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2004年08月18日

「箪笥」

面白かったことは面白かったのですが。

映画を観ただけでは謎が多すぎてさっぱり判りません。謎を謎として認識することも相当難しいのではないかと。後からプログラムや公式サイトの掲示板を見てから、ようやく「ほう」と膝を打つような感じで、こういった状況は映画としてどうなのだろうと思わなくもない。そして、それらの謎はノベライズで解決する、と。でもこれは映画もノベライズも両方売る為の戦略では決してないよね。映画は韓国でも同じに上映されているわけだし。ううむ。

さて。「号泣ホラー」と謳われておりますが、全く号泣はしなかった。最近、とみに涙もろくなっているわたくしですので、もちろん部分的にじわっときたりはするわけですが、涙が溢れて……という感じでは全くなかった。どちらかというと、古典的な脅かし(音とかね)というか恐怖の煽りにきっちりハマってしまって、目を逸らしてしまったりすること多し。一方で評判通り映像はとても美しかったし、姉妹の女の子達も非常に可愛くて良かったかな。そしてラストシーン。ここが一番印象に残っている最も切なかった場面。

しかしやはりね。これだけ判りにくいのはちょっと。何度も観なさいねー、ということなのかもしれないし、私自身もノベライズを読んだ今では、もう1度観ておきたいと思ったりもするので、もしかするとDVD買うかもしれませんが。何せよ、モチーフとなっている韓国の古典怪奇談「薔花紅蓮伝」は読んでみたいかな。

家族といっても所詮は他人。たとえ親子でも、相手の心を本当に理解することはできるのでしょうかね。父親がもう少し愛情を持って接していたら(もしくは無神経でなければ)、という仮定はこの場合あまり意味がないように思う。家族だからこその甘えやら何やらは、余計に感情を複雑にするしね。

なんてことを書いていると、あまりに素直に作品のテーマ(と公にはされているもの)に対して反応しすぎると言われるわけですが(笑) 白と黒でだけで割り切れないのが世の中ではないのかとか、あまりに割り切り過ぎる今の社会に違和感を感じるとか、だからフィクションにおいての何となく結論がはっきりと提示されない雰囲気が興味深いというそういった意見も判らなくはないのだけど、やっぱりね、すっきりしないのですよ。日頃からもやもやした感情に侵食されている身としては、休日に見る映画でまで割り切れない感情を抱いていたら気分が悪くなってしまう(笑) もちろん、何が起こるわけでもない日常を描いた映画は好きだし、そういった作品に対して結末は求めない。けれど、あくまでミステリーとかサスペンスには、さ。あ、この作品はホラーなんだっけ。後味の悪さは特に気にならないけれど、やっぱり伏線やら謎やらをちりばめた挙句、何にも答えが提示されないのはね……。賛否両論でしょうけど。

週末・飲酒後・深夜であったので、観た後にはやはりぐったりと疲れてしまったことよ。やっぱホラーとかって精神的にも肉体的にも余力のある時でないとしんどいということを漸く悟ったのだった。

投稿者 kaori : 2004年08月18日 23:35

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