさえ、涎でそうだった!(笑)

それから、クレイジーケンバンドの音楽が、計16曲(だっけ?)使われているそうな。それぞれの役者さんやら場面によって使い分けられているらしい。音楽が彼らなのは知っていたけど、ストーリーを追かけるのに必死でそこまで注意してなかった。(だから、ミーハーだっての:苦笑) DVDを買った暁には、きちんともう1回見てみよう。

関係ないけど、今回の椎名桔平の役どころ。あまりにも知人にそっくりで、それがツボにはまってしまった。顔がやや似ているところもさることながら、態度とかまさしく彼!といった感じでにやにや。いるよなこういう人。普段はへらへらとした感じで掴みどころがなくて何考えてるか判らないけど、全部わざとでホントは切れるってタイプ。

渋谷での公開はもう終わっちゃうけど、普通にオススメ。

投稿者 kaori : 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2005年02月01日

「故郷の香り」

タイムリーにも現在「救命病棟24時」にて医局長役の香川照之が出演している中国映画「故郷の香り」。監督は、「山の郵便配達」と同じフォ・ジェンチイ。

とある小さな田舎の村から、北京の大学に進み、そのまま就職(公務員)したた男(井河:ジンハー)が10年ぶりに村へ帰省してきた。偶然にも初恋の女性と再会するのだが、彼女(暖:ヌアン)には耳の不自由な夫と子供がおり、当時人気者だったはずの姿は見る影もない程に老け込んでいた。そして彼は、10年前の日々の記憶を辿り始める。過去の物語と現在のふたりの交流が交互に語られ、こちら側が疑問に感じている事柄に対してひとつひとつ回答が示されていく。と、そして彼女に一途な思いを寄せつづけた彼女の夫。その3人の過去と現在が、どこか懐かしい風景の中で交錯する。

香川照之は、暖の夫役。耳が生まれつき不自由で、言葉を操ることができない役柄の為、台詞らしい台詞はなく手話のシーンが多いわけだけれど、完全に主役を喰ってしまっていると思ったのは、私の贔屓目かしら。ひとりブランコに乗る姿や、うまく気持ちを伝えることができないもどかしさ、嫉妬、そして彼女がどうなっても変わらずに向ける優しさ、自分の妻となり娘までもうけた今ですら、男と妻の間に入れないことに対する苦悩などが痛いほど伝わってきて、井河が暖に向ける愛情(っつうか、恋心だな)よりもよほど胸を打つ。

それぞれが(忘れることができないがゆえに)忘れたと思ってきた過去を後悔し、振り返り、贖罪の気持ちを胸にまた歩いていくしかできない。同じ過ちを繰り返すかもしれないのに。だから、ラスト近くに男が主人公が暖の娘に告げた言葉は自己満足でしかない気がして好きになれないけれど、自分に思い当たるふしが全くないとは言い切れなくて、それが尚一層憂鬱な気持ちにさせる。贖罪なんて意味があるのか。何もかもが今更でしかなくて、選べる現実は既にもうひとつしかないというのに。

ところで、この手の中国映画の風景は、どれも本当に良く似た雰囲気を持っていている。もちろん同じ監督が撮っているわけだから、「山の郵便配達」と似てくるのはまだわかる。けれど「初恋のきた道」とも、非常に良く似てると感じるのは私だけかしら。

香川照之、ほんと良かった。というか、おいしい役だったかもしれない。話の内容から、若い子が少ないのも頷ける。そして、その程度には私も歳をとったということかしらね。

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2005年01月24日

「オーシャンズ12」

ジュリア・ロバーツも寄る年波には敵わない。随分と老けた気がする。見ている私が麻痺してしまっているだけなのかもしれないけど、あまり美しくなかった感じ。演技力云々は脇に置いておいて、スクリーンの中の紅一点にしては華に欠ける。あるいは作り手側もそれを自覚して、若返りを目的にキャサリン・ゼタ=ジョーンズを投入していたりして?(笑)

前作「オーシャンズ11」で、ラスベガスからまんまと大金を盗み出したオーシャンら11人の大泥棒達。カモとなったベネディクトは盗難保険でお金が戻っても納得をしていなかった。タレコミから11人の居場所を突き止めて返済を迫る。期限を2週間に切られた彼らは集合、身の安全を確保する為、再び大泥棒の計画を実行に移そうとする。しかし、アメリカ国内では面が割れている。そこで今度のターゲットはヨーロッパ。だが……。

私は「オーシャンズ11」を含め、この映画のコミカルさとテンポの良さ、それからお遊び感がものすごく好きなんだけど、今回は「どう盗むか」の部分が随分と省かれていて、実は最後までちょっと理解に苦しんでいた。もちろん犯罪映画の王道をいく作品ではないわけだから見るべき部分が他にあるのはわかるけど、やっぱり理解できないとつまんないの。ラスト近くなって、もう1回DVDで見ないとなぁと既に考えていたという(笑)

ところで、今回個人的に一番おいしかったと思うのは、マット・デイモンだ。やっぱり彼は「かっこいい」役よりも、「情けない」役の方がぴったりとくる。というわけで、「ボーン・スプレマシー」は見ないことに決定!(笑) いやもう意外なオチがついていてなかなか可愛らしい。ジョージ・クルーニーやブラッド・ピットも、いつもと同じく非常にカッコいい。何が起ころうとも絶対に彼らが負けることはないから、ドキドキしながらも安心して見ていられるザ・娯楽映画。とりあえず「オーシャンズ11」を予習してから見るとより楽しめるのではないかと。

それにしても、今回のは思い切り「オーシャンズ13」(作られるかどうか判らないけど)に対する前振りか? ていうか、このままだと「13」を通り過ぎて「オーシャンズ14」になっちゃうんですけど。……ああ、「13」は縁起が悪いから、一足飛びに「14」なのか? もしかして(笑)

投稿者 kaori : 20:13 | Comments (0) | TrackBack

2005年01月22日

「銀のエンゼル」

西島秀俊ってこんな顔してたっけ? もう少し美形だと記憶していたのだけど、おかしいな。「Dolls」の頃と全く別人でない? はて。

と、そんなことはどうでも良くて(笑)
「水曜どうでしょう」企画・出演でおなじみの鈴井貴之監督作品。北海道のコンビニを舞台にそこに交差する人々の人間模様を描く、というべきか。実は、これまでの鈴井作品を私はまだ見たことがないから、以前と比べてどうとかというのは判らない。あらすじだけを追えば、前2作よりも少し穏やかな気はするけれど。

コンビニを営む主人公は、仕事は妻に任せっきりで娘との会話もない。年頃の娘が部屋にカギをつけたことにも気付いていない。しかし、妻が交通事故に遭い入院、彼の生活は一変してしまう。慣れない夜勤やら妙なお客やらに振り回された挙句、娘が実は東京の芸大に進学したいらしいということを知る。しかも、知らなかったのは自分ばかりだということにも気付かされ……。

見ている間は、あー、それほど面白いわけでもないかな、と思っていたのだけれど、後から思いおこすとそれなりにいいかもしれない。主人公の娘の気持ちってものすごく判るし、それ以外にも個性的な登場人物がいて、彼らの生活が描かれていて。ただ、2時間程度でまとめるには登場人物が多すぎて、何だか中途半端な感じがしなくもない。最後まで判らなかったコトもあったりするし。もう少し人数を絞って丁寧に描いてもらった方が判りやすくていいかも。後は、音楽がうるさすぎ(笑)

北海道の景色は綺麗だった。うまく言えないけれど、そんな綺麗な景色とそれぞれが抱える気持ちとが少しだけ寂しかった。
西島くん扮するコンビニバイト店員が、オーナーの娘に対して「キミはこの町のどこが嫌いなの?」と訊ねた言葉には、個人的に悩んでしまった。町を出たいという思いには、身に覚えがあるしね。

「ターミナル」は淡々としていてつまらなかったけれど、こちらは淡々として面白い。それは多分見る側の心構えの違いなのだとは思う。ハリウッド映画に求めるものと、邦画に求めるもの、その間にはものすごく深い溝があるわけで。

北海道現地発の映画、という感じではなかった。「北海道愛してるぜ」(あるいはローカル感)というのもそれほど感じなかったし、いいんじゃないかな。普通に北海道を舞台にした映画。少し垢抜けていない部分はあるにせよ、とりあえず今のところは許容範囲だから。鈴井監督は現在約1年の予定で韓国に映画留学している模様。韓国映画好きの私としては、帰国した後、どんな作品が出来上がるのかちょっと期待していたりする。もちろんまんま韓国映画だったらがっくりくるけど、きっとそんなことはないと思うから。

後日談:実は、随分前にメイキングDVDと一緒にチケットを予約していたのね。ところが、それの引き換え券をなくしてしまって。えらく前のことだから予約していたという事実すら曖昧になっていた。ローソンで調べてもらっても見つからなかったから、やっぱ予約してなかったんだと納得していた。で、ローソンでチケットのみ購入。ところが、先日ローソンから電話がかかってきて、まだ引き取っていない旨の伝言が。ひーえー。私、何やってんのー。今さらもう1回見に行くのも何なので、誰かに譲るかな。

投稿者 kaori : 00:56 | Comments (0) | TrackBack

2005年01月21日

「ターミナル」

感動巨編かと思ったら、コメディ(?)だった。

予告編の作り方は大切だ。使われている映像がどんなシーンなのか判らないから、トム・ハンクスがトム・ハンクスらしい泣き顔でスクリーンにどどーんとどアップで現れたら、それだけでこちらも泣かんとあかんような気分になってくるじゃないですか。おまけに最近は涙腺が相当弱くなっているし。

アメリカに入国しようとした矢先、母国でクーデターが勃発。新政府とアメリカ政府が国交を持たない限り、入国も帰国もできなくなった男。言葉すら全くわからなかった男が空港で生活する姿を、友人や仕事、そして恋、つまり自分の居場所を見つけつつ、心に決めた約束を果たすまでを描く。

こう書くとやっぱり感動巨編だよな。でも、うーん、盛り上がりに欠けるというか最初から最後まで淡々と話が進んでいくというか。彼が空港で待ちつづけた約束ってのがまた「え? そんなことで?」というようなシロモノ。まあ、出国することができないわけだから、どちらにしても帰ることはできなくて待ちつづけるしかないわけだが、どうかなあ? もちろん何が大切かというのは人それぞれで、どんなちっぽけなことであっても当の本人にとっては重要なのだということはわかる。わかるが、映画で共感を呼べないというのは致命的なのでは? だって白けちゃって感情移入できないもん。それ以外にも、そりゃあ嘘でしょうというような内容も多数あり。彼が人気者になっていく過程があまりにも唐突なことやら(それにあんなことであそこまで人気がでんのか?)、彼の本職は何なのかさっぱり判らないことやら、「で、あの女(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)は一体何なの?」ということやら、あれほど固執してたくせにあっさりと彼を逃がす責任者とか、何か理解に苦しむ。そして、盛り上がりに欠けるから途中で退屈してしまった。今か今かとクライマックスを待っていたのに、特別な事件が起こるわけでも何でもなく終わってしまったという感じ。ちりばめられていたのは、クスクス笑い(それもいまいち)くらいで。

トム・ハンクスが出演しているという以外これと言って特には。でも何だかな。トム・ハンクスが出演するにしては何かが足りないというか。映画館はもちろんのことDVDで見る必要も特にないんじゃないかというのが正直なところ。期待し過ぎたのが悪いと言われればその通りなんだけど。思っていたものと全く違ったもんだから。いや、そうでもないな。それを差し引いても……うん、面白くなかったんだ、まったく。

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2004年12月20日

「ボン・ヴォヤージュ」

久々のイザベル・アジャーニを堪能。
相変わらず化け物のようですな、彼女。正味な話いったい幾つよ? 劇場に掲示してあった雑誌の切り抜きのプロフィールで確認したところ、何だって? 今現在49歳で来年には50歳ですと? インタビューの写真を見てもそりゃあもう年齢なんて微塵も感じさせない微笑みを振りまいている。さすがに一部チラシの写真なんかでは、目元に皺が認められるわけですが(笑)、まあそれはご愛嬌でしょう。しかし、童顔のまま歳をとるというのはいいことなんですかね。何だかちょっと不気味な気がしなくもないな、と。それと、若干スタイル崩れてないかね。というか端的に言えば太った(笑) あれは、ちょっとぽっちゃりして魅力的という範疇を、やはり少々超えているのではないかと……。え、そうでもない?

物語そのものは、イザベル・アジャーニがヒロインのようなそうでないような。いや、やっぱ違うな。
1940年のフランスはパリ。ナチスドイツがパリに侵攻し、暫定政府がボルドーに移る。閣議では休戦を決めるか否かの重要な会議が行われていた。そんな運命の2日間を中心に、それぞれの登場人物に降りかかる出来事なんかを描いたもの。

主人公は幼馴染であるところの女優(イザベル・アジャーニ)に人生振り回されっぱなしの男。彼女に人殺しの片棒を担がされた挙句、身代わりになって刑務所送り。どさくさに紛れて脱走し、彼女を追いかけてみたものの、当の彼女はボルドーで他の男とよろしくやっていた。様々な出来事を通して、いい加減彼女にあきれ果て自分の道を模索し始める男なわけだが、なかなか彼女を見捨てることができない。

イザベル・アジャーニの悪のり演技が見所かな。相当楽しんでやっていたように見受けられます。あっちの男こっちの男、うまく利用して世の中渡っていく姿に感心することしきり。いい死に方しませんよー(笑)

特に何ということもない作品ですが、まあ娯楽作品なわけでそれはそれで良いのです。若干、途中で飽きてきた部分がちょっと残念。

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2004年12月13日

「ロスト・イン・トランスレーション」

カメラマンの旦那の仕事について東京にやってきた女。旦那は仕事にかかりきりで、彼女はひとりホテルに取り残されている。一方、元スターの男は日本のウィスキーのキャンペーンの為に東京へやってくる。そのギャラわずか200万ドル。
彼女の旦那は、彼女が結婚生活について悩んでいることに気付かないし、男の妻は、子供とリフォームで頭がいっぱい。
異国の地でそれぞれの孤独を抱えた男女が出会い、束の間心を通わせる。

二人の感情が恋愛であるのかどうかはわからない。(そう宣伝されてはいるけれど) そのように思えもするし、そうでない気もする。けれど、非日常かつ孤独な中では、恋愛に良く似た感情を抱いてしまうのは、そんなに不思議じゃないとは思う。だからと言って、それを恋として成就させようとは思わないよね、もちろん。そんな微妙な関係。

数日間のふたりの様子を淡々と追かけていくだけの中で、こちらまで何だか寂しい気持ちになってしまった。東京って、少しフィルターを通すとこんなに寂しい街に見えるのかしら。ここまで上滑りなカラ騒ぎで成り立っているだけの場所なのかな。もちろん大都市であれば、多かれ少なかれは存在する空虚さのようなものや、刹那的(言葉にすると何だか気持ち悪いけど)な部分というのは確かに存在するとは思うけど。でも、私は少なくとも東京を嫌いじゃない。それだけではないと思うしね。それではそれ以外に何があるのかと問われたら難しいけど。

舞台は東京でなくても良かったんじゃないかな、と。「何故、東京か」というのを、監督がどこかの雑誌でインタビューされているのを読んだんだけど、忘れてしまった(汗
見所としては、最初で最後だと言われているパークハイアット東京内での撮影でしょうかね。別に泊まろうと思って泊まれないホテルでもないと思われるので、見学しようと思えばできるという意味では、それほど貴重な映像でもないか。

しかし、男の奥様は、東京にまで書斎のカーペット生地を送りつけて旦那に選択をさせようとしているのに、いざその生地が間に合わないとわかると、旦那に向かって「たかがカーペット」と言い放つは、旦那の方も「奥さんの言う通りでいいやー、めんどい」と思っていたのがありありで、いざ別の色の生地を選べと迫られたところ、途端に呆然としてしまうはで、思わず苦笑してしまった。こういうのってどこの国でも日常的にありそうね(笑)

投稿者 kaori : 23:42 | Comments (0) | TrackBack

2004年12月12日

「僕の彼女を紹介します」

うまいなあ、この監督。これほどヒロインのキャラクターが「猟奇的な彼女」のそれとそっくりなのに、しっかり別の物語が成立しているあたり脱帽。「それはありえないだろう」と思う設定を「ま、ありかも」と思わせてしまうのもすごいね。

時に無鉄砲で正義感の塊のような警察官のヒロイン。ひったくりの誤認逮捕がきっかけで知り合った女子高教師と恋に落ちる。ひとつひとつのエピソードがあたたかくて、見ているこちらがなかなかいい恋してるな、いいなー、などと思ってしまう。最大の危機さえも愛情で乗り越えられたふたりだが。彼女の無鉄砲さがふたりの結末を意外な方向へ向けさせてしまう。

ラブコメ部分はとっても楽しい。時に、これはチョン・ジヒョンの婦人警官コスプレ映画か?と思わせなくもないし、後半部分の怖いモノなしの姿は(これはこれで背景を考えると切ないが)文句なしにカッコいい、わけだが。……やっぱり泣かされちゃいましたね。お約束というか、今どきそんなことを信じる人いるの?と言いたいところですが、ハチャメチャな彼女が流す涙にこちらもやられるわけです。

で、でもね。やっぱりクライマックスに、X-JAPANの「Tears」(日本語歌詞つき)が、大音量で流れるのはちょっとどうかと思うんですわ。その瞬間、そういえばどこかの映画批評サイトで読んだ気がするぞ、とようやく気がついた。これかぁ。いやまあ、雰囲気としては悪くないと思うんだな。しかし、歌詞はいらない。もちろん私ら字幕で台詞読んでいるから、主人公の台詞が聞き取れなくても映画鑑賞に支障はないんだけど、韓国の方々は如何なんでしょう。やっぱり、異国の言葉が入ってきても意味として成立してないから問題ないんですかね。映画全般を全てチャラにしてしまうような、そこまでのマズさはないけれど、ちょっと一瞬涙が引っ込みかけたのは事実。こればっかりは、ちょっとだけ残念だったかな。

そして、今回も最後の小道具は写真。ここのところ、写真が小道具の映画が多い。でも、何に泣かされたって、やっぱりあの写真なんだな。大発見、か。

投稿者 kaori : 17:52 | Comments (0) | TrackBack

2004年12月11日

「永遠の片想い」

公開中には見られなかった、ということでレンタル屋さんで借りてきた。
先日、「猟奇的な彼女」で失礼にも「(顔が)イマイチ」と評したチャ・テヒョンが主人公。

仲の良い2人組の女の子。その片割れであるスィンに一目惚れをしたチャ・テヒョン演ずるジファン。振られても諦めず、スィンの親友であるギョンヒとともに友達として付き合い始めた彼らは、何にもかえがたい楽しい時間を過ごしていくのだが。彼女達には、ジファンに言えない秘密があり、ジファンもまたスィンではなくギョンヒへと心が傾いていく。そして……。

ストーリーは、そんな思い出から5年が過ぎた頃からはじまり、その思い出は回想シーンとして語られる。何故、彼女達は自分の前からいなくなったのか。忘れようと思いながらも、突然送られてきた写真からその謎を追いかけるジファン。その合間に、ジファンの妹の恋とそれを見守る兄の姿が描かれている。そして小道具は写真。写真が切り取る過去と現在。正直言って妹の恋に関しては、これは別になくても、などと思ったのだけれどそれは違うのね。兄は妹の恋する姿に彼女らのそして自分の過去を見ているのかもしれない。そう思うと一層切なくなる。

何だかんだでつい韓国映画をみては、いつも多かれ少なかれ後悔する。(「冬のソナタ」ではあまり感じないのだけれど)通り過ぎてしまった、失くしてしまった青春(と書くと座りの悪い気分になるが)を目の前に差し出されて、切ないような悲しいような何とも言えない気持ちになってしまう。近頃涙もろくなっているものだから、つい目を赤くしてしまうし。

男女の微妙な三角関係、何だかいつも楽しかったこと、女の子どうしの友情と嫉妬と、やさしい気持ちと。ラストで明かされる秘密と遠くて甘い青春時代の思い出がいい。何でもかんでも「号泣」とかって宣伝する近頃だけれど、そんなんじゃなくて、指先でぬぐうくらいの涙でだって十分感動しているものなのです。

投稿者 kaori : 23:56 | Comments (0) | TrackBack

2004年11月28日

「誰にでも秘密がある」

……期待しすぎたらしい。

日本では「ロマンチック・ラブストーリー」とか言われていたけれど、韓国ではどうやらコメディとして宣伝されていたらしい。どちらが的確かと言えば、やはりこれはコメディでしょう。フライヤーに掲載されているストーリーにしても、あまりロマンチック・ラブストーリーには思えないし。

要するに、イ・ビョンホン演じるいい男が、三人姉妹全員とやってしまうお話。
恋多き三女が猛アタックの末にゲットした恋人を、ある日自宅へと連れてくる。ふたりの姉達はそれぞれの理由から、その恋人に惹かれていくのだが。三姉妹それぞれの視点から、彼をとりまく3つのストーリーが展開される。見る人が変われば、対象に対する印象も変わる。三姉妹がもつ彼のイメージは三人三様で非常に面白い。彼も、相手にあわせていちいちツボをついたアプローチをするのがすごいね。ついつい、そういう人いるかもしれないなぁと思ってしまう。いや、もちろん本当はいないと思うのだけれど、思わせてしまうのがね。

イ・ビョンホンははにかんだ笑顔がいい。すっかりミーハー。上映後、スクリーン内が明るくなって周囲を見渡したら、お姉さま方とおばさま方が大多数を占めていた。やっぱね。

ストーリー的には……。面白いのだけれど、どうもちょっとすっきりしない部分多数。正直なところお金払ってまで見なくても、ビデオで十分。但し、イ・ビョンホンをでかいスクリーンで見つめたい場合はその限りではなく。ちなみに、イ・ビョンホンとチェ・ジウだけのラブストーリーではないですよ。彼女は三姉妹のひとり。それ以上の何かはありません。期待せずに見ればそれなりに楽しめるかも。以下、ネタバレ。

三姉妹の秘密は、もちろん他の姉妹に内緒で彼と関係を持っていることだし、三女に関しては振ってしまった相手と付き合っていたことが秘密だ。そして、彼の秘密はもちろん彼女達を幸せにする為に依頼されてやっているということなわけだ。では、最終的な結果として、三姉妹は幸せになれたんですかね?

三女の場合:男をファッションと同じと豪語する彼女が、自分から誰かに夢中になることを覚え、さらに振ったはずの冴えない男性のことも大切にしたいと思えるようになった、ということ。

次女の場合:男に全く興味がもてなかった彼女が、恋愛を覚えた、ということ。但し、最後は何なんだ?? 自分の友人が思いを寄せていたふうの大学教授にちょっかおを出しておるが、彼のことはもうええんか??

長女の場合:彼と寝て何が変わったというんだ?? ええと、一応、女性である自分を取り戻したということになるのだろうかね。それにしても……。

だいたい秘密、秘密言うからどんな最大の秘密があるかと思えば、あまりにもしょぼくてありえないよな秘密じゃないの! それに何なんだあのエンディングは。
イ・ビョンホンは、三姉妹の父親(依頼主)から「正直なところ、三人のうち誰が良かった?」と聞かれる。彼は「三人だけだと思いますか?」と答えてにっこり笑ってエンディング。正直なところその場では意味が判らなかった。ところが、帰り道てくてく歩きながらふっとひらめいて思わず立ち止まってしまった。もしかして四人目って見ている観客のことか? 自分のプレイボーイっぷりに観客も惚れちゃうとか? うげー(気色わりぃ)。もしもそうだとしたら、随分と点が下がるなぁ。

投稿者 kaori : 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2004年11月21日

「TUBE」

冒頭シーンから、激しい銃撃戦。誰が誰を何のために狙っているのか、その場ではさっぱり判らないけれども、黒づくめの悪役さん達とサングラス、銃撃戦、そしてカーアクションなんかを全部ひっくるめて、韓国版「スピード」よりは、どちらかと言えば「西部警察だなあ」などと間抜けなことを考えていた私。爆破シーンも、ハリウッドというよりはドラマっぽい。それは迫力がないとかではなく、何というかアジア的だなあというか。

市長による地下鉄視察の日に、ソウル地下鉄の車両のひとつがテロリストによって乗っ取られる。テロリストの要求は政府要人の命。そしてその車両には、テロリストによって過去に自分の恋人を殺された若手刑事と彼に思いを寄せる女スリが。テロリストvs刑事、乗客を命をかけての一騎打ちが始まる。乗客達は生きて帰れるのか。テロリストと刑事の運命は?

ストーリーに関しては、確かに地下鉄編だけに絞った韓国版「スピード」(あるいは韓国版「新幹線大爆破」)。これに少しウエットな登場人物の過去、そして現在のラブストーリーなんかを織り交ぜた感じで、なかなか楽しめた。やはり展開がスピーディーだと見てて飽きなくてええね。これでもかこれでもかと、ドキドキハラハラのシーンが続くわけだが、ありえないだろうというシーンも満載。いやあ、映画ですねえ(笑)

悪役のパク・サンミンが背中に刀(日本刀なのかなあ。韓国でも刀って作られてるの? む、無知です。良く知らない)を背負いネクタイを締め、その上からびしっと黒いジャケットを身につけ髪を整えるシーンを見て、うお、かっこええとか思ってしまった。健さんか、渡哲也かといった風情で(笑) あ、ちなみに私はどちらも特に好きではないですが。さらに、そのままのカッコで素手でのバトルシーンなどは、まるでストリートファイター状態です。戦闘シーンは、ちょっと笑えるほど。

しかし、テロリストだって刑事と同じ悲しみがあるわけで、一概にどうとも言えませんなあ。時折、テロリストに同情をしてしまって、あきません。そして、女スリの可愛らしいこと。最近は日本人よりも、韓国とか台湾の女優さんのが可愛らしい気がするし、何より好み。ええのお。
それでもって個人的に素敵だと思ったのは、テロリストでも刑事でもなく、地下鉄制御室の室長! 人質の命を救う為に、クモの巣のように張り巡らされた地下鉄線路の切り替え、そして地下鉄車両を誘導する作戦を次々に考え出していく姿。かっこえー。テロリストと刑事の戦いよりも、こちらの制御室内での静かな緊張がものすごく良かった。前にもこういうのあったな。密室作戦ものって好きかも。

そして、ラスト。個人的にはハッピーエンドが好き。でも、こういった人質モノが全てハッピーエンドで終わるのもうそ臭くてね。ラストシーンには言いたいこともあるんだが……。以下、追記に続く(笑)

いや、だってさ。地下鉄から落ちても這い上がってきた不死身の刑事がですよ。通電切ってから、2分もあったのに、何故に車両に乗ったままなんすか。時速140kmでしょ。2分あったら4kmは距離がひらく。車両を切り離してから、どれだけ通電していたのかわからないし、どれだけの規模の爆発かもわからないけれど、爆破地点と切り離された車両との間だって、たいして開いていないんじゃないかと思うのよね。万が一の可能性にすがって、通電が切れた瞬間に車両から飛び降りて走ればええじゃんよ。戦いで疲労困憊していてそんな気力は残ってないとか、今さら現実的なことを言うなかれ。だって、もともと非現実的な物語なんだもんよ。

投稿者 kaori : 16:13 | Comments (0) | TrackBack

2004年11月15日

「みなさん、さようなら」

うーん、何と言ったら良いのかしらん。介護と尊厳死の問題、そして家族のあり方を描いたものなのだろうけれど。頭で考えることと感情は随分と違うものなのだということがわかった。それはもしかすると自分自身の行動に対する罪悪感なのかもしれないが。相当に後味は悪かった。

浮気ばかりする父親に反発していた息子。母親に頼まれて(その後は自発的に)病状おもわしくない父に対して最大限出来ることをしようとする。たとえそれが違法であったとしても、老い先短い父親がいかに楽しく過ごせるかだけを考えて行動をする。だから、父親にさえばれなければお金だってばらまく。お金をばらまいたことが父親にばれたらがっかりするよね。だけれど、ばれなければなかったこと。父親が喜べばそれでいいのかもしれない。

だけど、でも。あー、やっぱりダメだ。コメントできないので、これで終わります。すんません。

投稿者 kaori : 23:56 | Comments (0) | TrackBack

「インファナルアフェア」

DVDを借りてくるまで「インファイナルアフェア」だと思っていた(汗) そりゃ検索してもなかなか結果に辿りつけないわけだ。間抜け。というわけで、正確には「インファナルアフェア」です。

表の顔はエリート警察官、実はマフィアの構成員。彼は警察機構内で出世をめざし、婚約者も手に入れていた。次第にマフィアである自分を捨ててしまいたくなっていた。一方、表の顔はマフィアの幹部、実は警察の潜入捜査官。彼は10年も潜入捜査官としてやくざな世界に浸っおり、何が本当なのかわからなくなりつつあった。望みはひとつ。堅気の警官に戻りたい―。そんなふたりがひとつの事件を通して次第に近づいていき、彼らが接触した時から、物語は結末へと転がっていく。

アンディ・ラウとトニー・レオンの二大いい男が繰り広げるドラマ。トニーレオン色っぽい。哀愁漂う表情が素敵。アンディ・ラウってば爽やか。表の顔を見事に演じておりますな。これだけで相当うっとりなわけですが。彼らの微妙な駆け引きと、心の動きなんかが見もの。

実はこれ3部作の1作目で、これから後、彼らの過去が明らかになる模様。二作目の公開はもう終わってるから、そろそろDVDになると思われ。完結作は来年のゴールデンウィークだって。相当楽しみかも。ちょっと最初が判りにくいのだけれど、文句なしに面白かった。次の作品には、アンディ・ラウもトニー・レオンも出ないらしいので若干迷いはするけど、ストーリーそのものに期待をしているので、おそらく見るでしょう。

あ。でも、ケリー・チャンは一体何の為に出てたんだかいまいち良く判らなかった私……。続編(でも、次作は過去の話だし)で何かあるのかな??

投稿者 kaori : 23:55 | Comments (0) | TrackBack

2004年11月12日

「純愛中毒」

うひょー、マダムのアイドルというのはわかる気がしましたよ>イ・ビョンホン
個人的には、ヨン様よりこちらの方が好き。ヨン様よりも若干野性味があるというか、でも一方でさらにヤサ男系というか。顔は甘い感じだけれど、若干悪い雰囲気もあったり。……ええと、本題に戻ろう(笑)

偶然、同時刻に別々の場所で事故に遭い重体となった兄弟。幸せだった兄嫁はどん底に落ち、1年後目覚めたのは義弟だけだった。ところが義弟は何故か兄の人格と記憶を持ち、自分は旦那だと言い張る。身体は義弟の旦那を、兄嫁は信じて愛することができるのか……というお話。

あー、ダメだ。毎回そうだけど、ネタバレなしで感想なんて書けない。というわけで、はじめて追記とやらを使用してみることにする。

イ・ビョンホンはやっぱり二役ということになるのかしら。お兄さんの言葉、行動、仕事。普通に考えたらありえない設定だから(兄の意識だけ弟に入りこむなんて!)そのままそれが真実だったら、ただのとんでも映画だよ、と思っておりましたが、そうでない場合の可能性としてはふたつ。

1.完全に弟が自分が兄であると思い込んでいる。
2.弟が兄のふりをしている。

しかしですね、1や2であった場合、何故弟は兄と兄嫁しか知らないはずのことを知っているのかというのが問題になってくる。そうすると、げ、ホントに兄貴なのか?という疑問が湧いてきて、でもそれではあまりにもくだらないし、兄がホントに亡くなる時には、意識も一緒に弟からなくなったりして……などという想像をしてみたり。

が、んなわけないのよね。
正直なとこちょっとがっかり。兄と兄嫁の関係ってまさしく純愛といった感じで、結婚してるのにラブレターを書きあったりとかするわけですよ。それなのにそれが弟の代筆だとはねえ。何か最後でいっきに兄貴の株ガタ落ちです。そりゃ兄貴はいい人ではあるけれども、だ。一途に兄を想う兄嫁は確かに純愛を貫いておるわな。だからこそ、弟のしかけた罠にまんまとはまってしまう訳だ。が、一番純愛中毒なのは、当然弟ということになる。何もかもを知った上で弟を受け入れようと決めた兄嫁はもう違うもんね。うー、つらいよなー。身体は手に入れたけど、心は兄に向かっていて、でも大切な兄嫁にとっては兄がいないということはものすごくつらいだろうから兄になりきろうと決意し、でも一緒に暮らせて子供もできてそれは幸せで、でもやっぱり罪悪感がつのって。そんな哀愁ただよう表情を(うげ、言葉にすると気持ち悪いが)、イ・ビョンホンがうまあく演じているわけですよ。素敵。あ、また話が逸れた。

本当のことを知られているということも知らずに、きっと弟はずっと兄として生きていくことになるのだろうけれど、それは兄嫁を手に入れた(本当に手に入れたかは別として)弟が支払った代償なのかもしれない。

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2004年11月11日

「ホテルビーナス」

ホテルビーナスに暮らすひとりひとりにスポットをあてて語られていくお話。別にオムニバスではないのだけれど、雰囲気がどうもそんな感じに思える。草薙くん演じる(というか草薙くんなんだが)チェナンと、ビーナスにやってきたわけあり親子の子供(女の子)との交流みたいなものが、物語の中ではひとつの軸になっているのだけれど、それ以外に他の住人の過去やら現在やら、苦悩を克服して前に進んでいく様やらが描かれている。そんな中で、ビーナスに滞在しながら働いてもいるチョナンの過去もゆっくりと明らかになっていく。

最近感動屋さんの私としては、不覚にもちょっとぐっときてしまった。まあ、クライマックスのシーンは、警察官の口から何故そんな台詞が出てくるのか唐突過ぎて不自然な感じがしなくもない。観客は住人達の姿をずっとみているわけだから何となくわかるけど、警察官がどうしてそう思うのかがさっぱり。長い時間観察していたようにも思えないしなあ。これって一応ハッピーエンドなんだろうね。

全編モノクロ。これで最後に色がついたら「ユリイカ」だぞ、と思ったがまさかそんなわけもなく(笑) まあそれはともかくとして、デリコの曲がもう何かというと挿入されていて、正直これだけはうんざりしてしまった。うるさいの。曲が添え物でもなくて、何か自己主張しちゃってるわけよ。これって何か意味があったり、表現するための何かがあるの? デリコの曲は嫌いじゃないけど、これはちょっとね……。

長さのわりには途中で飽きなくて楽しめたかな。

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2004年11月06日

「ターンレフト ターンライト」

言い寄ってくる女性を避ける為に、部屋の門を出るとすぐに右に曲がる癖のある男性と、翻訳しているホラー小説のせいでどうしてもお化けに見えてしまう物体を避ける為に、部屋の門を出るとすぐに左に曲がる癖のある女性。お隣同士に住んでいるにもかかわらず、お互いにすれ違い続ける運命の男女のお話。原作は、絵本だそうで。

一昔前の恋愛ドラマでは、お互いに連絡をとることができなくてすれ違って会えないというのが、アクシデントの定番だった。けれど携帯電話がこれほど普及した今、すれ違いでドラマを成立させるのは微妙にリアリティがなくて難しくなったように思う。もちろん、携帯電話がずっと留守電でとかそういうのはあるだろうけれどね。

この物語のふたりは、都合2度電話番号を交換しているのだがいずれも(1回目は彼女が、2回目はお互いが)番号そのものが判らなくなってしまっている。正直なところ、今どきならば自宅ではなくお互いの携帯電話をメモリーに記録させるはずだ。ところがさすがに大人の絵本だけあって、普通醒めて眺めてしまいそうな設定を可愛らしく演出し微笑ましくなってきてしまう。話が進み、歯車が狂いだし、恋のライバルというかお邪魔虫も登場し物語はひっかきまわされていくのだが、そのライバル達がまたいい味で……。もちろん、ヒロインのジジ・リョンはめちゃめちゃ素敵だ。金城武は、日本語を喋っていない時の方が魅力的。つまり今回は悪くなかった。(『恋する惑星』の時にはさ、あのぼそぼそと日本語を喋る姿が素敵だったんだけどなぁ) 何ていうのか情けない役の方がはまってる気がするのだ>金城武

会えそうで会えずにこのままダメになってしまうのかとハラハラさせ続けるけれど、もちろん物語はハッピーエンド。そこへの持ち込み方がまた相当強引なんだけど、でもこれは御伽噺だから許せてしまう。そして、物語中で頻繁に引用されるヴィスワヴァ・シンボルスカの「恋」という詩も、あまりにもベタ過ぎて居心地が悪くなってしまいそうなのだけれど、でもね。やっぱり心のどこかで憧れがあるんだろうな。ほんの少しだけ共感してしまったことは秘密です(笑)

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2004年11月01日

「コラテラル」

トム・クルーズ、初の悪役、そして衝撃のラスト、との謳い文句で見に行ってはみたけれど。しかし、えーと、ちょっと期待しすぎたかもしれない。

凄腕の殺し屋であるトムクルーズが、「仕事」を片付けにLAへと降り立つ。一晩600ドル(+100ドル)で運転を頼まれたタクシーの運転手。この2人の一夜を描いた話。

正直言ってさー、こんなにどんくさいのに凄腕ってホントか?(笑) もうしょっぱなから計画狂いまくりじゃん。タクシーの運転手にしたってさー、逃げようと思えば逃げられたでしょう、というか。そして、登場する意味もあまりない方が約一名。ううむ。二人の間に微妙な感情がいきかうのは(当然友情ではないけれど、何だろう近い感じはする)前日に見た「笑の大学」のようだが、こちらは最後まできっちりと対立をしていく。萌えか萌えじゃないかという話であればこっちのが萌えなのかもしれないが、間にとってつけたように女の影がちらつくのは如何なものか。すっかり興ざめ。まあ、今回のストーリーの場合、それがなければクライマックスに持ち込めないわけなんだけど、いやー、男だけの世界にして欲しかった。何だかなー。ホントにとってつけたようなんだよー。伏線にしては相当弱い、というか。あまり好きなタイプじゃないな。

ロスの雰囲気満載で(っても、ロスには1回しか行ったことないけど)、そういったところについては見てて面白いなあとは思った。音楽もいい感じだったし。当たり前といえば当たり前ですが、娯楽ハリウッド映画という意味では面白かった。銀髪、無精ひげのトムクルーズ。確かにカッコ悪いとは言わない。カッコいいすよー。全編スーツ姿。スーツ姿で殺し屋。スーツ姿の男性に弱い私としては、トムクルーズの姿には釘づけでしたけど。しかし、衝撃のラストシーン。うーん、衝撃ですかねぇ、あれ。

投稿者 kaori : 00:29 | Comments (0) | TrackBack

「笑の大学」

登場人物が少ないドラマというのは結構好みで、ひとり芝居なんかだと最も興味がそそられる分野だったりするのだが。
今回は、ほぼ役所広司と吾郎ちゃんの二人芝居だった。戦時下、喜劇脚本の上映許可をお上から受ける為に警察へと通う、笑いをこよなく愛する喜劇作家。そして、喜劇脚本を厳しく取り締まる心から笑ったことのない検閲官との丁々発止のやりとりを描いたもの。

もともとはといえば、随分昔のラジオドラマそして舞台と続き、今回の映画化となったという。ラジオドラマも舞台も知らない私は、先入観がない分普通に楽しめたのだけれど、うーん、でも、舞台で見たかったかな。キャストに関しての文句は特にない。舞台での検閲官が西村雅彦だったというのは、ちょっとそそられはするけれど、役所広司にしても好きな役者に違いないのでそれもいい。もちろん映画は映画で、舞台では表現することができないものがうつしとられていると思う。けれど、こういった密室劇での密室シーンは、やはり舞台で見た方が臨場感溢れて良いだろうな、と。

内容そのものについては、普通に面白くて笑わせてもらった。吾郎ちゃんが在籍する劇団の座長「青空勘太」を略して「アオカン」と吾郎ちゃんが言った瞬間、私も思わず吹き出しそうになったのだけれど(その時の吾郎ちゃんの表情が良かった)、隣に座っていた友人に先を越されてしまった(笑) だから、あなただけじゃないのよ、大丈夫さ(笑) 確かにそのまた向こうの男の子は気になったけどね。

やー、でも吾郎ちゃん良かったと思うよ。お約束と言われても、最初の無邪気で負けん気の強い表情から、ラストの哀愁漂う表情への移り変わりとか、少なくともキムタクよりは私は好きだね。

それにしても、作りがテレビっぽいなあと思って、監督(星護)の略歴を調べたら、案の定ばりばりテレビ畑のお方だった。さらに、エンドロールに亀山千広の文字も。実は、「スウィングガールズ」でも、彼の名前を見たばかりで、何だかきちんと踊らされている感じがして、ちょっとだけがっくりしたのでした(笑)

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2004年10月26日

「猟奇的な彼女」

前回ラスト(作品順でいけば次の作品となる「ラブストーリー」のこと)の大ネタにくらべたら今回のラストは小ネタだったのだけれど、全く見抜けなかった。言われてみればきっちり伏線は張られていたというのに不覚。ディスプレィを眺めながら唖然としてしまった。……えー、もっとも。「ラブストーリー」に比べれば現実味のある事実で、まだ納得はできるけど。

それにしてもこの監督「秘められた事実」系好きだねえ。さすがに次(「僕の彼女を紹介します」)も似たようなオチだったらもう観ないぞ(笑) というのは冗談ですが。こういったラブストーリーには共通する要素があって、例えマンネリで繰り返されていてたとしても(むしろそのマンネリに安心するし)人々には支持されるのだと思うし、意外とそれって難しいと思うから、ヒットメーカーとしてはやはりすごいのだろうね。(今さら言うまでもないか。失礼:笑)

途中まではよく笑わせてもらった。言葉(と行動:笑)は悪いが正義感が強くまっすぐな彼女とそれにふりまわされる彼。一見振り回されているだけのように見える彼は、(相当どんくさいけれど)実は色々なことを考えて彼女を癒そうとしていたのだと判った時には、彼女と同じくホロリときましたがな。ええなあ……じゅる(垂涎:違)
見え隠れする彼女の秘密、縮まりそうで縮まらないふたりの距離、そして次々に起こるハプニング、三幕仕立ての中でそれらがうまい具合にからまって結構長時間な割に飽きさせない。
うんうん、最初から自分の気持ちが割り切れる恋ばかりじゃないよね。クライマックスに、彼女が彼に届かないと判っていて叫ぶ言葉は、世の彼女(彼)達だって普通に思っている心の声かもしれないさ。

そういえば、最後まで彼女の「名前」は判らないよね? どこにも出てこなかったような気がするんだけど。

最後の最後まで、笑わせて泣かせて、そしてドキリとさせて、相当に青春ラブストーリーの典型。典型なんだけどちょっといい話。

ところで、主人公の男の子なんだけど、えーと、彼、あっちでは人気あるんですか? 最初は、何てブサ……(個人的好みの問題ですね。以下略)と思ったのだけれど。ところが人柄が表情にあらわれるというのは本当ですね。終わりかける頃には、いい感じに思えてくるからあら不思議。どちらかといえば、爽やか系ですかね。

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2004年10月24日

「2046」

世間では「キムタクがでている映画」という認識でしょうが、そんなに出演シーンは多くないですよ、あまり期待なさらず。(まあ、それでも出ている方かもしれないが)

随分と待ったはずなのに、何の情報も仕入れていなかった私。話が進んでいくうちに、唐突に「あら、花様年華の続編にあたるのね」と気づいた。主人公の名前が同じなんだから、とっとと気づいてもよさそうなもんだが情けないことに全く気づかなかった。ええと、書きたいこととしては3つ。トニー・レオンのこと、木村拓哉のこと、そしてウォン・カーウァイの映画が好きな理由。

ひとつめ。
もうとにかくトニー・レオンが素敵。トニー・レオンが素敵なのか、チャウという役柄が素敵なのか。もうよく判らないのだけど。チャウって、とても人間らしいと思うのですよ。自分の感情を抑えたり、時に激しく吐露したり、そして拒絶したり揺れる気持ちを持て余したり。優しいから余計冷たくて、こんな人が周囲にいたら絶対近づきたくはないタイプですが、女性達が惹かれるのはわかるな。で、その裏には前回やぶれた恋がちらついて。
前回のチャウとは確かに別人のようではありますが、でも押さえられた苦悩みたいなものが感じられて、きちんと切なくさせてくれる。やっぱりトニー・レオンの表情が魅力的なのか……。

ふたつめ。
木村拓哉の役は必要なのかもしれないけど、それが木村拓哉である必要も特になかった気が。申し訳ないけど、彼が喋るとどうにもこっぱずかしくなるのは日本語だからでしょうかね。トニー・レオンが言うと身悶えしたくなるのに何故……。今さらですが、やっぱり他の出演陣にくらべると(くらべなくても)ちょっとね。途中までのナレーションがキムタクだったのだけれど、どうにもこうしっくりこなくて、途中でトニー・レオンに移った途端に映画の空気が流れ始めたような気がするのは、私の日本人俳優に対する評価が低すぎなのでしょうか。

みっつめ。
映画に構造を見出すという見方がもしかすると標準的なのかもしれないけれど、いつもいつもそんなことをしていたら疲れませんか。というのは、構造なんてことをさっぱり考えたことのない私のたわごとですが。
まずやっぱり映像が美しいし、女優さんの表情がものすごく色っぽい。ウォン・カーウァイ作品の多くは女優の華やかさが見所だと思う。だからといってそれ以外はどうでもいいかというとそうでもない。確かにストーリーは時折「?」と思う部分はあるにはある。でも、「迷い」とか「苦悩」とかそういった感情は痛いほど伝わってきて、それに対して評価をするというのもありではないかと思うのです。だからいつも観終わった後にはとても切ない気持ちになる。ええ、感情で観ていますよ、いいじゃないですか、それでも。
「恋する惑星」で感じた爽やかさ(決してそれだけじゃないけれど)、それから何年が過ぎたか。「花様年華」を観てしんみりする程度には私も歳をとったな、と。あれ、「2046」から離れちゃってるな。

とりあえずこの映画は特にSFでも何でもないです。舞台は60年代の香港。そしてやはり切ない人の思いがちりばめられたお話でした。

投稿者 kaori : 20:55 | Comments (0) | TrackBack

「スウィングガールズ」

学生の頃、戦時下ドイツのダンスホールでジャズを踊る青年達の友情なんかを描いた「スウィングキッズ」という映画を観たのだが、今回の舞台は現代日本の東北にある高校。そして主人公達は女子高生(とひとりの男子高生)。

とある事情で弁当にあたった吹奏楽部の穴をうめるべくやったこともない楽器の練習をさせられる女子高生達。吹奏楽をやるには人数が足りないので選んだ形態はビックバンド。しかし、補習サボりの口実として参加しているからやる気もない。そんな彼女達も楽器から音が出せるようになるにつれて、その魅力にひきこまれる。ところが、その矢先に吹奏楽部が復帰してきて……。

魅力その1:上野樹里
上野樹里がどうとかという以前に、友子というキャラクターがいい。もちろん彼女のころころ変わる表情が、よりいっそう友子を魅力的にみせているのだとは思うけれど。あんな調子で周囲をひっかきまわしても愛らしいあの性格が羨ましい……。

魅力その2:本仮屋ユイカ
さすが連ドラヒロイン。いい味だしてます。リコーダーをはにかんだ表情で差し出す脱力もののシーンは最高です。内気なのにいざという時にはしっかり者。いるよね、こういう子。

挙げていくとキリがないのでこの辺りでやめますが、確かにどこにでもいそうなキャラクターが少しだけ誇張されて(映画だから仕方ない)駆け回る姿が何とも言えず微笑ましい。いくつか不審な点もありますが(スーパーで短期間バイトしたくらいで新品のブランド品を買えるものなのか、とか、友子達が必死になって掴んだジャズの勘みたいなものを、しばらく音楽から離れていた友人達がそんな突然掴んで演奏できるのかとか)、全ては女子高生達の元気さと一途さの前で帳消し。しかし……でも……、かわらの土手で楽器練習ってあの……サックスならまだしもキーボードはえーとありえるんですか? もちろん発電機準備しているのかもしれないし(たかが練習でか?)、電池を使っているのかもしれないが(可能性薄いけど)ちょっと成立しにくいんだよな(苦笑)。ま、でも。やっぱりご都合主義なのはご愛嬌でしょう。この映画は勢いだと思うし。

それにしても女の子達の元気がいい。それを強調したいのだと思うけれど、男の子(教師も含め)達がやや情けない感じ。まあそれがいいのだと思うけど。それでもバンドのメンバーの男の子は素敵でした。若いっていいわねえ。(しみじみ)

ところで、吹奏楽部の待遇ばかりよいという気持ちは、とってもよく判ります。吹奏楽部が強いガッコってのはどこも同じじゃないですかね。吹奏楽部専用の練習ホールが校内にできてしまう学校に通っていた私も、常々そう思っておりました。だからと言って、吹奏楽やりたいとは思わないんですけど(笑)

投稿者 kaori : 20:54 | Comments (0) | TrackBack

2004年09月24日

「THE STEPFORD WIVES」

こちらは帰りの飛行機の中で。やはり日本語字幕でありました。
ニコール・キッドマンの最新作ですかね?
うーんまあ普通に面白かった、かな? 何というか2時間ドラマみたいな感じで。

やり手のキャリアウーマンだった主人公が、会社を追われてステップフォードへと家族と共に引っ越してくる。ところがそこには、男達(旦那達)だけのちょっと異様なサークルがあり、妻達は絵に描いたような良妻賢母ばかり。違和感を抱いた主人公は、唯一まともな(つまり良妻賢母とはほど遠いチャランポランな)友人と共に調査を始めるのだが。

実は、愛情とか人間らしい感情とは何か(若干大袈裟だ)みたいなそういうテーマが見え隠れはするのだけれど、どうもちょっとしまった感じがしない。コメディとしても少々中途半端な感じは否めないし、ラスト近くの展開もなんだか急で、何をそんな唐突に、といった感じ。個人的には、何故今更ニコールキッドマンがこんな作品を選んだのかちょっと判らない部分あり。(あまりたいしたキャリアにならない気がするんですが……)

女性陣は良妻賢母ゆえのありえない感じなどは、結構普通に苦笑できるんですけどね。暇を持て余し気味時にビデオレンタルでどうぞ。(一体いつだ?)

投稿者 kaori : 23:34 | Comments (0) | TrackBack

2004年09月23日

「GARFIELD」

ハリーポッターに続いて、日本語字幕だったものだからついつい観てしまった。「Garfield」そのものをこれまで知らなかったのと、「Garfield」だけがCGであることに違和感があったので(機内誌の写真を見て)、実はたいして期待をしていなかった。ところがこれ、とんでもなく面白かったのだ。

デブ猫として可愛がられていたGarfieldが、後からやってきた芸達者な犬に家庭内での地位を取って変わられてしまう。(そもそもGarfieldは、小憎らしい性格をしている:笑) 敵となる子犬を苛めて家を追い出した挙句、犬は家出。周囲の家々の飼い猫にも避難轟々のGarfieldは、テレビの向こうで無理やり芸をさせられている子犬を発見し、さすがにやばいと思ったのか子犬を遠い街まで探しに出かけることに。そこからGarfieldの大冒険が始まるわけだ。

猫も鼠も(もちろん人間も)お喋りするのに、犬達だけが言葉を喋らない。(但し、動物と人間の間では会話は成立しない) だから犬が人やGarfieldをどう思っているのかはわからない。何かやたらとGarfieldに懐いているように見えるし、おめでたいのかどうでもいいのか誰にでも愛想がいいのか。はてさて。どうも救出されるお姫様よりも王子様がクローズアップされる御伽噺と似ている。
それにしても、あれだけふてぶてしいGarfieldだけど、何故だか憎めないんだよね。これぞデブ猫の強み。GarfieldだけがCGである違和感もそのうち薄らいで、「Garfield頑張れ!」という気持ちになってしまうからおかしい。でも本当はわかってるのよね。Garfieldを可愛いと思うのは、なりふり構わない「飼い主大好き!」っていう気持ちを感じるから。ペットを持つ人にとっては、たまらないのではないかと。ま、ご都合主義なのはご愛嬌(笑)

それにしても、私達の知らないところで猫達がこんな風に色々なことを思ったり私達に伝えようとしていたりしたら楽しい。あ、でもエサが欲しいということは断固として訴えているということは、彼女達も毎日喋ってるんだろうなー。文句も言ってるんだろうな。ごめんよ、不満だらけだよな、キミらの飼い主は(笑)

ところで、地下鉄大江戸線大門駅の改札を出たところに、でかでかとこの映画の宣伝ポスターが貼ってあります。デブ猫が、通行人に仕事をサボって映画を観ようと誘ってる。か、かわいい……。あのやる気のない目が。

投稿者 kaori : 23:33 | Comments (0) | TrackBack

2004年09月22日

「ハリーポッターとアズカバンの囚人」

バンコク行きの飛行機内でやっていた。字幕も日本語だったので、本腰を入れて鑑賞することに。前の2作はもとより原作の本すら読んでいないので、判るかなあと思わないではなかったけれど、一応一話完結型のようでこの作品だけでも十分に楽しめて面白かった。原作を読んでいる友人達からの聞いたり批評サイトなんかを見ると展開が早すぎて判りにくくいという内容の話があったけれど、原作を知らない私にとっては訳がわからないということもなかったし。

逆に話の展開がスピーディーで目が離せない感じが良かったなと。原作のことを全く念頭に置かないで言っているので、実は原作を読めば「ちょっとね……」と思うのかもしれない。でも、とりあえず映画だけで話をするならば。これは前のも見たいかな、と。

それにしてもハリーくん、めっちゃ成長してますねー。もちろん、ポスターとか予告編とかでしか以前のハリーくんを見ていないのだけれど、少年というよりもう青年じゃないの。はっきり言って相当好み(笑)

しかしだね、時間を巻き戻した瞬間、誰が彼らを救ったのかなんてモロわかりだというのに、ハリーくんは何を寝ぼけたこと言ってんですかね。頭悪くないすか?(笑) ていうより、まだ甘え盛りというか。大人の顔してるのに釣りあわないよー。

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2004年09月12日

ザ・シークレット・サービス

テレビをぼんやりと眺めていたら日曜洋画劇場が始まってしまい、普段ならあっさりとチャンネルを変えてしまうところを今日はじっくりと見入ってしまった。絶対に以前ビデオで観たはずなんだが、すっかり忘れているからかいたって新鮮。

しかし、歳はとりたくないねえ。クリント・イーストウッドの年齢を感じる演技に涙しそうだったわ。戦争のない軍隊モノやシークレットサービスモノならばハリウッドの映画も好きだから楽しかった。相当なご都合主義も出演陣の魅力で全て帳消し。いやあ、素晴らしい(笑)

あー。書くことないや。起承転結、普通にドキドキさせられてとっても楽しかったんだけどね。

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2004年08月18日

「箪笥」

面白かったことは面白かったのですが。

映画を観ただけでは謎が多すぎてさっぱり判りません。謎を謎として認識することも相当難しいのではないかと。後からプログラムや公式サイトの掲示板を見てから、ようやく「ほう」と膝を打つような感じで、こういった状況は映画としてどうなのだろうと思わなくもない。そして、それらの謎はノベライズで解決する、と。でもこれは映画もノベライズも両方売る為の戦略では決してないよね。映画は韓国でも同じに上映されているわけだし。ううむ。

さて。「号泣ホラー」と謳われておりますが、全く号泣はしなかった。最近、とみに涙もろくなっているわたくしですので、もちろん部分的にじわっときたりはするわけですが、涙が溢れて……という感じでは全くなかった。どちらかというと、古典的な脅かし(音とかね)というか恐怖の煽りにきっちりハマってしまって、目を逸らしてしまったりすること多し。一方で評判通り映像はとても美しかったし、姉妹の女の子達も非常に可愛くて良かったかな。そしてラストシーン。ここが一番印象に残っている最も切なかった場面。

しかしやはりね。これだけ判りにくいのはちょっと。何度も観なさいねー、ということなのかもしれないし、私自身もノベライズを読んだ今では、もう1度観ておきたいと思ったりもするので、もしかするとDVD買うかもしれませんが。何せよ、モチーフとなっている韓国の古典怪奇談「薔花紅蓮伝」は読んでみたいかな。

家族といっても所詮は他人。たとえ親子でも、相手の心を本当に理解することはできるのでしょうかね。父親がもう少し愛情を持って接していたら(もしくは無神経でなければ)、という仮定はこの場合あまり意味がないように思う。家族だからこその甘えやら何やらは、余計に感情を複雑にするしね。

なんてことを書いていると、あまりに素直に作品のテーマ(と公にはされているもの)に対して反応しすぎると言われるわけですが(笑) 白と黒でだけで割り切れないのが世の中ではないのかとか、あまりに割り切り過ぎる今の社会に違和感を感じるとか、だからフィクションにおいての何となく結論がはっきりと提示されない雰囲気が興味深いというそういった意見も判らなくはないのだけど、やっぱりね、すっきりしないのですよ。日頃からもやもやした感情に侵食されている身としては、休日に見る映画でまで割り切れない感情を抱いていたら気分が悪くなってしまう(笑) もちろん、何が起こるわけでもない日常を描いた映画は好きだし、そういった作品に対して結末は求めない。けれど、あくまでミステリーとかサスペンスには、さ。あ、この作品はホラーなんだっけ。後味の悪さは特に気にならないけれど、やっぱり伏線やら謎やらをちりばめた挙句、何にも答えが提示されないのはね……。賛否両論でしょうけど。

週末・飲酒後・深夜であったので、観た後にはやはりぐったりと疲れてしまったことよ。やっぱホラーとかって精神的にも肉体的にも余力のある時でないとしんどいということを漸く悟ったのだった。

投稿者 kaori : 23:35 | Comments (0) | TrackBack

2004年07月29日

「四人の食卓」

随分と昔に観た気がしますが(笑)
待っていた韓国映画のひとつ。
予告編などを見た限りでは期待大だったけど、感想サイトでの試写会評ではけちょんけちょんだったので、不安と期待入り混じった感じで劇場へ。公開直後だったからだと思うけど、場内はなかなかの入りだった。

サイコホラーものだし、ネタバレしても面白くないので何も書けないに等しいけど、一言で言って「全く救いのない映画」かな。唯一救いになれるかもしれなかった人間すら、最後はそれこそ迷宮におちてしまうというか。

結婚を控えた男は、電車の中で毒殺された姉妹を最後に目撃。亡くなった幼い姉妹は、以後彼の新居の食卓に度々現れる。そして、彼には7歳以前の記憶がない。嗜眠症の女は、人の過去を見ることができる。人より感覚がするどい為か様々な体験をするが、誰も彼女の言葉を信じない。
そんなふたりが知り合ったことにより、最悪の結末に向かって物語が進んでいく。

謎が謎を呼ぶというのは確かで、観終っても解けない謎ばかり。謎解きサイトとか作って欲しいよ。怖い上に謎も解けないし、気分が悪くて仕方ない(笑)
怖いお話の謎解きといえば、その昔「ブレアウィッチプロジェクト」があったけど、あれとはちょっと違う。今回のは気色悪い。嫌悪感と言っても、血がどばーっとかそういうのじゃなくて、いやぁ~な感じだなあ、というか。心にじわじわと迫ってくる嫌悪感。
ブレアウィッチの場合は、じわじわ迫ってくる恐怖感だったけど。

子供の頃、深夜に喉が渇いて仕方なく台所へ向かうことがあった。かなり怖がりなんで、暗い階段の電気をつけ、扉があいたままのお手洗いの横をびくびくしながら通りぬけ、さらに台所の電気をつける。台所の隣には和室があって、そこには仏壇が置かれてある。扉は開け放してあるから、必ずそれが目に入ってしまう。台所の電気をつける瞬間の恐怖。ふっと浮かび上がる食卓。これがほんっとに怖かった。そして、つける時以上に消してその暗闇に背を向けることへの恐怖がものすごかったことを覚えている。決して何が見えるわけではないけれど。
そんなことをふと思い出した。話のテーマとは関係ないけどね。
とにかく、いつか自分がダイニングのある部屋に引っ越せても、大きなテーブルを置くのが怖くなった。ああ、そうだ。見えるということも怖いかもしれないけど、やはり「見えるかもしれない」という恐怖ってすごいと思うな。(だから関係ないってば:笑)

現代韓国の都市事情と心の歪みなんかもさりげなく織り込まれていて、そういった点なんかは興味深くて面白かった。が、おすすめはするけど、嫌な気分になることはうけあい。覚悟して観に行ってくださいませ。

投稿者 kaori : 23:28 | Comments (0) | TrackBack

2004年07月06日

「スクールオブロック」

こちらはバンコクへの往復どちらかで機内放映されていた映画。戻ってきたらえらい話題になっていて驚いた。

正確には観たというより、眺めていたが正解なのだけど、ね。何しろ字幕が中国語。ユナイテッドなのになぜだ。一応、読めはしなくても字面だけ追っていればそれなりに意味はわかるので、最後まで観てみたという。

私は音楽にも全く詳しくないし、ロックに愛を感じることもないので良く判りませんが、それでも何となくじんわりときた。子供達は可愛いし(ってこればっか)、次第にうちとけて教師(っていうのか?:笑)と子供達の姿がなかなかよろし。紆余曲折の末の発表会も素敵だった。これまたふつーに良い話だった。私にとっては。

えーと、えーと、これ以上は書くことがありません(笑)
わー、すみませんー。だって、話の筋を想像するのに必死だったんですもの。

投稿者 kaori : 23:03 | Comments (0) | TrackBack

2004年07月05日

「フォーチューン・クッキー」

今年、公開されてたのね。
去年の11月にプーケットへ行った時に、飛行機の中で観たのがこの映画だった。

普通にお互いが理解できないがゆえに仲のよろしくない母子が
、ひょんなことから身体と心が入れ替わってしまう。母は娘(バンド娘)として、娘は母親(再婚相手とゴールイン間近)として振舞わなければならなくなり大混乱。そして……、というお話。

ありふれた物語だな。一応心あたたまるドタバタハートフルコメディ劇と。最後は、お互いがお互いを理解して、再婚相手も娘を理解してくれる人間だとわかり、最後には入れ替わりも解けてハッピーエンド。いい話だとは思ったけど、でもそれだけ。すんません。

投稿者 kaori : 23:22 | Comments (0) | TrackBack

2004年07月01日

「ラブ・アクチュアリー」

蓼科のホテル内映画館で観た1本。千円だった。ラッキー。
ってそうじゃなくって(笑)

冒頭で、「All you need is LOVE」が流れた時には、うわっ!(ぞぞぞ~)と思ったけれど、これがあなた予想外に面白かったわけだ。テーマは「LOVE」だから、強烈なまでにくさいことは確かなんだけど、お尻もぞもぞ感をあまり感じなかった。そこかしこでコメディーっぽく笑いを誘うシーンが多く比較的さばけた雰囲気になっていたのがマル。一歩間違うと気色悪いラブストーリーのオムニバスになってしまいかねないしねー。(いや、ラブストーリーが悪いとは言ってないっすよ?)

9つのストーリーをメインに宣伝されているようだけれど、細かいものを含めたらもう世の中には愛だらけさ!ってな具合で、それはそれで冷静に見るとちょっと、となるにはなる(笑) それでも、お気に入りのストーリーがみっつ。

まず、親友の奥さんにずっと想いを寄せていた青年の話。
いやもう騙されましたって。観ているこちらからして、「旦那が好きなんかなあ」などと思っていたわけだから、相手が気づかないのも当然。気持ちがバレないようにするあまり冷たくしてしまうなんて、映画の世界でなく現実でだって、相当ありがち。
相手にバレて、進退きわまった彼がとった行動がまた切ない。もう不覚にもうるうる。

で、その2。母親をなくした幼い息子が同級生の女の子に寄せる想いと、妻をなくした男が、彼女が遺した義理の息子の恋を叶えようとするお話。
この子役がさー、もうめっちゃめっちゃ可愛いのよ。色白でおめめぱっちり、表情豊かでちょっと小生意気な部分と天使の部分が入り混じり、もうめろめろですわ(笑)
学校でも有名な女の子への想いを叶える為に、彼がもう可愛らしい努力を懸命にするわけですよ。その度にとーちゃんは頭を抱えたりするわけですが、やめろと言えない。妻が亡くなった悲しみが、その息子と過ごすうちに少しずつ癒えていく様も非常にいい感じ。このストーリーのクライマックスのシーンなんて、最高にキュートだったと思う。
ところで、その女の子が劇中で、マライヤ・キャリーの「All I Want For Christmas Is You」を歌うんだけど、これに字幕がついていた。あれだけ売れた曲なのに、恥ずかしながら初めて歌詞の内容を知りました。てへ。そして、この曲って「29歳のクリスマス」の主題歌だったよね。ううむ。思えば遠くへきたもんだ(違)

そしてみっつめ。
イギリスでもてないクンだった男性が、もてもてクンをめざしてアメリカに渡るお話。これはもう大爆笑。しかし、笑えない話でもあるかな(笑)←って笑ってるやん。涙ぐましいのよ、ホント。多くは語りませんけど。

結局このお話の舞台は、クリスマスまでの数週間で、全編を通してのキーソングは「Christmas Is All Around」。これ以外にも色々な曲が使われていたけれど、少し離れて座っていた同僚は「サントラが欲しくなった。音楽が良かったなー」と言っていた。

つまりいい映画だったと思うんだけど、ひとつだけ。どうしても「9.11」を持ってきたいのね、というところがちょっとね。こないだの「25時」といい。何つうか、うーん。

映画の後、一緒に昼食をとった後輩のひとりが「ヒュー・グラントが出る映画ってにおいません?」と言っていた。確かに。

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2004年05月21日

ふたたび「リアリズムの宿」

こないだの日曜日に観たばかりではありますが、本日の最終上映後に主演3人によるサイン会があるということで、退社後にいそいそとバスにて渋谷へ向かったわけです。ええ、ミーハーですから(笑)
金曜夜の渋谷なんてものすごく久しぶりで、でもわき目もふらずシネマ・ソサエティへ向かって坂道を登っていくわけです。だから疲れるんだってば。

某氏に整理券まで貰いに行ってもらった割には結構後方座席はすいていて、こんなもんよねといった感じ。早起きさせるんじゃなかったかしらと少し後悔したものの、数分後には予告編なしで始まった映画本編に夢中。何度観ても(しょせん2回目だけど)面白いっす。前回観終わった後にパンフレットを購入したので、そちらを参考に前回見落としたところとか、ロケ場所の違いなんかを確認。そして、役者さんの表情なんかを今回は中心に。

思い返せば、同じ映画を映画館で二度観るのは、「パルプ・フィクション」以来だと思う。でも、あれも最初の1回目にオープニングシーンを遅刻で見逃すという致命的なミスをおかした為で、全編をフルで2度観たのは初めてだと思う。だけど、もう1回観てもいいと思った。

前回書かなかったので簡単にあらすじなど。
共通の知人から温泉地への旅行に誘われた男性2人。お互いはせいぜい顔見知り程度の関係なのに、肝心の友人が寝倒して大遅刻。既に2人は待ち合わせのさみしーい駅に到着しているにのもかかわらず、だ。仕方なく宿泊予定の旅館に向かうが、実はそこは……。
2人は次々と旅館を転々としたり、あまりあてもなく観光地でもないよな場所へ行ったりするうちに、ひょんなことからひとりの女性と知り合う。

何か特別なことが起こるわけでもなく、淡々とした感じで描かれる旅の光景。
非日常を求めて旅に出た先が、あまりにも日常的であったことに対する笑い、みたくどこかに書いてあったけれども、何かそのあたりは微妙な感じ。だって、あんな旅行はほとんどありえない。普通の旅行の方が日常で、これこそ非日常っていうか。……でも、だからやはりそこが笑いどころなのか。
そして一方、主人公の2人に関しては、当然のように笑えない部分が多々あり。いい感じでダメなんですよ、ホント(笑)

しかしですね、上演後に舞台へ登場した彼らは思っていた以上にカッコ良くてびっくりした。いやもう、特に長塚圭史。前回購入したパンフレットを差し出してサインをしてもらっている間中、よく判らない感じで緊張するバカな私。いちいち「今日はありがとうございました」と言わなくてはならない彼らは大変だわ。そして、ここまで一度たりとも登場しなかった尾野真千子。舞台にあがった姿を見た時には、おお、可愛いぞと思った。本当に思ったんだけど、サインしてもらった時ふっと顔を間近でみたら、あまりにきっちりとお化粧していてちょっとひいた。だってまだ若いのに、「塗ってますっっ!」といった感じのファンデだったから。ファンデーション以外には特に派手なわけでもなかったんだけど、それがあまりにしっかりしすぎていると厚化粧に見えてしまうのが何とも。ううううん、地肌がどんなんか判らないから何とも言えないけど、やっぱりもう少しナチュラルでもええと思った。せっかくかーわいいのにー。

ご機嫌で会場を出た後、某氏に「映画で観るより、めっちゃカッコ良かったあの2人」という話をしたところ、「わざとカッコ悪くとってんだから当然じゃん」とあっさり切り捨てられた。そ、それは判ってたんだけどさ……前にもそう書いたし(カッコ良かったら成り立たないって)。だけど、あえて言ってんじゃん! 好みなんだってばーよー(心の叫び)

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2004年05月16日

「リアリズムの宿」

ああもう。ようやく観てきましたって、「リアリズムの宿」
しかし、シネマソサエティへ向かう坂道って強烈な。もちろん、マークシティの中を通れば別に問題ないことは判っていつつも、何故に雨に濡れながら外を歩くかな自分。

文句なしに面白かった。原作は読んでないけど、大幅にアレンジしてるっていうからとりあえずよしとして。

男の子ってやっぱりいい。別に男の子が素敵とかいう意味ではなくて、細かいことを気にしたり、見栄っ張りだったり、変なところでムキになったり、でも優しくて、かなり不器用。そんな彼らを見ていると何だかほんわかした気持ちになる。どこにでもいそうな「男の子」。もちろん、私は男の子ではないから、心から「それってあるよな」と思うことが出来なくてちょっとつまらないけれど、くすくす笑いながら「あるのかもしれない!」とは感じられる。例えば、顔見知りの相手の年齢が自分より上か下かを気にしたり、童貞かどうかをめちゃめちゃ気にしたり(笑) いや、笑いごとではなく結構大変なことなのかもしれないけどさ。

そしてこれ、主人公のふたりが美男子じゃないのがいい。だけど観ている間にだんだんと「お、なかなかいい感じやん?」と思えてくるあたりが何とも(笑) だいたい美青年だったら成り立たないしな。

特にさ、ラスト近くの場面が好き。女子高生が群がる駅前を、主人公の二人が歩き、そして立ち止まる。それから、海沿いを3人で歩くところ。(いくら何でもそんなに遅刻すっかよ!という突っ込みは置いておいて:笑) 少し寂しくて、でも穏やか。

全般を通してニヤニヤ笑いが漏れる。もちろん声に出して笑える場面もあるんだけどね。
私のまわりにも少なからずいる、ちょっと見栄っ張りでいっぱい不器用な愛すべき男の子達に見せたい映画。DVDになるかな。なったら買って無理やり押し付けてやろう(笑)

あーっと、くるりの音楽忘れてた。(忘れる位に、長塚圭史が素敵だった。ってやっぱりそれかよ!) テーマ曲の「家出娘」、CDにならないと聞いたけど、ホントかしら。そのウチなるよな、きっと、たぶん、おそらく……。

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2004年04月19日

「25時」

エドワード・ノートンって顔が長くないすか?髪型のせいかもしれないけど。
ただのTシャツにコートを羽織っただけの姿で犬を連れて歩く、もしくは海沿いの公園のベンチに腰掛けて景色を眺めているというただそれだけで、やたらと雰囲気がでてしまう。さすがハリウッド俳優。もっとも、別に彼だからというわけではない気もするし、31歳の役柄の割には、彼の額はちとやばい。

……ええと、そんなことさておき。
9.11後のN.Y.。ヤクのディーラーだった主人公が、誰かのタレ込みで見事に逮捕され、さらには警察への協力を拒否したせいで7年間の実刑を受ける。明日から長い監獄生活を送ることが決定しているそんな朝から話は始まる。投獄までの残り25時間を描いた作品。

ヤクのディーラーとしてぶいぶい言わしていた(死語)主人公が、一貫して投獄を怖がり続けるのは、同性による性的暴行を受けることに対する恐怖から。そして7年間という時間をふいにしてしまうことへの懺悔の念。でも結局のところ「人生をふいにした」と繰り返すのは、その先に性的暴力を受けることによってボロボロになっていく自分が目に見えるからであろうと。出所するまで耐えられるかどうか。もしも、自分をたもって出所できればまだ38歳。もう一回人生をやり直そうと思えばきっとできなくはない年齢だと思うしね。
しかし、同じ収監者からの性的暴力におびえるという部分が、日本のそれとは違うね。日本では収監者ではなく、看守の暴力が世間的に公になっている。大きな違いだなあ。


この映画に登場する人物は、皆それぞれ自分に素直な人ばかり。
結局、友情とか言ってみても腹を割って話してみれば、微妙な感情を持たれているやもしれない。出所してくる友を、本人の前では「待っている」と言いつつも、別の友の前では、「今日が最後だろう」ときっぱりと言い切る。そんな彼が住むマンションから眺める地上では、ワールドトレードセンター跡地を更地にする為の作業員が働いている。

一番印象に残ったシーンは、映像と言葉が交錯する数分間。自分の心情を激しく吐露し続ける鏡の向こうの妄想上の主人公。そして、鏡の中の自分を見て呆然としている現実の主人公。実は、おいおいそこまで言うか?と思ったりもしたのだけれど、ね。
そして、少し切ないラストシーン。しかし、日本じゃ北海道から沖縄に逃げたってきっとつかまるよなあ。西へ西へと向かえば人生をやり直せるというようなことを信じられてしまうアメリカって、一体……。

しかし、自分のことを二枚目だと自覚してるってーのも、嫌味なヤツだなあ(笑)

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2004年03月29日

「きょうのできごと a day on the planet」

殺人の追憶も良かったけど、今日の私の心は丸ごとこの映画に鷲掴みにされました(笑)
京都で(関西で)学生時代を過ごした現社会人には、たまらない1本でしょう。

鴨川にかかる橋、出町柳の駅、深夜の酒の買出し、はんてん着て自転車で駆け抜ける道路、古い長屋に飲み干した缶ビール。片想いに、ベタなラブラブカップル、でもそこにもちゃんと切なさがあって、そしてそれぞれの1日。そこかしこで色んな人の色んな1日があって、色んな想いがある。そして、そのどれもが、「あるある、絶対ある。ていうかあった!」って思うようなかけらばかり。

「うまく言われへんけど」
そいいうことって、あの頃にもたっくさんあったし、今もある。そんなことがめいっぱいつまっている映画だった。学生時代って、特に何があったわけではなかったけれど、このまま永遠にこんな時間が果てしなく続いていくのだと思ったこともあったけど、だからこそとても大切で、何だろう、それこそ「うまく言われへんけど」ものすごく愛しい日々だったなと。

キャストも良かった。メインのキャストが良かったのはもちろんだけど、でも、一番ぐっときたのは、女子高生役の派谷恵美が見せた海辺での最後の表情。やっぱり私はいい歳こいてセンチメンタルなんだ。あの一瞬が一番希望に満ちたものだったと思ったから。

しかし、出番は一番少なかったけど、池脇千鶴の最後の台詞はいいねえ。
暗転した後の捨て台詞。「まごころを、君に」でのラストを彷彿させる。思わずアスカかと思ったよ(笑)

蛇足ですが、今回の映画では柏原収史が一番素敵だったと思うです。ええ。

投稿者 kaori : 01:32 | Comments (0) | TrackBack

「殺人の追憶」

えーと、ネタばれです(笑)

最終上映が終わって劇場を出た後、階段をおりる私の背後からあるカップルの話が耳に入ってきた。
「いやー、何かすっきりしないよな。判ってたんだけど……。判ってて観ちゃうんだよなあ」
……同感ですとも(笑)

韓国で実際に起きた未解決の連続殺人事件。
だから、最後に謎が解けてすっきりするなんてことはもちろんのことありえない。最後まで謎は謎のまま。むしろ、その事件を捜査した2人の刑事の物語。捜査の過程での2人の心の揺れや変化が描かれている。結末はわかっているから、途中微妙に間延びに似た感覚が襲ってきたりもしたけれど、全般的にはさすがに面白かった。

登場したふたりの刑事にはそれぞれに自分の信念みたいなものがあり、だから捜査にもそれがきっちり現れている。何度かそれが裏切られても、まだ彼らの自信は揺らがない。ところが、これが最後の砦と思った容疑者が犯人ではないと判明した時の表情。それがものすごく印象的だった。人の目を見れば全てわかるといっていた刑事、書類は嘘をつかないといっていた刑事、そのふたりともが自信と理性を失ってしまう瞬間。

そして、本当に刑事を辞めてしまった彼の十数年後の表情が。何ともいえないやりきれないラストシーンに、これが狙いでしょう?と思いつつすっきりしない気持ちになってしまった。
犯人は犯行現場に舞い戻る。彼の中では一生事件は終わらないのだろうと。
まんまと刑事の感情と同調してしまった。やられた。

フィクションとノンフィクションが微妙に入り混じった物語。踊る大捜査線の○倍(何倍かは忘れた)も面白いというキャッチがついたポスターを見たけれど、やっぱりそれとは方向が違うでしょう? あれはあれ、これはこれの良さがあると思うよ。確かに人物の心の動きとかそういうものでいうならば、殺人の追憶はよく出来ているとは思うけど。

そういえば、前出のカップル。彼の方が「彼が目撃者だってこと、すごく注意深く見ていたつもりだったのに判らなかった」と言っていたね。でも、私から言わせれば丸判りだったっと思うのだけれど……。

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2004年03月14日

「ラブストーリー」

さきほど帰宅したので、わたくし的にはまだ今日なんですけど(笑)
昨日は、タイ旅行打ち合わせ第二弾の前に、ひとり映画を観に行くことにした。
「猟奇的な彼女」のクァク・ジョエン監督の新作「ラブストーリー」。
正直言うとね、普通のお涙頂戴だと思っていたのですよ。実際、お涙頂戴には違いなかったのだけれど、でもラストに近づくにつれ、恥ずかしいことに泣いておりました。隣に座っていたおじさんも泣いていたような気がする。

結局は、二度とは戻れない時を思い起こさせるのだと。決して自分にそこまでの何かがあったわけでもなくて、そこまでの何かがない自分こそを何故だか穢れたものだと思えてしまう。だから、あまりにも純粋すぎるこの物語が切なくて仕方がない。ここまで想える何かが自分にあれば……いや、それは幻想でしかないのだけれど、それでも胸を締めつけられるようなものがこの映画にはあったと思う。

何ひとつとして戻れるものなんてない。私が今暮らす日々の中には、この映画にあるような奇跡のようなものなどあるわけがない。それでも誰かを求める気持ちや、自分の想いに素直になる気持ち、そんないつの間にか忘れてしまいそうになっていたものを、ほんの少しだけ取り戻したくなった。

……単純におセンチなんだろうなあ、いい歳して(笑)
やれやれ。音楽がまた泣かせるし。

もうすぐ終わってしまいますよー。観て損はない気がします。

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2004年01月18日

「THE LAST SAMURAI」

夕方から友人と新宿にて「THE LAST SAMURAI」を観てきた。
とりあえず観ておきたいなあと思っていたのに、ちっとも行動に移さず、ずるずると終わりがけまで来てしまったけれど、結果的には良かったかも。ぜんぜん普通に座れたし。
しかし、映画を観るなら郊外のシネコンがやはり一番だなというのが実感。座席も快適だし、足元にも余裕があるし、ドリンクホルダーもついている。何より綺麗だしね。

前回劇場で観たのは「踊る大捜査線」で、今度が「ラスト・サムライ」。いやはや(苦笑)
まあ、そんなことはさておき本題です。(思い切りネタバレしてますぜ)

私っていつから殺戮シーンがこんなに苦手になったんだろう。切腹シーンとか血がどばーっていうシーンについ顔を背けてしまう。どちらかと言えば、かなり嘘っぽいであろうに(ため息) それにしてもバシバシ殺しますな。……そんなこともどうでもいい。とにかく。

トムクルーズがいやらしい。
戦だったとはいえ、自分が殺した相手の奥さんであるところの小雪を見る目がいやらしすぎる。最初っから最後までもうそれは本当に。舐めるような視線というか何というか。始終あんな風に見られたら嫌悪感で卒倒しそうよ、私なら(笑) なのになんで彼女は惹かれていくんだ、よう判らん。

確かに、ハリウッドでありがちな妙な日本描写はなかったと思うのだけれど、いかんせんツッコミどころ満載で。

主なツッコミどころは2点。
まず、いくらなんでもあんなに撃たれたら先に進めやしないだろ。
鉄砲で撃たれて、もうさ血がどばーっと出ていて、真っ青な顔してさ、「これ以上一緒に行動することはできないから、自分を置いていってくれ」とか言っているくせに、その後すぐすっくと立ち上がり、渡辺謙やトムクルーズの盾になりひたすら矢を撃って反撃するってのはどんなもんだ? そこまで反撃できれば一緒に逃げられるだろう。最後の戦闘シーンにしてもしかり、集中砲火くらってそれをぬって突き進むって……かなり無理。馬が弾に当たらずにあそこまで至近距離まで接近できないって。何? それこそがサムライの精神だって? 精神で何とかできることとできないことがあります。いくら何でもデフォルメしすぎ。

次に、サムライの精神に心酔したトムクルーズさんよ、あんた生き残ったらあかんやろ。
あれほど渡辺謙が戦で散ることにこだわっていて、切腹の直後、最後の最後に「これでパーフェクトだ」という言葉を残していたにもかかわらず、ちゃっかり生き残るとは何ごと。渡辺謙を看取った後、自分も切腹するくらいでないと真実味にかけると思わんか。しかも、友人の妄想とはいえ、小雪が暮らす村へと帰っていくとは言語道断。村の男達はほとんど全滅しているというのに、そんなのこのこひとりで戻ったりしたら顰蹙買うと思うんだけどなあ。
小雪にしてみたら、惹かれている男が無事に戻ってきてくれて嬉しいかもしれないけど、自分の兄ちゃんも甥っ子も死んでるんだもの。かなり複雑なはず。

そもそも、戦の直前のキスシーンだって問題だと思うんだよねー。友人は「小雪ちゃんは武士の妻なのに(武家で武士なのかどうかかなりアヤシイが)夫が戦死した直後にほかの男とそんなことをするほど嗜みのない女性なのか,ということではなく,」言っているけれど、でも、私はそれも問題だと思うのよね。兄があんな風なのに、そんな、ねえ。まあ、二度と会えないかもしれないという切迫した状況がゆえにでた行動、といえば言えなくもないのだけれど、それならトムクルーズを生きて戻したら台無しだ。(まあ、小雪がトムクルーズに鎧を着せようとして帯に伸ばした指先もめちゃめちゃいやらしかったけどな)

明治天皇関係のツッコミに関しては、前出の友人に任せて(笑)

関係ないけど、ついつい謙さんを間違えてしまう私。渡辺謙を、松平健と混同してしまうという(笑) 整理すると、「独眼流政宗」が渡辺謙、「暴れん坊将軍」が松平健なのね。ケンさん違いだ。ふむふむ。

それにしても今回、真田広之は一体何だったのでしょう……。微妙すぎる。

投稿者 kaori : 23:24 | Comments (1) | TrackBack

2003年09月04日

「Catch me if you can」

マザコンでファザコンのすねたマセガキが(やたらカタカナが多い)、お金があれば家庭が再生できると大いなる勘違いを起こし、その挙句繰り広げる犯罪に、警察機構が振り回されるお話。要約すれば。実話か何だか知らないけれど、お伽噺だ、これは。いくら映画とはいえ、現実感なさすぎ。

それで何だって? 18歳のガキが2年やそこらでその道のプロ? 世界には天才がいるわけだからそんなこともあるやもしれんが。天才的だという、あるいは努力したのだという、そんな描写がどれもこれも弱すぎて、あるいは騙される大人が滑稽過ぎて、微妙にしらけ気味。……どうしよう。16歳を演じるディカプリオはさらにどう言って良いのか判らない。あーうー。あー。

あまり語るとネタバレになるので、この辺で(今さら、もうネタバレもないか。ビデオもDVDも出てるし)。

でも私って、こないだの「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」でも同じようなこと言ってたっけか。いや、でもあの時は「ご都合主義」だったよね。ええと。まあ、どうでも良いです。

えっと、今度の週末は古典映画を観るって言ってましたっけ? そんなこと言いましたっけ? ははは……。次回Movieに続く(笑)

投稿者 kaori : 23:59 | Comments (0) | TrackBack

2003年08月14日

「チャーリーズ・エンジェル・フルスロットル」

何とご都合主義な映画やねん!(笑)
アニメチックなアクション物と一言で済ませてしまえば、マトリクスと同じになっちゃうのだけど、こちらは安っぽい感じが。(いや、そんなマトリクスが好きなわけじゃないんですが) 何にせよ、安心して見られる映画ではあります。どんな場面でも、どきどきはらはら、ではなく笑いどころになってしまう。そりゃないでしょ、と。ま、それはそれ狙ってるのかもしれんけど。

女の子達は華やかでカッコ良くて可愛くて、普通の悩みがあって、友情があって。等身大のふつーの女の子が才能を見出され活躍しちゃったりする、しかも、それぞれの魅力はユニークなものだなんて言われ。ああ、そういう部分をひっくるめたらオンナノコの憧れになるのかしら? (けど、その割には下ネタ多し) しかし、いくら何でもと思う(笑) 何回死んでも足りないって。

そうそう。あの山に見える「Hollywood」の文字は、ライトアップされないのがホントらしい。私がロスに行った時は、お隣の天文台に行ったのだが、真っ暗でホントに何も見えなかった(汗)

何にせよ、お父さんは大変ね。ふう。

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2003年07月28日

「8人の女たち」

そして、もうひとつ観たのはこのビデオ。これ[amazon]も公開時から非常に興味があった作品。何せ出演している女優陣の豪華なことといったら。「女たち」をいかに重要視しているかというのは、唯一の男性出演者が後姿でしか描かれていなかったことで判る。ありゃ誰だ、とか思った。

結論から言えば、いまいち。ミュージカルシーンの必要性はあまり感じなかったし、全てをひとつの屋敷だけで完結させるのも、あまり効果的といったわけでもなかった。映画でなくて、舞台のが良かったたんでない?

色と欲とルサンチマンにまみれると女って怖い(あれ、男もか?)、と思わせる程度にはドロドロ感があってそれはそれで良かったのだけど。そのあたりは、女優の力量。但し、各人の個性が強すぎてまとまりのない感じは否めなくて。同じドロドロ(?)なら、「悪魔のような女」[amazon](リメイク版ね:笑)の方が好き。まー、これはイザベル・アジャーニ大好きっ子であるわたくしの贔屓目であるのかもしれませんが。登場の必然性はなくても、キャシー・ベイツはカッコいいし。3人は許せても、8人もいるとウザよな、かなり(笑)

やっぱね、最終的にホントに恐ろしいのは純真無垢な心だと思うの。知らなければ知らない方が人間幸せなコトのが多いわけよ。ほら、付き合ってる彼(彼女)の浮気は、知らないまま過ぎればなかったのと同じでしょ? 隠し通すのも愛情ってのは、間違ってないと私は思うね。あー、まー、なかなか難しいことではあるんだけどさ、って、私は何を言ってるの?(笑)

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「踊る大捜査線」

ようやく観てまいりましたよ!
「踊る大捜査線 THE MOVIE2 レインボーブリッジを封鎖せよ!」
3連休も最終日になり、ようやく重い腰をあげて大泉へ向かったのは午後2時過ぎ。西武池袋線ならば10分そこそこ。でも、練馬から大泉学園行きのバスが出ているので、それを使ってみることに。本を読みつつ、見知らぬ土地を眺めながらバスに揺られるのは悪くないもの。

目的の映画館に向かうのは初めてで、大泉学園駅前の地図と睨めっこしながらてくてく歩く。私が自信満々に歩くとたいていは間違った道へ向かっていることが多いのだけれど、今日は珍しく完璧。チケットとビールとおつまみを買っていざ指定席へ。(ここは全席指定なのだった)

ああもう。みーはーもーど大炸裂。織田裕二すてき、というか青島俊作すてき。でもその素敵さは、柳葉敏郎、というか室井管理官なくしては成り立たない。詳細はネタバレになってしまうのでここでは書かないけれど、今回も期待を裏切らなかった。(ちょっとラストが消化不良だけど)軽快なテンポとうまい演出。笑わせて泣かせて、さらにはミーハー心を鷲づかみ!

作品そのものが優れているとかどうだとかは判らない。「踊る」のドラマシリーズや番外編、それに前作のTHE MOVIEを知らない人が観たら楽しめるのかどうかも。いつものメンバーといつもの展開。少なくとも私はこのマンネリを5年間待っていた。そして、次回作に続くかもしれない、伏線を何とはなしに探してみたり。

それにしても5年、か。そう5年もたったのだ。あれから。
前作は新宿の映画館で立見だった。それでも気にならない位に面白かったのを覚えている。珍しく意見が一致して見に行った映画だった。もしかしたら、今回も観に行くと言ったかしら。それとも。……何て感傷的な気分になったりも。

話は変わるが、あの映画館のスクリーン1の音響設備がどうにももったいなような気がして仕方がない。もっと効果的に使ってあげようよ。ホントに数えるほどの回数、突然後ろから音がしただけ。あまりに唐突に音がするので、その度に思わず後ろを振り返っちゃったよ(笑) シートそのものは、これまでのシネコンの中で、一番座り心地の良いものだった。やー、いい映画館だったので、今後も映画は大泉学園にて(笑)

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2003年07月27日

「奇人たちの晩餐会」

1週遅れの3連休ということもあり、日曜日の夕方から夕食も兼ねてふらふらと外出。食事の後は、TSUTAYAへ寄ってレンタルビデオ(DVD)を7本近くも借りて帰宅。まず観たのがこれ。今さら感が漂うのだけれど、ずっと観たいと思ってたのよ、公開時から。

「奇人たちの晩餐会」[amazon]
映画の出だしがまるでこじゃれアニメのようだったので(でも、タランティーノ「フォー・ルームス」の挿入アニメに似てたと思うのは私だけ?)、「うわ、どうしよう」と思いもしたのだけれど、いやはや笑った笑った。夜中だというのに窓を開け放していたので、向かいのお部屋の方の睡眠を邪魔したんじゃないかと、後からちょっと不安になるほど。

結局のところ、この映画には色々な意味で「バカ」しか登場してないような気がするけど、こうしてこの映画を観て笑っている私らも似たようなもんなわけよね。でも、最終的には人をバカにすると痛い目を見るというか、実直に生きている人間の方が信頼がおけるというか、そういうまっとうな結論が。(そうか?)
や、それを斜に構えてとらえたりすると、ロクなことにならない気がする。(そうか?)

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2003年07月19日

そんなこんなで

今日予定していた映画は観に行けずじまい。何かダメだなぁ。完全に週末ひっきー。
え、何を観る予定だったかって?決まってるじゃないすか。本日公開「踊る大捜査線 THE MOVIE2/レインボーブリジを封鎖せよ!」

近々必ず観に行くのだ。大泉学園に。もう新宿・池袋まで行ったりするのが面倒で(笑)

それにしてもあれだ。予定していたものを結局できないまま終わる週末の何と多いことよ。最悪。

投稿者 kaori : 00:05 | Comments (0) | TrackBack

2003年07月14日

遅ればせながら

BOX東中野が閉館していたことを知る。4月末とは。何か月知らずに過ごしたわけ? 仕事の忙しさにかまけて、まったくそっち方面にアンテナが向いていなかったということだ。何となくがっくり。

近所(でもないけどさ)で好きな映画館と言えば、あとは中野武蔵野会館といったところか。あそこも近頃めっきりとご無沙汰。今、神様にひとつお願いをするとしたら、「映画館まで出かける気力をください」   いや、映画館どころかレンタルビデオさえ最近あまり観ていない。昨日も「テルミン」を見逃した。何やってるんだか。

投稿者 kaori : 23:20 | Comments (0) | TrackBack