2005年05月02日

「エマ」

一部で話題になっとりますが、初めて読んだよ。
あまりにわかりやすいですが、眼鏡っ子メイド萌え。まあ問題はそんなことではなく(いや、やっぱそんなことかもしれないけど)、ストーリーそのものが相当面白い。これはハマるでしょうね。そしてそして、今後は何つうか陰謀渦巻く予感。うーん、早く続きが読みたいぞ!

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2005年03月01日

「φは壊れたね」森博嗣

森博嗣待望の新シリーズ、だそうで。何だかんだ言いながら、書店で見かけるとどうしても手にとってそのままレジへ向かってしまうあたり、やはり好きなんだろうなと。今回の決め手は西之園萌絵が再登場するという帯。
個人的に前シリーズ(Vシリーズ)の登場人物よりは、初期シリーズ(S&Mシリーズ)の西之園萌絵&犀川先生の方に魅力を感じるのだった。だから少しウキウキしながら読み始めたのだけれど、今回の主役は彼女達ではなかった。もちろん萌絵は比較的頻繁に登場するが、犀川先生は存在としてはあるもののほとんど登場しない。(一応、見えない場所で同じように謎は解いている模様だか) 萌絵にしてみたって、何だかご隠居さんのようだ(笑) 今回の主役はおそらく大学生の無口な男の子。何だか犀川先生に性格が似ている感じがしなくもなく、本人にとって極めて重きを置いていることだけを口にする。実際に周囲にいたら扱いづらいけど、フィクションの世界でならなかなか好みのタイプ。(だから、犀川先生が好きなのだが) この先、彼がどんな風に話にからんでくるのか楽しみ。そして、案の定萌絵はあの手のタイプが好きだし、年下だから可愛いのであった(笑)

それにしても今回は読み易かった。犀川先生似の今シリーズ主役級である彼以外の新キャラ(?)は、これまでに較べると格段に普通の人で、何だかちょっと味が薄いような気がしてしまうのは、これまでの雰囲気に慣らされてしまっているからか。難しい難しいと言いながら、分かり易くなるとつまらない気がしてしまうのは良くない傾向ね(笑)

肝心の物語はといえば、友人宅で寛いでいた主人公(なのか?)は、ひょんなことから美大生(芸大生だったか)の宙吊り死体に遭遇する。現場は密室。被害者は、果たして自殺なのか殺人なのか。殺人であるならば、密室の謎はどう解かれるのか。大学院生となった西之園萌絵は、後輩達(そして犀川先生)と共に事件の解明に乗り出す。

読み易かったからでしょうかね。あっさり読み終わってしまいましたことよ。このシリーズは何に注目して読んでいけば良いのでしょう。人間関係でいけば、最初の「犀川と萌絵そして四季」、続いて「紅子と保呂草そして林など」、それじゃ今回は? まだこれだけじゃ良く判らない。とりあえず次作を待て、といったところか。

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2005年02月28日

「生首に聞いてみろ」法月綸太郎

今さら感が漂いますが2005年度版「このミス」国内第1位だそうで(このミステリーがすごい!2005年版)。昨年の「このミス」には目を通していない(というか、ミステリそのものをほとんど読んでいない)から、どういった作品が選ばれているのかを全く知らない。とりあえずおすすめ本を人に尋ねたらこれを差し出されたので早速読んでみた。
法月綸太郎の作品を読むのはものすごく久しぶりで、最後に何を読んでどんな内容であったのかもすっかり忘れている。もっとも、忘れるほど長きにわたって長編の新作が出ていなかったという話もあるにはあるが(笑)

で、ようやく名探偵法月綸太郎が戻ってきたというわけだ。彼のミステリにおける名探偵は、作者の名前を持っている。もちろん作者自身を投影していないわけではないが、作者そのものではない。それは了解しているのだが、個人的に作者(の名前)が主人公となっている話を実はあまり好きじゃない。これはただの偏見というか傾向というかそういうもので、決してそういった物語の全てが嫌いなわけではない。でも、ちょっと抵抗がある。そんな感じ。だから、法月綸太郎を読む時には若干構えてしまう。今回もそうだった。

「地味な話」と言われていた通り、確かに何かを踏み外すようなこともなく、起承転結きっちりとひとつひとつのエピソードを積み上げた堅実なお話だった。

法月綸太郎は、友人の写真展でひとりの美人女子大生と知り合うが、彼女はやはり倫太郎の友人である男の姪であり、著名芸術家の娘であった。ところが復活作に取り組んでいた芸術家が突然病死、その遺作を巡る謎に彼は巻き込まれていく。

今回のテーマは、「名探偵は万能ではない」といった感じですかね? もちろん最終的には事件の解決に辿り着くけれど、そこまでに至る状況下では常に後手後手になっている。依頼主からすれば忸怩たる思いもあるだろうて。けれど、事件をおこすのも人間なら、解決しようとしているのも人間であり、いつだって探偵が全てを守れるスーパーヒーローであるわけもない。そんなことを考えると、今回のお話は非常に人間らしい感じがしてくる。特に何か奇抜なトリックがあるわけでもない(割とあっさり伏線の先が読めてしまったりもする)、後味もあまり良くはない、でも面白かった。続きが知りたくてドキドキするようなものばかりではなく、たまには落ち着いて読める物語も悪くはないかなと。

さて、次の新作はいつかしら(笑)

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2004年11月14日

「袋小路の男」絲山 秋子

リアリティあるなあ、こういう関係。え、ないって? 私だけか(笑)

高校時代から30歳過ぎるまでの12年間、ある男性を思い続けた女性のお話。そして、男性の視点からの別バージョンも収録されている。それだけ長い間、相手には触れることもなく続いていく関係。女性である私から見れば、男性は彼女が自分に気があることを知っていて、自分に都合良く扱っている感じがして非常に嫌な男だと思うのだが、結局、女性も他の男性と付き合ってみたりするわけだしおあいこだ。しかしこういう友人以上(おそらく絶対に)恋人にはならない関係って微妙。男性サイドの突き放し方も曖昧で、容易に肉体関係にならないが故に女性側も踏ん切りがつけられない。

男性サイドの視点になると、ますます男女の関係って難しいなと思う。自分に対して盲目的な信頼というか才能に対する信奉なんかをされるとつらいわな、そりゃ。それでも離れないのは何なんだろう。やっぱりお互いどこか寂しいからか? ありきたりだな。でも、ありきたりなことが普通なんだろうし。

ある一線で明確な拒絶をして/されているのに、ずっと続いていく関係。いやもう身につまされるものがありますよ。高校生や大学生じゃないんだから「男女間に友情は成立するのか?」なんてそんな問いは今さら致しません。(男女間の)友情を成立させる要素のどこかには必ず愛情が介在すると思うのよ。人はずるいから、自分に対する好意は当然のように永遠に続いて欲しいと思うし、特別の扱いをしてもらいたいと思う。それがたとえ自分の相手でなかったとしても、だ。だからきっと誰しもが、「あ、自分って気が多いのかも」と思う瞬間ってあると思うんだよね。浮気とかそんな直接的なことをしなくても、気持ちの中には必ず。そのうちそういった感情を上手に隠していけるようになる。

うん、やっぱりリアリティあるよ。都会で成長した子供でなくたって同じだと思うんだけど。何だか悲しいなあ。

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「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」岡崎京子

こちらはゴールデンウィークのバンコク旅行時に読んだっきり放置していたもの。
岡崎京子が事故をおこす直前まで書き溜めていた短編集なんだそうな。雑誌に連載していたものなのね。最近、岡崎京子の話を聞かないなぁと思っていたけれど、随分と回復していたらしい。そりゃ良かった。うんうん。

内容は、彼女の漫画を小説にしたらこうなるんだろうな、と思うような作品が続く。嫌いじゃないけど、もうこの歳になってしまうと何だかね。ただ、この歳だからこそ(いや、この年代だからこそ)実は感じるものがあるのかもしれないという気もしないではなくて、そのあたり複雑。いい加減に、こんな脆い感受性みたいなものからは距離を置いた方がいいと思うんだよね。そうじゃないと生きてくの大変だから(笑)

結末はどれも読者を突き放すものばかり。普通ある結末を読者の想像力に委ねますというスタンスではないようで。そこから感じるのは何だろう。昔だったらきっと希望があるよなないよな、けれどやはりどこか閉じた気分になっていたと思う。感情移入ってどうしてもあるしね。でも、今はどうかなあ。ほんの少しの不快感と自分に対する反省(?)みたいなものを感じるかな。

彼女の作品に対して、批評をするとかそういう立場でない一般読者の私としては、万が一彼女が復帰してきたとしても(それがマンガでなく小説であっても)、おそらくもう手に取ることはないんじゃないかと思う。いつまでも若くないし(笑)、忘れていくものを無理にたたきおこす必要はないと思うのよ。いや、もちろんね、歳をとればとったなりに新たに受け入れたり、捨てていったり、もっと静かで悲しい何かがあるから、そういったところを突かれると痛いなあとは思うんだけど(笑)

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「私と円紫師匠シリーズ」北村薫

何ヶ月も前にとりあえず(文庫版で出版されているもの)全て読了していたのだけれど、5冊もあったからここに何も書かずじまいだった。何しろどんどん内容が難しくなっていくんだもの(笑) ええと、文学なんかにまったく明るくない私としては、この小説の内容は必死で読まないとついていけないんですよー。小説を読むのに、読んでいる最中から他の資料が欲しくなるというのはどういうことですか(笑) そんなわけで、内容を理解するのが大変でうまく感想が書けない私。

良く言っているけれど、人の死なないミステリーというのが好き。小さな、でも自分の中としてはけっこう大きな疑問やら事件やらを解決していく過程がいいな、と。そうそう殺人事件なんて転がってはいないし(いや結構多いか)、それを探偵さながらに解決する人だってそうそうはいない。殺人事件ものって、いくらフィクションとはいえ、どうやってもありえない何かを遠くから眺めている感じを拭うことはできない。もちろん、トリックが明らかにされていく様が面白いものもあるのだけれどね。

ところで、主人公の名前を出さない効果って、確かにあるんでしょうね。何だかちょっとずるい感じがしなくもないですが(笑)

えーと、作品の中身については何も書きません。最初にも言ったけど、書けないのよ(泣)

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2004年10月16日

「夏の名残りの薔薇」恩田陸

実家に戻った2日間あまりの間に一気に読ませていただきました。
恩田陸の作品では結構多いと思うのだけれど、章ごとに違う人物の視点からある数日間を描かれている形。今回は同じ時間を別々の視点から書いているのではなく、一応章ごとに時間が進んでます。一応、一章ごとに話は完結(してはいないけれど、まあそんな感じ)しているので、細切れに読むにはいいかもしれないですが、次の章に移った途端一体さっきの話は何だったのか?という疑問がふつふつと湧いてきましたね、最初は。あまり書くとネタバレになっちゃうなあ。ううん。

個人的には、本編に挿入されていたとある小説の引用は微妙だと思う。その話にとても影響されたのだということはわかるし、それが主題になっているのも判るのだけれど、なくても十分な気がするし。そして、やっぱりラストがそうなっちゃうの?というか……。あまりにもまんまではないかと。

ところで、出張時の移動時間なんかで暇を持て余したり、割と長時間歩いたりする時には、頭の中で色々妄想して遊ぶことが多い。完全な創作なわけではなくて、自分の思い描くように何かが起こったらいいとか、過去のある時点に立ち戻ってもしもこうなっていたらどうだとか、明日の自分はこうするとか、そんな諸々の日常生活を思い描く類のもの。もちろん、過去の話なんかで言えば既にもうありえない話ではあるけれど、そうやって想像するのは結構好きだ。(最近になって、ふつーにみんなやっているんだということが判って安心した:笑)
例えば、未来のお話であれば、強くそう望めば願いは叶うとかって言うよね。それじゃ、過去だったらどうか。記憶なんて信用できないというのは、もうさんざん言われてきた話だから今更感もあるけれど、この話では「自分が誤って認識している過去の記憶に他人も引きずりこめるものなのか」というのが最終的なところなんだろう。そして、誤っていると判っているのに、他人から告げられた相手の真実を自分の真実であると信じ込むことができるのか。

結論から言えばそうなんだろうなー。でもなー、最後はどうもとってつけた感が漂うのです。
毎回彼女の作品を読んで、毎回同じことを書いている気がしますが、途中まではとっても面白かった。

いや、それともよく人に言われるけれど、ストーリーとしての結論をやはり気にしすぎているのかな。そういう部分ではない何かを味わうべきか。ストーリーだけに固執しているわけではないけれど、どうしてもラストが気になる。色んな意味でラストは重要だと思うんだけど……まだ子供でしょうか、私(笑)

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2004年10月09日

「残酷な神が支配する 1~14」萩尾望都

またもや部屋に転がっていたので、一気に読みふけってしまった。これまで読んでいなかったことが少々問題のような気がしないではないのだが。何だかこう過去でも現代でもありそう(というかあると思われる)な話だな、途中までは。だからこそ余計に気味が悪い。

死んでしまった相手というのは、もちろん物理的には自分にかかわってくることはないわけだけれど、自分の心持ちひとつで様々に形を変えて影響を与えてくるのがやっかいだ。それは痛切に思う。自分だけではなく周囲の人々に対しても。
自分が思ってきた誰かの姿なんて本当の誰かではないのかもしれないし、そもそも本当の誰かって何だ?という。まあ、でもこんなことは本筋ではないのか?

後半になってくると、主人公の落ちっぷりやら義兄の行動やらが「これは『風と木の詩』なのか?」と錯覚を覚えそうになるような展開にくらくらくるんだが、テーマが大幅に違うので随分と雰囲気は異なるか。前半は主人公が受けた虐待を、後半はそれらが残した傷跡を描いているのだと思うのだけれど、何しろ最後の数冊を手に入れられなくて読んでいないので判らない。

少なくとも私はこの漫画の同性愛描写なんかで萌えることはないし、ボーイズラブ的な楽しみなんてない。それはだけど、「風と木の詩」でも同じで、重たい何かがそこに横たわっているときっとダメなんだと思う。読み物としてはとても読み応えがあると思うのだけれど、楽しくは読めない。(その昔、女子高生の頃に、「間の楔」を読んだ時に思ったんだけれどね) もちろん好きな作家には違いないのだけれど、私が楽しめるボーイズラブというのは(以前ももしかしたら書いたかもしれないが)明るい男女交際同性バージョンというか。もちろんそこには色々悩みとかあるのだけれど、それでもどこかまっすぐな感じのものなのよ。割とそういう世界にずぶずぶ感情移入するタイプな人間なもので。

部屋にある分を読み終わり、随分と気分が滅入ったものですが、続きを持っておられる友人知人の方がいらっしゃったらご一報くださいませ~(笑)

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2004年10月01日

「夜のピクニック」恩田陸

しばらく前、「図書室の海」に掲載されていた短編のひとつに、この作品の前身となるものがあった。後書きには、後に長編になりますというようなことが書かれており、とても楽しみにしていた一冊。

同級生の異母兄妹(姉弟?)が偶然同じクラスになってしまったが故の緊張感。無視しようと思えば思うほどお互いを意識してしまう二人に、卒業を前にして行われる夜のピクニックで起こった出来事とは。

楽しみにしていたからかな。最近の恩田陸作品の中では一番まとまっていて良かったと思う。アイデアは面白いけど冗長、途中までは抜群に面白いのに結末がちょっとなどなど、そんな作品が続いていたので今回は全体的に納得できる感じがして嬉しかった。

たった一晩で何が、と言うなかれ。変化が起こるきっかけなんてささいなことかもしれないし。ハッピーエンドかどうかはわからないし、夜のピクニックが終わった後に、また何かしらの問題や感情のもつれが生まれるかもしれないのだけれど、その行事が夜明けと共に終わっていくというあたりに、これから先も少なくともこれ以上悪くはならないのではないかという希望がある気がして。

もっとも、私としては思うところはありますよ。血の繋がりってどうなんでしょう。「兄弟なんだから仲良くすれば」って相当奇麗事の様な気がする私は狭量でしょうか(笑) この話のようにお互いの存在を良く知っており、毎日顔を合わせている関係で歳も近いというのならばまだしも、(存在だけはぼんやりと知らされつつも)数十年間顔も知らずにいる関係であった場合、感動はあるのかな、と。まあ、ある種の感慨はあるかもしれないよね。もしも天涯孤独になったりしたら、その時には感じるものがあるような気もするが、でもやっぱり今さら感の方がそういった思いを上回ってしまう。既に他人だもの。

いや、でも。それは私が恐れるからか。自分が何よりも忌み嫌う自分自身の何かを他の誰かが同じように持っているのを見るのが怖い。そしてそれが確かに私の中に「血」として根付いているのだと自覚する瞬間を想像するだけでぞっとしてしまう。そういうのってないのかな。相手に自分と同じ空気を感じることは、決して安心感ばかりではないと思うのです。

だから、この話は物語としてはとても素敵なお話ではあるけれど、随分と私の暗い部分を刺激してくれました。さて、気をとりなおして次の新刊に移ろう(笑)

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2004年08月19日

「姉妹 Two Sisters」吉村達也

映画「箪笥」のノベライズ版。
映画での疑問をほとんど解決してくださるご本でございます。ええ、これがないとさっぱり判りません。何が謎だったのかもわからない私には(もちろんいくつかの謎は残っていたけれど)、映画とこれでワンセットといった趣。映画を観られて「????」な方は是非購入されるとよろしいかと。

しかし、映画では相当はしょってます。効果的なはしょりなら良いのだけれど、どうも読んでいくと肝心な部分がカットされてしまっている。いや、肝心な部分だけをつなぎ合わせたというべきか。何しろ設定からいって映画では描かれていない内容多数だし、細かい伏線やらストーリーも同様。

どうしても小説としては……(以下略)で、副読本という扱いにしかならないのが微妙な感じ。吉村達也って量産するのはいいんだけど……(以下略)

こうやって書いてしまうと、ぜんぜんつまらん映画(ノベライズ)のような誤解を与えそうですが、決してそんなわけではございませんので。

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2004年07月26日

「Q&A」恩田陸

はい読了。
最初は良かったんだけど、だんだん飽きてきてしまった。
確かに集団心理って怖いけどね。

私が社会学部に進もうと思ったのは、高校時代の担任教師が社会科(日本史)担当で、社会学部出身だったというのもひとつの要因だったと思う。別に特に尊敬していたわけではなくて、社会学部というものの話を聞く機会が多かったからだ。彼が話してくれた社会学部ってのは、何でもありというものだったのだけど、中で彼が例にあげたもののひとつに、「地下街で火災が起こった時に人はどのように行動するのか」というものがあった。この本を読んでいて何だかその話を思い出してしまった。

最初から最後まで、設問とそれに対する回答だけで話が進んでいく物語。郊外の大規模ショッピングセンターで発生した事故の原因が解き明かされていくのかと思いきや、はっきりとした原因が提示されるわけでもないけど途中ですっかりわかってしまう。後は人間のドロドロが書き連ねられていく。面白い……っていうよりは気分が悪くなるね。それは誰しもが心の中で感じているようなことがこれでもかと書かれているからだろうし、そういう意味ではやはり面白い本となるのかもしれないけど。でも、やっぱり好きにはなれないかも。

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2004年07月24日

「のだめカンタービレ #1~#9」二ノ宮知子

美大的とか芸大的とか、説明をされればなるほどなあと思うけれど、日頃そんなことを考えもしない頭なので、普段どーりの頭で思った安っぽいことなどを(笑)

いやはや、確かに「のだめ」のようなタイプに弱い男子は多そうだなあ、と。それに対してどうこうなどという気は全くありません。ただ、ただ、羨ましいなあと(笑) 何事も中途半端よりは、突き抜けた方がいい(ホントか?)
フィクション世界の人物に対して、ああだこうだ言うのもしょうもないとは思いつつ、個人的には一点突出型その他天然というのは憧れ。というか、猫願望が強いのかもしれん(何だよそれ:笑)

しかし、物語の行き着く先が非常に気になりますな。何ていうか、「のだめ」が最終的に大化けしても、逆にドタバタの末、結局あかんかったということになっても、どちらにしても「ふうん」っていう結末にしかならない気がしてしまうんだよね。もっとも、この作品に人気があるのはストーリーのせいではないと思われるので、私の心配は杞憂なのだけど、落しどころが微妙な感じ。

それにしても、作者のキャラ以外にこの作品がここまで話題になるのは何でだろう。それにさ、「ぎゃぼう」なんて言葉、ふつー使わないってばさ。

ところで、海外に取材に行ったんですかね、作者は。留学先は、取材旅行に行きたい場所に決定してたりして(笑)

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2004年06月30日

「東京湾景」吉田修一

あらま。今しきりに宣伝されているドラマのストーリーとは、全く違いますね、これ。物語の舞台と登場人物の属性以外は、別の話でないの? いやいや属性だって、原作の方では登場人物は全て日本人になっている。テレビでは、在日三世であるところの女性が経験する親子二代にわたった恋物語なのだが。

最初にそのストーリーを目にした時、「へ? 『ラブストーリー』再びか?」と、一瞬失敗した感に囚われたのだけれど、いやはや、原作のがいいんでないの? もっとも、まだドラマは始まっていないわけで、今からどうこう言うことは筋違いだとは思うけど。


まあ、この原作に忠実では確かにドラマには出来ないのは判る。何しろ特に大きなエピソードが起こるわけでもなく、自分の気持ちが良く判らない主人公の会社員女性と男性の間を淡々と描いているだけだし、直接的な描写はないまでも、その男女は頻繁に性的関係を結んでいるわけだ。ていうか、とても運命の恋とはほど遠い(運命の恋の形にだって色々あるだろうから、一概には言えないけど)。そりゃあ、月9にゃ無理。映画ならばまだしも。

白馬の王子様がやってくるとはさすがに思ってはいないだろうけど、運命の恋への期待に胸を膨らます女性ってやっぱ多いのかな? どちらかといえばやはり原作の方がかなりリアリティがあると思うんだけど。(それでもちょっと、という部分もありますが)

仲間由紀恵は好きなので出来れば見たいとは思うけど、月9が見られる時間に帰ってこれるとも思えず。ビデオに撮ろうという気力もないので、原作本だけで終わる気がします、ええ。

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2004年06月28日

「period1」吉野朔実

待ってました、吉野朔実。
しかし、めちゃめちゃ重たいテーマ。もちろん元々薄幸そうな物語が多くはあったけれど、ここのところ立て続けに何というか心の歪みに焦点があてられている気がする。

今度は父親から暴力をうける子供達の話。冒頭は、その父親の葬式風景と成長した子供達の姿。そして、過去に遡る。

子供達を守ろうとする母親も家を出て行ってしまった。正義感に溢れる女性教師は、やはり父親から性的虐待を受けて育ち、子供達の父親と性的関係を結んで(いたんだよね?)しまった後は、来れば暴力を受けると知っても彼らの家に通ってくる。そして、その帰り道に交通事故で亡くなってしまう。親族の泥沼も加え、これでもかこれでもかという位に、エピソードが積み重ねられていくが、突然父親が豹変する――。

心の傷というのは、やはり怖い。誰でも多かれ少なかれそういったものを抱えているとは思うけれど、大きな傷に関しては私には判らないから何も言うことはできない。
次巻以降、子供達がどうなっていくのか目が離せない。こういった形で将来が見えている物語ってのは、相当やりきれない気がする。それが、あまりいい未来ではない場合には特に。もちろん読み進む間にも、冒頭の光景がちらつくわけだから、物語の雰囲気にはどっぷりとつかれるし、効果的な部分もあるのだろうけど。

しかし、何かひとつ思うところがあるんでしょうねえ……>吉野朔実

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2004年06月23日

「雨柳堂夢咄9~10」波津彬子

いよいよ面白くなってまいりました。
骨董屋さんの孫息子。これが結構美少年なのだけれど、彼にはちょっと不思議な力がある。店や蔵にある骨董品たちの精霊の声が聴こえ姿が見られる。そんなものたちが引き起こすちょっといい話なんかを読みきりで描きつつ、シリーズを通してのストーリーが存在しており、今、ちょうどそれがいいところなわけです。

先が気になって仕方がないけど、なかなか続きが出なくてさ。以前は、連載されている雑誌が(『ネムキ』「眠れぬ夜の奇妙な話」の略)季刊だった気がしなくもないが、今では隔月になってるのかな? 今回の新刊も雨柳堂としては2年ぶりらしいし。

波津彬子の作品は基本的に好きなものが多い。でも、この作品に関しては、他のどれよりもお気に入りかもしれない。骨董品の精霊たちがいちいち可愛いし、出てくる男性キャラも素敵(笑) もちろんストーリーだって。

そんなわけで、わくわくしながら封をあけじっくり読む。
しかし、何を書いてもネタばれになってしまう気がするので、とっても難しいですな。いよいよクライマックスに近づいているよな雰囲気が漂っておりますが、まだ終わるのはもったいない。何もかもがどうなるのかとっても気になるので、早く次の新刊を出してください。その間、何度も読み返して楽しみますので……。

しかし、この文章。何も言ってないに等しいな。ううむ。

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2004年06月22日

「東盛玲の所見6~7」池田さとみ

本編はとうとう完結。後は特別編を残すのみ。
しかし、一体主人公の東盛玲は何歳なんだ?どこかに描かれていたのかもしれないけれど、さっぱり気付かなかったし、作者がカバーに書いていたとおり、絵がこなれてくる間にどんどん若返っていくし(笑)

今回は東盛の過去というかそういう話もあったけれど、相変わらず全てが謎のまま終わってしまうのね。看護婦との関係はどうなるのかとか、ハッピーエンド好きな私にはもどかしい問題は残ったままで、かつ居候の男の子が将来医者になれるのかどうかとか。「読者の皆さまの創造力におまかせします」という結末は個人的にやっぱりダメらしい。品がないかしらね。

前にも書いたけれど、病院が舞台なだけで難解な専門用語が出てくるわけでもなく、普通のちょっとホラーで正義感に溢れたお話という感じ。非常に読みやすくてそこそこ面白かった。多分、読み返しはしないとは思うけど。(それでも手元においておかないと気がすまない性格がどうにも……)

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2004年06月14日

「スペース」加納朋子

相変わらず穏やかなお話。誰も死んだりしないし、隠されている謎もささやか(だけど、今回のはありえないでしょう:笑)で非常に微笑ましい。

今回、後から北村薫の「私」と円紫師匠シリーズを読んでいたものだから、謎を持ってくる女の子とそれを解き明かす男性という形ではよく似ている。(というか、北村薫の作品があって加納朋子のこれがあるとのことらしいけど) 但し、こちらは手紙がキーワード。主人公の女の子は必ず手紙で、謎のお話をする。円紫師匠の方と違い、相手に恋愛感情を抱いている分だけ動機が可愛らしい。彼との接点を作るために謎を探す、というか。でも、これって相手との共通点が欲しくて、同じ趣味に興味を示したり、同じ本を読んだり、音楽を聴いたり、映画を観たりというのとたいして変わらないよね。ああ心あたりがあるなあ。(遠い目)

以前、「安楽椅子探偵ものは苦手」などと書いた気がするけど、どうも最近安楽椅子探偵モノもそう悪くはないような気がするのは何故。苦手なタイプと好感を持つタイプの違いって一体何なのか。単純に考えれば、登場する探偵に好意が持てるか否かの問題なんだけど。それでは、何故好意を持てるのか、持てないのかと考え出すと、ねえ……。思考停止。やれやれ。

ええと。本題に戻ると、今回のお話はふたつにわかれていて、ひとつが本編、もうひとつが裏話(どちらかとと言えば、こちらが本編なのかもしれないという側面はあるけれど)となっております。しばらく続きは出ないかな、この終わり方だと。

投稿者 kaori : 23:38 | Comments (0) | TrackBack

2004年05月11日

「なみだ研究所へようこそ!」鯨統一郎

随分昔のお話ですけどね、彼の「邪馬台国はどこですか?」を読んで面白かった記憶があったのです。それで久々に手にとってみたのですが。ええと、ごめんなさいっ。私ダメでした。あまりにムリムリのこじつけ一直線の謎解き。最後まで読むので精一杯、お腹いっぱい。特筆すべきことはありません。

まあ、サブタイトルで気づくべきではあったよね。
「サイコセラピスト探偵 波田煌子」って……。

投稿者 kaori : 00:23 | Comments (0) | TrackBack

「ささらさや」加納朋子

加納朋子の優しいミステリーは読んでいてほっとする。まずあまり人が亡くならない。亡くなったとしてもひどく残酷なものはほとんどない。(「ガラスの麒麟」はちょっとつらいけれどね) だから、心が疲れていたりする時に読むミステリーとしては非常によいと思っている。
今回のものは、しばらく前に幻冬舎から出ていたミステリー漫画雑誌で連載されていたのを読んで、そういえばあったねと購入してみた。

不慮の事故で亡くなった旦那さんは、乳飲み子を抱えた少し気の弱い奥さんが心配で成仏できない。自分の姿を見ることができる数少ない人間に、それぞれ一度だけ乗り移ることができるということを利用し、奥さんがピンチの時には姿をあらわし、解けない謎がある時にはそれを解決し、影ながら彼女を支えていく。そして、奥さんも周囲の人々とのふれあいなどを通じて少しずつ強くなっていき……そして、というお話。

よくあるお涙頂戴(ってわけでもないけど)ものだと笑いたければ笑えばいいさ。でも、小さな小さなミステリーを丁寧にといていくこの物語は、手作りの小物みたいでやはり好感が持てる。短編がいくつも集まって1冊になっているこのお話。ちょっとした合間に1話読めるのでお手軽なのも良いのです。

投稿者 kaori : 00:22 | Comments (0) | TrackBack

「禁じられた楽園」恩田陸

バンコク 三番煎じ旅行記ですが、次回は観光・お買い物編と書いたけれど、ちょっとだけ小休止して今回読了した本の話題に。

まず恩田陸。ここのところの作品の中では、わたくし的にはヒット。
大学で偶然同じ講義をとっており顔を知っているだけの彼に引き込まれていく男子学生、バイト先のマスターと知り合いだというだけの彼に声をかけられた美大生の彼女、そしてつい先日会ったばかりの友人が行方不明であるとその婚約者から告げられた男、それぞれが何かの力に引かれるようにひとつの場所に集まってくる。彼にひきつけられるのは何故か、彼は何者なのか。

最後のオチを除いては、抜群に面白かった。独特の世界が広がり、謎も無理なく提示されており、ぐいぐい読まされた。出来れば中断されずに一気にいきたいと思うくらいには。こういう夢か現かという雰囲気はものすごく好きなのだけど、いかんせんオチが、ね。
クライマックスにさしかかるとともに、微妙にトーンダウン。何だろう、風呂敷を広げ過ぎたわけでは決してないのだろうけど、どの謎に対する答えも中途半端な気がするし、キーパーソンであるところの登場人物も最後には謎めいた部分がすっかり取り払われてしまって、ただの変な人(そこまで言うか:笑) おまけにとんびにからあげだし。一応それぞれに何らかの答えが提示されているにもかかわらず、何も答えが出ていないというか。つまり納得がいかない。

ホントに途中までめちゃめちゃ面白かったのですよ。
だからこそ少し残念だった1冊。

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2004年04月20日

「葉桜の季節に君を想うということ」歌野晶午

今さら感が相当に漂っておりますが、歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」読了。
実家へ帰る途中の東京駅で購入したのだけれど、そりゃあもう分厚くて軽かったはずの鞄はずっしりと重くなってしまった。バカね。

昨年度の「このミス」国内編第一位だっただけあって非常に面白かった。というか、あれだけページ数がある割に途中で飽きさせないあたりがすごいなと。途中まで見事に騙されたし、後から振り返ればひとつひとつがしっかり伏線になっていて、なかなか細かい。ミステリーは好きだけど、ミステリーおたくではない私としては、素直に楽しめた1冊でした。

色々なエピソードが効果的に絡みあって最後の最後までぐいぐい読まされてしまった。が、しかし。ハッピーエンドは好きだけど、その先に待っている何かを考えると憂鬱になる私としては、ラストがちょっと消化不良。ここからが大変なんだだからさ。こんな私は、「プリティ・ウーマン」が嫌い(笑)
まあ、全てお伽話なんだから、何も目くじらたてることはまーったくないわけなんですけど。

「集団の中でのお互いの呼称というのは、そこに属する人間の中で一番年下の者を基準にして決まるもの」という話をしてくれた元同僚をふと思い出した春の夜。(ちょっとネタバレ?:笑)

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2004年04月11日

「四季 冬」森博嗣

ほぼ全編が真賀田四季の独白。ストーリーなんてどこにもないと言ってもいいと思う。全ての結論をこの本に期待していたのだけれど、そうですね、森博嗣ですもんね、思い切り裏切られました。

しかし、それにしても頭の悪い私には難しかった。テクニカルタームの続出は勘弁してください(泣) 結局、ついてこれない人はついてこなくて良いということでしょうね。(これ、前にも書いた気がする)
というか問題はそんなところではなくて、四季の思考が最大の焦点で、彼女の(いや、森博嗣のか?)それに共感というか興味を持てる人にはおすすめというか。いやー、あんなものに共感できる人は人間じゃねー(笑) 私は平凡な人間でよかった。それでも孤独を感じる瞬間はあるのに、さらに孤独になりたくなんてないものね。

しかし、何事にも結論があってすっきりしたい私としては、読み終わった後に投げたくなりました(笑)
それでも愛蔵版は買うんだろうなあ……。

例のシリーズにはリンクするのでしょうね。読み直さなくちゃ。
結局、今回の「四季」だって、S&MシリーズやVシリーズを読み飛ばしたことが原因で、楽しさが半減していた。もちろん、この後に読み直したってぜんぜんいいし、その方が正しいあり方なのかもしれないのだけれど。やはり性格なのね。謎を謎のままにしておきたくない、納得した上で読みたい、そんな。

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2004年04月03日

「空の食欲魔人」川原泉

衝動的に、「3月革命」が再読したくなって思わず購入。

どれもええ話や(涙)
ちょっと鈍くて大雑把。けど心は優しく、そして猫っかぶりが(不本意にも)得意な女の子を描かせるとピカイチですな、川原せんせいは。共感するには難しい舞台設定が多いのに、それでも何故か男女問わずに惹きつけられるのは一体。

「3月革命」は、血の繋がらない姉弟の恋愛話で、ひじょーにありがちな題材ではあるんだけど、やはりぐっときてしまう。ハッピーエンドの物語が大好きな私にとっては、非常に満足なのです。

まあでも、誰かを忘れるのには何年あったって足りないさ。7年なんてふつーじゃん。10年かかったって忘れられないことだってあるでしょう(笑) それは相手に会っていたって、会わなくたって。逆に会わない方が相手を美化してしまってよろしくない。そんなもんでしょ?(って、誰に言っているんだ、私は:笑)

「あなたの背負っている猫ごと好きでした」
泣かせる台詞よねえ。しみじみ。
何だろう、けっこうぞんざいないいまわしの台詞を登場人物にあたえるのに、その中で微妙な心の動きや優しさが感じられる。もちろん優しいだけではなくて、ぐぐぐっと思わされる部分もあるんだけど、全体的にはとてもあたたかいイメージ。そして実は、川原作品の登場人物の女の子は、私自身の理想形かも。いや、別にちっちゃくなりたいわけじゃなくて(笑) そうだなあ、例えば「笑う大天使」の史緒さまとか、芯は強くてでも不器用で、そんなところが。

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2004年03月22日

「黄昏の百合の骨」恩田陸

読み終わりました恩田陸。
感想をひと言で述べるとですね、「2時間ドラマのノベライズかと思った」でしょうか。
特に最後のどんでん返しは、あわや火曜サスペンス劇場といった趣(笑)

何だか理瀬が急に大人になってしまって違和感が。確かに、過去のシリーズ内でも彼女は実は醒めたキャラよねと思ってきたけれど、今回はさらにそれが増幅されている。兄に対する態度なんか、この子はえらく残酷やなーと。小悪魔というか何というか。いやでも、オトコノコにはこういうオンナノコに振り回されてみたいとかいう願望があるのか、そうなのか? ……違うか。そういう話ぢゃない。

以前はあまり思わなかったけど、理瀬って女に嫌われるタイプではないか?
周囲には守ってあげたいと思わせるけれど、実はかなりしたたかというか。そういう女って近くにいるとかなりむかつく。ええええ、嫉妬ですとも(笑)

ええと、結局この話のテーマは何だったんだろう。
ふつーに女は怖いということか。嫉妬と打算と。何だか木曜組曲を思い出してしまった。
黄昏の百合の骨、最後まで読んでタイトルに納得。というか、そのまんまやんか。
理瀬ちゃんも、あっちこっちと忙しく動きまわるね。お疲れ様。

このシリーズ、もしかしてまだまだ続く?
けれど、だんだんこう不思議な感じが薄れ、現実的になってきている気が。最初の物語世界から遠ざかっているように思うのは私だけ?

ここのところ、微妙に彼女の作品が楽しめないのは、何故だろう。

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2004年02月13日

「げんしけん1~3」木尾士目

これも部屋に転がっていたので、読んでみた。
所詮、地方大学出身者であるところの私には、目にすることができなかった光景が繰り広げられている。実際には地方大学にだって、フツーにこの手の方々はいらっしゃるのだろうけれど、何か違う気がするですよ。やはり「都心」から「少し」離れた場所にある大学でないと、というか。アキバに行くにしても、コミケに行くにしても、どこかちょっとした行事感が漂う。(仕入っちゅうか:笑) しかし、例えば関西となると若干スケール(?)縮小型。何しろほら聖地がないし(笑) 関西からはるばる関東までっちゅうのは、コミケ時くらいだろうで、そこまでくると縮小型どころか濃すぎてこの雰囲気とは違う気がするし。

しかし、アレだ。ここまでどっぷりとオタクになってしまえるなら、それはそれで幸せなことで、何事も中途半端なのは不幸だなあと思うね。オタクと付き合う心得、ぐっときますねえ(笑) まあ、私は真性オタクさんと付き合ったことないんで、ぐっとくる必要はないんですが(汗)
時々不安になるのは、やっぱ自分が完全に一般人と言い切れるかどうか判らないってことですかね……(大汗) あ、でも、コスプレなんかは決してやろうと思わないし、やろうったって、スタイルも顔も全くなんでできません。(つうか、スタイル良かったらやるんかい! いや、やらない:笑)

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2004年02月11日

「それを言ったらおしまいよ」よしながふみ

部屋に転がっていたので、読んでみた。
ふつーにライトなボーイズラブ話だった。「西洋骨董洋菓子店」だって、かなりソフトなボーイズラブなんだろうから、それと較べて直接的なシーンがやたら出てくることを思うと完全にそっち系になるのか、やはり。

特徴といえば、少年があまり出てこないところか。それは「西洋…」も同じで、青年以降の純愛話。だから、ところどころぐっとくる部分もあるけれど、私としてはそんな部分が逆に少しあざとく感じてしまって入り込みきれない。抑えられて、ちょっとした割れ目からにじみでて、それが大きくなるそんな感じの欲望よりも、(多少の苦悩はあっても)最初から欲望どかーんの少年ボーイズラブのがまだ好きかも。

それは、私が単純だからなのか、それとも年をとったからなのか……。
嫌いじゃないのよ、いい話だと思うのだけれど、ちょっとね。

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2004年02月04日

「外科医 東盛玲の所見1~5」池田さとみ

久々にコミック文庫を購入。
何も考えずに手にとったけど、朝日ソノラマだったのか。どうりで、好みだと思った(笑) や、登場人物が、ではなくて絵が(言い訳)

ソノラマといえば、(私の勝手な好みをあげると)今市子、篠原鳥童、波津彬子だったわけだけど、久々にこのマンガは面白かった。医療ものではあるけれど、それは舞台として選ばれただけで、医療の詳細部には決して突っ込まない。あくまでホラー(あるいは不思議な)話に徹しているところがいいな、と。あまり込み入った伏線とかもないし、ほのぼのと読めるというのも、最近疲れている私にとってはありがたくてねえ。ヒューマンもの(なわけではないが)にありがちな、偽善的だなあという感覚も感じないし、おすすめではないかと。

雑誌に連載されていたとすれば、「これが読みたくて、この雑誌を買うの!」とまでは決していかないけど、必ず毎回読んでしまうという作品、といった位置づけ。もっとも、随分昔に描かれたものみたいだけれど。

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2004年01月28日

「Heaven?(全巻」佐々木倫子

先日の大人買い第二弾。
彼女の作品に登場する女性って、ほんとぶっ飛んでいる。あれだけ傍若無人に振舞っておれば、(本人は気づかないだろうからあまり関係ないけど)嫌われるのが普通だろうけど、周囲は受け入れてるし、下手すれば愛されちゃうわけだ。あー、何かよく似ている知人を思い出した。……実際は絶対いないだろうと思ってきたけれど、こうなるとフィクションに思えなくなる分、怖い(汗)

料理がテーマになるお話って、登場してくる料理たちを見ながら「いいなあ、食べたいなあ」とか思うことも多い。簡単に影響されやすいしさ。だけど、西洋料理に関してだけは別。全くそういう感情を呼び起こさなかったこの作品。私の西洋料理嫌いも相当なものなんだと実感。

ほとんどの話が舞台となるフランス料理店で繰り広げられるわけだけど、しばらく前にどこかでそういうテレビドラマ見た気がする。「熱烈的中華飯店」か。ああいう密室系(違うって)の作品って、ネタ繰り大変なんじゃなかろうか。「Heaven?」も巻を追うごとに無理が出てくる感じ。特に最終回なんかはホントに、何でこう慌しいのかととほほな気分になってしまった。せっかく……。そういえば、「動物のお医者さん」も最後が微妙だったし。
丁寧に取材をしていて、でもその全部を書ききるようなことはないから嫌味な感じもしない。ドタバタありホロリとくるところありでうまいなあと思うし、面白いし、好きなんだけど、どうにも最終回が残念な作品が多いという、それこそが残念。

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2004年01月27日

「四季 秋」森博嗣

ところで、いまだに辰巳四郎の装丁である「四季 秋」。きっと「冬」もそうなんだろうけど、これってどういうことなんだろう。普通に考えれば、この仕事は完了していた、ということだよね。まさか幽霊が仕事できないし。というか、今更だけど、私はきちんとしたソースでこの話題を確認していないので(さすがに大極宮で嘘は書かれないと思うので本当なのだと思うが)、いまだに宙ぶらりんな感じなのだった。

というわけで、季節は巡り秋です。創平・萌絵のシリーズから随分と時は流れ、短編集の中で、萌絵が指輪を受け取った話からもっと先に進んだりも。あの中途半端な終わり方から数年、満足とまではいかないけれど、まあこんな感じかなというハッピーエンドで、と印をつけたくなるようなお話。誰もが思っていたと思うけど、創平くんは真賀田四季が好きなんじゃないのかという疑惑に、とりあえずの答えが出ております。

Vシリーズの最終巻あたりをテキトーに読み飛ばしておったので(何かそろそろ興味がなくなってきていたらしい)、あまりに重要な事実をすっとばした模様。これもまた今さらなんだよね。Vシリーズって随分昔の話だったのね。何というか……。確かに携帯電話が出てこないとか、細かく見ていけば判ったはずだよ。ストーリーしか追いかけていないから、こーいうことになる。ま、まんまと引っかかっている頭の悪い読者の典型だな。でも、強引だと思うぞ。苗字としかとれない名前をつけるな! 10年前に辞めているとはいえ、職場に息子が現れて全く誰も知らないなんていうことがあるのか! ま、物語だしね(それを言っては……)。
それにしても、萌絵さんは、すっかり普通のお嬢さんになってしまわれたのね。何だかつまらない。叔母さんの方がよっぽど面白くて、さすが西之園嬢入れ替わりの術を出されてもなかなか判らないわけだ(笑)

結局、20冊をかけた巨大長編だった、と。
いや、私としては楽しませてもらったし、今も楽しんでおるので良いですけど。

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2004年01月21日

「四季 夏」森博嗣

随分と前に購入していたのだけれど、何となく読まずに放置されていた1冊。そのあいだにあちらこちらから感想が聞こえてきたりして、どうしたものかと思っていたわけですが。先に、「四季 秋」を買ってしまい、しかも「四季 秋」は創平と萌絵の物語ときた日には。そりゃ「夏」を読まざるをえない、というわけで手にとった次第。

確かにね、最近の森博嗣の作品は、理屈っぽいを通り過ぎてはるか彼方にひとりでいっちゃっている感が漂っているので、そういう部分に関してどうにも入りこめないものはある。どーなんですかね、ついてこれない人はどーでも良いと突き放されているのか、それとも単に突っ走ってしまっているだけなのか。や、でも、まあそんなことは別にどうでも良くて。(そこで思考を停止するなと言われるかもしれないけど)

話にオチがつかないと気がすまない、伏線がそのまま放置されているのが気にかかって仕方がない、謎が謎のままになっていると後々まで続編が気になってしまうという、情緒や想像力のカケラもない私なので、そういう意味でこのシリーズ(厳密に言えばシリーズではなくて、4章だての話が別れて出てるだけで、そのうち1冊のハードカバーで出るらしい)は、好奇心を非常に満たしてくれるわけだ。

「すべてがFになる」の中で触れられていた、「真賀田四季が自分の両親を殺した事件」。この事件に行き着くまでの過程が「夏」で描かれている。正気で読めば、なんでそんなことで両親、ていうか人を殺すかなあと頭を抱えたくなるわけだけど、彼女にとってはそういう考え方には意味がないのだろうねえ。徹底的に人間的ではなくて、でもどこかやはり人間的な思考。天才だけれど、それが故に感じる特殊な孤独? それとも、天才であっても人間的な孤独を感じることもある? でもって、読んでいるこっちは混乱。理解力のない私には作者の意図がつかめません。天才の思考回路は理解できません、ってあたりでいいのかしらね?(良くないかもしれない:笑)

そんなこんなで、「すべてがFになる」の副読本ということで。(自分の話にはオチがないのだった)

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2004年01月15日

日高万里「ひつじの涙」

昨日購入した日高万里「ひつじの涙」(既刊6巻、次で最終巻らしい)をひたすら読む。
普通の少女漫画ですね。日高万里の秋吉家シリーズが好きで全部持っているのだけれど、どうかなそっちの方が良かったかもしれない。

自分の人生を変えたと言っても良い相手(兄ちゃんの親友なんだけど)が、自分のせいで記憶喪失になってしまった過去に囚われている主人公。まわりに心配をかけまくりながら、いい男(?)に何故か囲まれながら、一応過去にケリをつけていく、という話なんだろうなあ。主人公が拒食症なんだが、それについては良く知らないので、コメントはしません。
どこぞのファン掲示板で、真剣に主人公のキャラやら作品のファンの精神年齢を推測して批判していた方がいらっしゃいましたが、そういうのは理解できないなー。私に言わせればそこまで(批判してまで)、マンガに入れ込むのが理解不能。

えーと、それでもそれなりに面白かったかな。本誌ではもう終わっている最終回が気になるところ、ですが。うーん、噂に聞くところによるとどうも宙ぶらりんの様子。私はハッピーエンドが好きだし、問題を残したままだともやもやすんのさ。主人公のキャラとかそんなことよりも、そっちが重要(笑)

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2004年01月13日

許斐剛「テニスの王子様」

年明け早々にアマゾンにて購入しておいた「テニスの王子様」。とりあえずの全巻を読破。いや、もうお腹満腹ですわ。突っ込みどころ満載(笑) ぜってー、中学生じゃないだろ、あんた達。つーか、こんなのがいてたまるか。それとも、今の中学生ってこんなんなん?(だから、漫画なんだってば:笑) 
本当にテニスの練習と試合しか描かれていない。いや、いっそ潔くていいよね。でも、何年も続いていてひと季節が終わらないっていったいどういうことかしら(笑) 長すぎる……。

何ていうか心の葛藤とか苦悩とかそういったものはほとんど出てこないし、私に言わせれば登場人物みんな天才で(一応、努力家タイプと称されている人もいるが)、何というかもう。必殺技はじゃんじゃんでるわ、典型的な悪役タイプもいるわ、やー、これもある意味、ケーキ・バイキング。(「マリア様がみてる」あとがき参照:笑) 男ばかりだからちと気持ち悪いけど、美少年揃いだからよいでしょ。

この先、どれだけ続くのでしょう。そして、私は今後また買い続けることになる、と。何だかちょっと悪い夢を見てるみたいでくらくらするけど。ちなみに、私は正統派ミーハーなので、不二先輩萌えです。またこういうこと書くと、年下男子に癒しを求める30代OLとかっていじめる方がいらっしゃるので何ですが(笑) さすがに二次元ではね。っていうか、三次元でも同じだってば!(笑)

ところで、第一巻の著者近影ってすごい。何を職業にしてるのかと思ったよ。

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2004年01月11日

今野緒雪「マリア様がみてる」

年明け早々に友人(♂)から借りた本をひたすら読む。実家には12巻までしか持ってきていないので、読み終わっても続きが読めなくてちょっと辛い。わー、先が気になるのー。

ええと、話としてはですね。平凡なお嬢様だった主人公が、憧れのお姉さま(学校の先輩だ)とひょんなことから親しくなったことをきっかけに、学校生活の中で様々な経験をしながら成長していく、というもの。スタートは高校1年生なのだけれど、おそらく3年生になるまで(下手すりゃ卒業するまで)続くんじゃないだろうか。現在、主人公は高校2年生。

ミッション系のガッコに通ったことのある女子の方々ならば、多少なりとも「おお」と思うのではないかと思われ。私の通ってたところは、たいしてお嬢様学校でもなかったので(地元ではびみょーな感じだったけど)、というかあんな舞台設定は滅多になかろうと思が、正直ありえねー感はかなり漂うのだけれど、これにハマるのはそういうことが問題なのではないと思う。

まずありふれてはいるけれど、主人公が普通の女の子であること。これが、憧れのお姉さまタイプを主人公にしたら、ちょっといただけない。普通の女の子が悩んだり笑ったりしていくのが、読者の心をつかむ王道なのね。私でも何か特別なことが待っているのかもしれない(と、勘違いする。今の少女達でも同じなのかは知らん)、とか、あの頃はそうだったわーと懐かしく思うとか何とか。どんなスーパーな女の子でも根は普通の女の子、ってところに落とさないと共感呼べないもんね。当たり前だけど。

そして全くもって際どいわけでも何でもないのに、全般的に禁断の香りがしてしまうのは何故? ちっとも百合っぽくないぢゃん(笑)
あの年頃の少女達は友達に対して、おいおい恋愛感情なのかそりゃ、みたいな思いを抱きがちなんだよな。憧れている(親しい)先輩とかが他の同級生とかの方とより親しかったりすると、落ち込んだりさ。嫉妬心だって当然あるし。だから、あれは別に特殊な世界じゃないと思うのよねー。下手すれば普通に共学の学校でもあるんじゃないのかな。
それなのに、何故か百合っぽーい雰囲気。おそらく世間の煽り方でそうなったのだろうけど。

でも、面白いっす。久々にコバルト読んだけれど、昔とあまり変わらないね。私の頃の学園物といえば、藤本ひとみの香織高校シリーズとか。萌えたなー。ああ、懐かしい。今となっては、女流作家(?)として活躍(?)されている方々とか諸々書いていたし。最近のものは、ぜんぜん読んではいないけれど、少なくとも昔のコバルトには今野緒雪と同程度の文章を書く作家はゴロゴロいたと思うのだけれど……。今は違うの?

貸してくれた友人に、「男の子はあれに何を見てるの?」と聞いてみたところ、「今、旬だからかな。あと、完成度は高いと思う」というそっけないお返事。つまんないなぁ、もう。そんなことで16巻全部集めないでよ(笑)

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2004年01月03日

吉野朔実「透明人間の失踪」

最近、以前にも増して病んでいる話が多くなった気がする。多くなった、というよりはほとんどがそう。いや、でも昔からか。彼女の作品で、普通の恋愛少女漫画なんて見たことない気がするし。(初期の頃は別だけれど) だから、私がこんな風に思うのは病み度(闇度?)が高くなった印象を受けるからだと思う。しかも、近頃短編が多くてやたら数があるような錯覚に陥ってしまうのよね。

そんなわけで、相変わらずの吉野節。全て短編なので、表題作以外にも何本か。どれをとってみてもテンポ良く話は進んでいくし、コミカルな部分もありつつ、でもどんよ~り。人は誰しも多かれ少なかれ狂気を隠し持っているもので。出来るなら表にあらわさずに生きていきたいなと。あ、唯一最後のものは普通に面白かったけど。

しかしですね、表題作の主人公、ツメが甘い気がするぞ。彼女ですら辿れた道筋なのだから、日本の警察だったら簡単にそこまで辿り着くと思われ。若干の混乱はあるかもしれないけど、足がつくのはとても早い気がする。多くの人に面割れてるし。
なるほどそういう人もいるかもしれないよな、と発想に関して面白い話だなと思ったのだけれど、完全犯罪っぽい話の多い彼女の作品にしては、何か微妙な感じ。

ところで。最近あまり新刊が出ないのね。さっきアマゾンで調べてみたら、やはり1年に約1冊ペース。現在は、過去の作品の長編部門が片っ端から文庫化されているみたいだけど。私としては、短編が文庫化されたら買うかな。ぶ~けコミックスなんて最近滅多に手に入らないもの。長編は全部持ってるから今さら文庫はいらないし。うーん。

投稿者 kaori : 19:30 | Comments (0) | TrackBack

2004年01月02日

今市子「楽園まであともうちょっと」

これは限りなくボーイズラブに近いでしょう。
離婚した妻に、斜陽の旅行代理店を押し付けられた男性が、飄々と(?)たて直しに向けて奮闘していく話なんだけど、それに借金取りの男性との恋が絡んでいく、というよりはむしろそっちが中心というべきか。で、ドタバタコメディ。
ええ、ありふれたもんですよ(笑) でも、これも何故かぐっときてしまう部分がいくつも。

登山をしたこととかあまりないんで、息をのむような光景を見たことがない。グランドキャニオンですらそんな人生観が変わるとかそういったことは感じなかった。けど、それは自分の力でとかそういったものが全くないからなのかもしれない。

ところで、今市子といえばやはり「百鬼夜行抄」なんですが。あっちは、ボーイズラブ的な要素はあまり感じられない。それとも、あの守護妖怪と律くんの間には……ぜんっぜん違うか(笑)

あー、あまりにもふわふわなんであまり特筆すべきことがない。ある意味正月に読むには良いマンガだったかもしれん。続き? 古本屋であったら間違いなく買いますよ(笑) 新刊でも下手すりゃ買うかも。でも、これも続きはいつ出るかなあ?

投稿者 kaori : 15:58 | Comments (0) | TrackBack

清水玲子「秘密 THE TOP SECRET」

先日のタイ語授業時にマンガの話になった。私の所持マンガの中に、「月の子」があるかと問われた際に、「ないなー。実はあまり清水玲子って好きじゃないんだよね」と言った。確かに言った。それなのに、その舌の根も乾かないうちにこんなこと言うなんて私ってダメね(涙) でも、

いいじゃないですかー、これ!!

話そのものは、ありふれた近未来警察ものっていうか何ていうか。死者の脳を見ることによって、生前に死者が見ていた映像を確認できる。そこから真実を割り出していくというようなもの。が、明かされる真実そのものよりは、その過程での捜査員達の苦悩や葛藤が中心にストーリーは進んでいく。そこでまあ、男の友情とかあるわけよー(恥ずかしい) 不覚にもそこかしこでぐっときてしまうんですわ。あかん。
普段冷静沈着なインテリエリート男性が、こうぐらぐら崩れそうになる姿ってのは、何とも言えず色っぽいと思うのよね。(アホかも、私)

しかし、人の記憶を覗くというのは趣味のいい行為ではないね。趣味の良い悪いよりは、自分自身が病みそうだからな。本当のこと、本当の気持ちなんて知ってどうするというのか。判るかもしれないという選択肢が突きつけられると迷うとは思うけど、でも、知ってしまえば後悔する。そんな時代がホントに来るのかしら。……来るのかもしれないなあ。何度も出てくるけど、死ぬ時には脳を破壊して死にたいというのは判る気がする。自分がずっと隠してきたものを最後まで守るにはそれしかないしな。

タイトルに西暦が冠されているところを見ると、年に1度しか描いていないシリーズらしい。だから、1999年からスタートしているにもかかわらず、いまだに2冊しか単行本が出ていない。今年描いても、単行本にはならないであろうから、次に単行本になるのは来年の半ば以降になるんだろう。早く次が読みたいシリーズかも。

ちなみに、若干グロな部分があるので(まあ、少女漫画なので全般的に美しいグロですが)、苦手な方は手にとられないほうが。ま、私で大丈夫なのでよっぽど問題はないと思われますが。

投稿者 kaori : 15:55 | Comments (0) | TrackBack

2003年09月22日

沢木耕太郎「檀」

またしても沢木。近頃、何故か部屋に沢木本放置率が高く、つい手に取ってしまう。これは面白かった。紀貫之だ!(違うって:笑) あくまで著者は沢木耕太郎。でも、檀夫人の一人称。途中からは、彼女が書いているような錯覚を。

さて。あのあたりの時代で名の知れた作家達の日常が、ちらほらとちりばめられているものを読むと、教科書や図書館くらいでしかお目にかかったことのない方々が、実際に存在し暮らしていたのだということを、今さらながらに再確認したりする。当たり前なんだけどね。今、活躍している(とか書くと何か変だけど)作家達だって、この先何十年か後には同じように思われるのかな。うーん。やっぱり違うか。

たいして昔の話ではないのに、随分と遠く感じるのは、結構みんな早死にしてるから? 私達が物心ついてからって、自殺はあっても、それほど若い時期に自殺される作家って少ない気がするし(あくまで感覚)、そもそも痴情のもつれで心中とかなんてないんじゃない?(これも感覚) 浮気したって慰謝料を積まれるくらいで離婚できるし。ま、せいぜい「噂の真相」で数ページの記事をかかれる程度の(笑)

何か話がそれたな。
「惚れたはれただけでは、長いこと一緒にはいられない」という巷でよく言われる教訓めいた言葉を確認できる1冊。それにしても嫉妬という感情は妙だな、と。強い愛情(執着)を持っていなくても、やはりするものなのね。それとも、自分が執着していないと思っているだけで、やはり執着しているのか。あるいは、自分のものが取られるのが単純にいやだということか。

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2003年09月20日

森博嗣「四季 春」

ちょっと久々に読んだ森作品。
「すべてがFになる」[amazon]から始まる「S&Mシリーズ」と「黒猫の三角」[amazon]からはじまる「Vシリーズ」が微妙に交錯している。もちろん、「四季 春」[amazon]での主要登場人物である真賀田四季は、「S&Mシリーズ」でもキーパーソンであったわけなので、これは当たり前といえば当たり前か。(タイトルにこそ彼女の名前が入っているけれど、今回の主人公は別人(?)だと思う)

彼女に関しては、ずっとずっと謎な部分が多く気になっていたので、このシリーズはかなり楽しみではある。番外編めいた、でも本編、こういう解説編のような作品って、森作品では珍しい感じもするし。たいていぽーんっと突き放して終わりだし(ストーリー的にという意味で)。

内容は相変わらず。きちんと理解しようとして読んでいくと、途中でページを繰る指が止まる。だって、意味がわかんないんだもん(笑) 言いたいことは何となく判るけど、納得することは不能。理系の方はきちんと内容を理解して読むの?

特に事件がおきたりするわけではなく、彼女の成長過程が淡々と。但し、もちろん仕掛けはあるわけだけどね。次作の展開に期待。

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2003年09月17日

内田樹「期間限定の思想 おじさん的思考2」

随分と前に読了してから、そのまま放置しておりました。とりあえずここに書いておくことで、自分が何を読んだのかというのを記録しておけるのが良いので、忘れないうちにメモメモ。

大学教授であるところの著者が仮想女子大生の疑問・質問に答えたり、説教(?)したりする1冊。ここに登場する女子大生はまっとうだ。適度に勉強していて、適度に間が抜けている。勉強らしい勉強をせず、間が抜けっぱなしだった私なんかもう(笑) ふたりのやり取りに口をぽかんと開けつつ、なるほど、とか、うーん、とか唸りながら読むのみ。いやでも、とてもわかりやすくて楽しかったのはホント。

フェミニズム的な物言いに対する違和感とか苦手意識は、いつも私の中でぼんやりとしているのだけれど、そういったものが明確になって差し出されるとそれだけで何か気持ちが楽になるのは何故なのか。

全編に「納得!」という箇所がちりばめられているのに、たいてい読むのは寝る前とか通勤電車の中だったりするものだから、付箋をはったり、マーキングしたりとかそういったマメなことをしていない。そのせいでどこで「目からウロコ」だったのかが既に思い出せない。最悪。そんなわけで、また読み返すことになりそうな気配濃厚な今日この頃。ここまでくると何度読んでも新鮮でいいよ、なんてものを通り過ぎて、ちょっと情けない感が。

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2003年09月15日

恩田陸「まひるの月を追いかけて」

ある男性を探すために旅に出た奇妙な関係にある2人の女性。そして、探される男性。その3人が奈良を歩きながら辿る過去、現在、未来。
異母兄弟の話と判り、一瞬『夜のピクニック』になるはずだった作品が、違う形になってしまったのかしら、とも思ったのだけれど違うかな。

読み始めて真っ先に思い浮かべたのは、河瀬直美の『火垂』だった。「喪失」がテーマかな、と思ったら案の定すぐにそのキーワードが登場。舞台も奈良でますます「火垂」に重なっていく。

雰囲気としては、「黒と茶の幻想」に近い。特に深い深い謎があるわけでもない。ただひたすら自分のそしてよくは知らない誰かの人生に思いをはせてみたり、気持ちに区切りをつけていく。近頃の恩田陸の作品には、どうも感情が持っていかれてしまう。登場人物達の年齢がまず問題。この年頃の人間には、多かれ少なかれ何かこうすっきりしない割り切ることのできない微妙に影を落とす感情があると思う。そんなものを鷲掴みにされてしまうのよ。

単純だと、感傷的だと笑うなら笑えばいいさ!(笑)
弱ってんだよ、そうさ。(と、開きなおる。ちっとも弱ってないじゃん:笑)

「火垂」のラストにみた希望と、この作品のラストでみた希望は、でも微妙に違うような気がする。


ところで。奈良へ行きたくなりました。そうだ、奈良へ行こう。そうそう。すごくきっちり取材したのだな、ということがすごく良く判りました。はい。

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2003年09月09日

山田正紀「風水火那子の冒険」

名探偵の出てくるミステリというものに抵抗がある。でも、名探偵の定義というのがよく判らない。

借りて読んだ「風水火那子の冒険」[amazon] 普通の短編ミステリ。でも、登場する名探偵であるところの火那子さんが、何というか全くのバックボーンなしに直感的な推理を繰り広げるので、どうしても薄っぺらな感じがしてしまう。いや、面白かったか面白くなかったかと言えば、面白かったけれど。山田正紀なら、「火神を盗め」[amazon]が非常に面白かったので、それと比べると何となく凡庸だというイメージ。

もともと真っ当な名探偵ものは苦手なのだと思う(迷探偵は別:笑)。例えば足で稼いだり、知識を元に推理を繰り広げたりという場合は、まあ納得できるのだけれど。だから、私の中で、京極堂に関しては問題がないのだと思う(笑) まあ京極堂だって名探偵なのだろうけれど、いかんせんあのシリーズの中では「榎木津大先生」がいらっしゃるので、京極堂は名探偵とは呼べない。

あ、そうか。名探偵というか安楽椅子探偵が苦手なんだ、私。

追記:京極堂も安楽椅子探偵なんだよね、すんません。ううん、火那子さんと京極堂の差は一体なんなんだ。わ、私にはわかりません。ごめんなさーい。

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2003年09月03日

沢木耕太郎「彼らの流儀」

基本的にノンフィクションはあまり読まないのだが、最近若干読んでいる気がするな。今回は、東京駅構内の書店で物色中に、たまたま沢木耕太郎の文字が目に入ったので購入。友人による「この作品の文章が好き」という言葉をふと思い出しこの本を。

それにしても。ほぼ全て、どれをとっても感傷的。個人的には感傷的な文章を決して嫌いではなく、むしろ好んでいると思う。(それに対しては色々思うところがある方もおいででしょうが、何しろ個人的な趣味なんで:笑) 選んでいるわけではないのだけれど、最近読む本はフィクション・ノンフィクションにかかわらずこういう雰囲気のものが多い。もしかしたら歩めたかもしれない人生へ残る思いと、そして歩んでいる、歩んできた人生への後悔(というのも違う気がするけど)や満足感。結局は見知らぬ誰かの物語なのだけれど、自分に重なる何かがそこにはある。読みながら、何ともいえない気持ちになる一瞬が少し嫌いでもあり。

これまでだってきっと同じような本を読んでいたのだろう。けれど、ひっかかるようになっているのは岐路に立っているのだと無意識に思っているからなのかしら。

 胡桃のような堅牢な人生を送れるのは、そんな風に生きることが何か特別なことだなんて思わない人だけなのだよ、と。

この言葉が、かなり痛い。

ところで。これ、文庫の初版は平成8年なのね。さらに遡って単行本は平成3年? ええと、平成3年ということは、高校3年生。その頃の私はなーんも知らなかったし、なーんも考えてはいなかった(それは今も何ら変わっていない)。とにかく実家を出ることだけを考えて生きていたと思う。本を読んだって、何がどうということはないかもしれない。でも何か違ったかもしれない。私が後悔するとすれば、あの頃の読書傾向か(笑) 情けない話ではある。

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2003年08月31日

内田樹「映画の構造分析-ハリウッド映画で学べる現代思想」

映画は好き。でも、こんな風に見たことはない。そう、単純なの。
いちいち構造を気にしてたら楽しくないやん、と思いながら読み始めたけれど、最後には「なるほどねー。こういうのもいいかも」という気に。でも、こうやって分析をする為にはそれなりの知識が必要になるわけで、そこから始めないといけないのが何ともはや情けない限り。

興味深かったのは、やはり「大脱走」とヒッチコックの「裏窓」の分析かしら。その昔、誰かが言っていたけれど、こう言葉で何かが次第に構築されていく過程って楽しい。うわー、という気分になるのがいい。私は当然の如く、ラカンやバルトのことなんて全く判らないし、興味があっても理解が出来ない。でもね、「ああ、そんなようなことなのね」とほんの少し判ったような「気分」になれる。で、ちょっとだけ面白い。丁寧に例え話をしてもらえると納得できる子供のような私(笑)

で、猛烈に映画が見たくなった。ええとね、古典が苦手。それは映画も小説も文法も(笑) けれど、きっとね、見たら絶対面白い。というわけで、次の休みにはレンタルへ向かおう。でも、きっと。分析なんて出来ないけどね!

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村上春樹「もしも僕らのことばがウィスキーであったなら」

私はあまり洋酒を飲まない。正直なところ良く判らないのよね。何を飲んだら良いのか判らない。不思議なもので、日本酒であれば知らない銘柄のものであっても飲んでみようと思えるのに、洋酒だとそうはいかない。どうにも恥ずかしくなってしまって。自意識過剰。

私の知る中には、「お酒にそれ以外の何かを混ぜるのは邪道だ」と言う人もいる。言いたいことは判るけどなかなかねー(笑) 先日、珍しくストレートで洋酒を飲んだ。確かにおいしいと思った。でも、きっと店では頼まない。誰か詳しい人が一緒ならば話は別だけれど。

さてさて。この本を読んで思ったことは、スコットランド&アイルランドいいなあ、という何とも的外れな感想。旅行に行きたいというよりは、住んでみたいという。鮮やかな写真が目に眩しい。何故、あちらの国々の色彩のコントラストはあそこまではっきりしているのだろう。1日中ぼーっとしていても構わない。いや、していたいと思う。何もせずに。

あ、お酒についてのエッセイだっけ。すんません。だって、お酒については文章だけで、写真が1つもなかったんだもん。……って当たり前だっての。だから、何も判ってないって言われるんだってば。

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2003年08月30日

恩田陸「蛇行する川のほとり」

今年の春あたりからの三部作「蛇行する川のほとり」完結編。1冊が非常に薄く読みやすいのであっという間に読み終わり、すぐに次が出るのを待たなければならないのがもどかしかったけれど、ようやく完結。

誰しもが過ぎる少女時代の、本当に一瞬の物語。過ぎてしまった人間から見れば眩しく理想的に見える。でも、きっと皆同じだったよね。小さな秘密やお喋りや憧れや、そんなものを大切に抱えて。気づかないうちにそういうものを失くして、そして抱えていたことすら忘れて今に至る。

結末に関して言うならば、特に特筆すべき点はないと思う。予測可能な範囲というか。
でも、私はこの話をそして雰囲気をとても気に入っている。よくあることだけれど、もう自分の手の届かない世界に対する憧れや感傷を嫌いじゃないから。文章から季節の匂いを感じるのも悪くない。

けれど、ここまで醒めた視点で物事を捉えて、それを上手に隠すことのできる高校生なんているの?(笑) きっといるのだろうけど、それほど数は多くないよね。そんな女の子が3人も出てくるあたりが現実感に欠ける…と思ったりもするが、それこそ上手く隠していたってこと? まあ私は今も昔も非常に素直な人間なので、よく判りません(笑)

センチメンタルな気分になりたい時にはぜひ。軽く読めて、その割にはなかなか重たい気持ちに。

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2003年08月17日

京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」

今回はこれまでの作品とえらく違う。パズルのようにあちこちで起こる事件というものがなく、ひとつの事件だけがじっくりと描かれている。あまりにじっくりすぎて、前半はこうイライラしてしまった。辛抱たりませんな。いけないいけない。
しかし、やはり京極堂が登場するあたりからテンポが良くなって、頁を繰るのが早くなる。当然の如く、最後の憑き物落としが圧巻でしょう。

それにしても、犯人が最初っから判ってしまったので、わたくしとしては動機をおっかけて700頁超。あっさりと解けてしまった謎もあったけれど、最後まで解けなかった謎もひとつ。
でも、ベストワンではなかったな。もちろん面白かったし、次回作をまた待ち続けるけれど。いつになることやら、ね。

え。ベストワン? 断トツで、「絡新婦の理」[amazon] だな。その次に、「魍魎の匣」[amazon]

ああ、でも。これでようやくカバンが軽くなる(笑)

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2003年07月29日

蓮見圭一「水曜の朝、午前三時」

汐留で購入した本、第二弾。
「水曜の朝、午前三時」[amazon]というタイトルに随分前から惹かれていた。このタイトルが物語の中でどこまでの意味を持つのか、興味のあったところなのだけれど。読み終わった今では、かなり微妙だ。

肝心な部分の心の動きに関する記述が少なすぎる。いや、そういう現状に直面したら、多くの言葉では語れないものか。確かにそうかもしれない。けれど。
そして、主人公が犯した過ちは、もしかするとものすごくありふれたものではないの? それ以外の過ちと同じように。

誰だって、「あの時、もしも」と思う瞬間が幾つもあり、「もしもなんてありえない」という言葉を自分自身に言い聞かせて生きていく。「もしも、もしも、もしも……」 ほんの一瞬のことであっても、1日だってそれがよぎらない日は、多分ない。少なくとも、私は。

例えば恋愛であれば。この年齢になればさ、その時に付き合っている誰かがいたとしても、「忘れられない誰か」がいることはたいしておかしくはない。それは、永遠の片思いの相手や、逝ってしまった人、あるいは自分から別れた人、きっとそれぞれ。自分が死に直面した時、何を(誰を)思うのだろうということは、ふと考えるけれど。きっと、後悔はする。どんなに幸せに暮らしていたとしても。

けれど、それを何かの形で残そうとは思わないな。特に主人公のような状況に身を置いているのならば。だから羨ましいとは思うけど、とても私にはできない。色んな意味で、ね。

うーん、感傷的だ(笑) 夜はいけない。余計なことまで思い出すし。

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2003年07月28日

小谷野敦「中庸 ときどきラディカル」

基本的に小谷野敦の著書は好きなのだけれど、フェミに関する記述になると急激に興味が半減してしまう私。あと、急に「自分はもてない」とか言い出す部分。まあ、それありきで話が進んでいくのでお約束ということで気にしなければいいのだけれど。自分のことは棚にあげて言わせてもらえば、「過度の被害妄想や過剰な自己に対する卑下などは、周囲の人間を不愉快にする」と思う。

それ以外の部分は読んでいて非常に楽しい。でも、何か途中で「中庸」とか「ラディカル」という話題からどんどん離れていっていった気がするのは(そんなことないかも)、私が無知なせい?(その通り)

とりあえず「間宮林蔵「隠密説」の虚実」[amazon]あたり次に読んでみようと思ったり。

すみません。あまり深いところに言及できないんです。難しいこと考えられないし(汗) とうわけで、この辺で。(何じゃそりゃ)

投稿者 kaori : 23:35 | Comments (4) | TrackBack

2003年07月20日

そういえば

朝、汐留に向かう地下鉄の中で、隣に座っていた女性が、大塚英志「『りぼん』のふろくと乙女ちっくの時代―たそがれ時にみつけたもの」[amazon]のページを繰っていた。うわー、懐かしい。

私の幼少期は完全なる「りぼん」派だった。小椋冬実の「リップスティック・グラフティ」[amazon]をドキドキしながら読んだもの。「なかよし」に掲載されているホラー系漫画にはかなりそそられもしたが、やはり「りぼん」が原点。その後、「ぶ~け」を経て、今では白泉社系にすっかり鞍替えしてしまったけれど、いまだに一条ゆかりなんかは大好きである。

ていうか、そんなに懐かしがるほどに私はマンガから離れていないんだよな。あはは。さすがにふろくは欲しなくなったけど。でも、ふろくよりは全員プレゼントが良かった、私は。ふろくの為ではなく、全員プレゼントの為に自分で購入していた、というところだな。

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2003年07月19日

「ウェブログ入門-BloggerとMovable Typeではじめる」

昨日、amazonで注文していた本が届いた。

「ウェブログ入門-BloggerとMovable Typeではじめる」[amazon]である。特に大層なことがやりたいわけでもないのだけれど、ね。ええと、毎日適当な話題について書き飛ばして、普通にそれが日付順に並ぶ。それは、何とかhtmlを自力で書いて作れる。でも、それを話題のカテゴリ毎にも並べられて、かつ過去ログの整理も出来るとなると、わたくしめの貧相な実力では到底無理。で、この本を購入したわけだ。

もっと色々なことが出来るのかもしれないのだけれど、私には上記の内容だけでもう十分。実は、ここまでやらなくても、希望を網羅したサービスを提供するサイトがあるんじゃないだろうかと思ったりもするんだが、まあいい。とりあえずチャレンジ。こういう作業は基本的に大好き。夕方あたりからインストール作業を始めてみたんだけど、いやー、私の選んでいるプロバイダ(複数)の使えないこと(笑)

自作CGIに制限多すぎなんだもん。
結果、落ち着いたらプロバイダを乗りかえることに決定。今まで(前のサイトを置いていた某プロバイダNL)のところは、関東圏内のみの接続プロバイダであったので、出張先では使用できず、このサイトのあるプロバイダのアクセスポイントを使用することが常。だったら、こっち1本にしろよ、って感じなのだが、メーリングリストの登録アドレスが軒並みプロバイダNLのものであるので、変更が面倒でそのまんまになっていたというわけ。ま、これを機に面倒な変更作業を行うことにいたします。

で。さっきまで頑張ってたっす。いい感じのところまで到達したけれど、明日は休日出勤なので本日はこれまで。完成の暁には、またサイト移転の予定。皆様、申し訳ございません。

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2003年07月16日

沢木耕太郎 「テロルの決算」

昨日の本と同じく、借りたまま持ち歩いていたにも関わらず読んでいなかった文庫本を、出雲駅から空港へ向かうバスの中でようやく手にとった。昨日の嫌悪感から抜け切れず、結局あれから最相葉月の本は開いていない。

結論から言うと、「テロルの決算」[amazon]の方が圧倒的に面白かった。出雲空港、羽田空港、浜松町、読むのを中断される機会は何度もあったが、その勢いを止められることは遂になく、練馬駅に到着する頃には、1冊を全て読み終えていた。

それは若き右翼活動家の人生に惹きつけられたということも当然ある。そして、60歳を超えた左翼政治家の昏さが理解できる年齢になっていたというも。題材や視点には、どこか感傷的な印象が漂うのは確かだけれど、感情の押し付けは見られない。ただ淡々とそれぞれの人生と当時の社会が描かれているという印象。そして、これが著者20代に書かれたものだということに、少なからぬ衝撃を受けた。

私は右でも左でもない。どちらかと言うと、権力を持つ人間の最終形は誰も同じだという、漠然とした思いがある。恥ずかしい話なのかもしれないが、私はこの年齢になるまで一度たりとも選挙に出向いたことがない。
不景気と言われる現在でも、私自身の感覚として不景気を実感することは、ない。もしも、私が政治に興味を持つ何かがあるとしたら、おそらく経済の不安定を感じた時だろう。(勿論、今だって経済の危機は声高に叫ばれているし、事実そうなのかもしれないが)

いつかその時がやってくるかもしれない。しれないが、その時まではおそらくは政治的無関心の海に漂い続けるのだろう。今はまだそう思っている。願わくば、永遠にそうであって欲しいとも。

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2003年07月15日

最相葉月「あのころの未来 星新一の預言」

仕事が終わり駅前にあるホテルにチェックインを済ませた後、近所のパスタ屋へ夕食をとりにでかける。しばらく前に手に入れて以来、出張時には持ち歩いているにもかかわらず、まだページを繰っていなかった本(「あのころの未来 星新一の預言」[Amazon])を取り出す。1ページ1ページゆっくり読み進む。

が、しばらくしてどうにも気持ち悪くなった。読み進められなくて本を閉じる。どうも、私は最相葉月の著書とは相性が悪いらしい。「絶対音感」[Amazon]は何とか読み通したが、実は最後のほうは苦痛だった。

星新一の作品はとても好きだった。勿論、今も好きだ。私はあまり難しいことを考えられないので、素直にあのブラックさが面白かった。(私自身は皮肉家になれないけれど、そういうものへの憧れは強かった。これも過去形ではなく、現在形だと思う)

けれど、星新一が描いていた世界は、私にとって実現されることのない未来であるはずだった。確かに未来は星世界の舞台に近づいているかもしれないけれど、警鐘を鳴らしていたのかもしれないけれど、でもやはり登場人物が抱く欲望や皮肉な結末は私には考えられないものだったのだ。勿論、時おり心に重いものも感じた。それでも……。

この本の中では、星の描いた世界が現実となったのだ(なりつつあるのだ)ということが、これでもかという位に書かれている。彼女の描く現在は、確かに今そこにある真実だと思うし、考えるべき問題も多々含まれているのだろう。けれど、煽られているような感覚が拭いきれない。
彼女の作品はどこか中途半端に自身の思い入れが含まれている気がする。おそらく社会派で括られているのであろうけれど、それが故に余計に微妙な居心地の悪さというかすわりの悪さというものを感じてしまう。

私は色々なものから目を逸らそうとしているのかもしれない。きっと、自分の半径500mの世界に目を向けて暮らしているだけなのだろう。もっと端的に言えば、私は社会派が苦手だ。気持ちが悪くなったのは、彼女の書くものが肌に合わないからなのか、それとも。

私は今度も最後まで読み切ることができるだろうか。

投稿者 kaori : 23:32 | Comments (0) | TrackBack