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2004年11月14日

「ぼくたちは何だかすべて忘れてしまうね」岡崎京子

こちらはゴールデンウィークのバンコク旅行時に読んだっきり放置していたもの。
岡崎京子が事故をおこす直前まで書き溜めていた短編集なんだそうな。雑誌に連載していたものなのね。最近、岡崎京子の話を聞かないなぁと思っていたけれど、随分と回復していたらしい。そりゃ良かった。うんうん。

内容は、彼女の漫画を小説にしたらこうなるんだろうな、と思うような作品が続く。嫌いじゃないけど、もうこの歳になってしまうと何だかね。ただ、この歳だからこそ(いや、この年代だからこそ)実は感じるものがあるのかもしれないという気もしないではなくて、そのあたり複雑。いい加減に、こんな脆い感受性みたいなものからは距離を置いた方がいいと思うんだよね。そうじゃないと生きてくの大変だから(笑)

結末はどれも読者を突き放すものばかり。普通ある結末を読者の想像力に委ねますというスタンスではないようで。そこから感じるのは何だろう。昔だったらきっと希望があるよなないよな、けれどやはりどこか閉じた気分になっていたと思う。感情移入ってどうしてもあるしね。でも、今はどうかなあ。ほんの少しの不快感と自分に対する反省(?)みたいなものを感じるかな。

彼女の作品に対して、批評をするとかそういう立場でない一般読者の私としては、万が一彼女が復帰してきたとしても(それがマンガでなく小説であっても)、おそらくもう手に取ることはないんじゃないかと思う。いつまでも若くないし(笑)、忘れていくものを無理にたたきおこす必要はないと思うのよ。いや、もちろんね、歳をとればとったなりに新たに受け入れたり、捨てていったり、もっと静かで悲しい何かがあるから、そういったところを突かれると痛いなあとは思うんだけど(笑)

投稿者 kaori : 2004年11月14日 12:07

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