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2004年05月11日

「ささらさや」加納朋子

加納朋子の優しいミステリーは読んでいてほっとする。まずあまり人が亡くならない。亡くなったとしてもひどく残酷なものはほとんどない。(「ガラスの麒麟」はちょっとつらいけれどね) だから、心が疲れていたりする時に読むミステリーとしては非常によいと思っている。
今回のものは、しばらく前に幻冬舎から出ていたミステリー漫画雑誌で連載されていたのを読んで、そういえばあったねと購入してみた。

不慮の事故で亡くなった旦那さんは、乳飲み子を抱えた少し気の弱い奥さんが心配で成仏できない。自分の姿を見ることができる数少ない人間に、それぞれ一度だけ乗り移ることができるということを利用し、奥さんがピンチの時には姿をあらわし、解けない謎がある時にはそれを解決し、影ながら彼女を支えていく。そして、奥さんも周囲の人々とのふれあいなどを通じて少しずつ強くなっていき……そして、というお話。

よくあるお涙頂戴(ってわけでもないけど)ものだと笑いたければ笑えばいいさ。でも、小さな小さなミステリーを丁寧にといていくこの物語は、手作りの小物みたいでやはり好感が持てる。短編がいくつも集まって1冊になっているこのお話。ちょっとした合間に1話読めるのでお手軽なのも良いのです。

投稿者 kaori : 2004年05月11日 00:22

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