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2004年11月14日

「袋小路の男」絲山 秋子

リアリティあるなあ、こういう関係。え、ないって? 私だけか(笑)

高校時代から30歳過ぎるまでの12年間、ある男性を思い続けた女性のお話。そして、男性の視点からの別バージョンも収録されている。それだけ長い間、相手には触れることもなく続いていく関係。女性である私から見れば、男性は彼女が自分に気があることを知っていて、自分に都合良く扱っている感じがして非常に嫌な男だと思うのだが、結局、女性も他の男性と付き合ってみたりするわけだしおあいこだ。しかしこういう友人以上(おそらく絶対に)恋人にはならない関係って微妙。男性サイドの突き放し方も曖昧で、容易に肉体関係にならないが故に女性側も踏ん切りがつけられない。

男性サイドの視点になると、ますます男女の関係って難しいなと思う。自分に対して盲目的な信頼というか才能に対する信奉なんかをされるとつらいわな、そりゃ。それでも離れないのは何なんだろう。やっぱりお互いどこか寂しいからか? ありきたりだな。でも、ありきたりなことが普通なんだろうし。

ある一線で明確な拒絶をして/されているのに、ずっと続いていく関係。いやもう身につまされるものがありますよ。高校生や大学生じゃないんだから「男女間に友情は成立するのか?」なんてそんな問いは今さら致しません。(男女間の)友情を成立させる要素のどこかには必ず愛情が介在すると思うのよ。人はずるいから、自分に対する好意は当然のように永遠に続いて欲しいと思うし、特別の扱いをしてもらいたいと思う。それがたとえ自分の相手でなかったとしても、だ。だからきっと誰しもが、「あ、自分って気が多いのかも」と思う瞬間ってあると思うんだよね。浮気とかそんな直接的なことをしなくても、気持ちの中には必ず。そのうちそういった感情を上手に隠していけるようになる。

うん、やっぱりリアリティあるよ。都会で成長した子供でなくたって同じだと思うんだけど。何だか悲しいなあ。

投稿者 kaori : 2004年11月14日 13:06

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