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2003年08月30日

恩田陸「蛇行する川のほとり」

今年の春あたりからの三部作「蛇行する川のほとり」完結編。1冊が非常に薄く読みやすいのであっという間に読み終わり、すぐに次が出るのを待たなければならないのがもどかしかったけれど、ようやく完結。

誰しもが過ぎる少女時代の、本当に一瞬の物語。過ぎてしまった人間から見れば眩しく理想的に見える。でも、きっと皆同じだったよね。小さな秘密やお喋りや憧れや、そんなものを大切に抱えて。気づかないうちにそういうものを失くして、そして抱えていたことすら忘れて今に至る。

結末に関して言うならば、特に特筆すべき点はないと思う。予測可能な範囲というか。
でも、私はこの話をそして雰囲気をとても気に入っている。よくあることだけれど、もう自分の手の届かない世界に対する憧れや感傷を嫌いじゃないから。文章から季節の匂いを感じるのも悪くない。

けれど、ここまで醒めた視点で物事を捉えて、それを上手に隠すことのできる高校生なんているの?(笑) きっといるのだろうけど、それほど数は多くないよね。そんな女の子が3人も出てくるあたりが現実感に欠ける…と思ったりもするが、それこそ上手く隠していたってこと? まあ私は今も昔も非常に素直な人間なので、よく判りません(笑)

センチメンタルな気分になりたい時にはぜひ。軽く読めて、その割にはなかなか重たい気持ちに。

投稿者 kaori : 2003年08月30日 22:32

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