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2004年10月16日

「夏の名残りの薔薇」恩田陸

実家に戻った2日間あまりの間に一気に読ませていただきました。
恩田陸の作品では結構多いと思うのだけれど、章ごとに違う人物の視点からある数日間を描かれている形。今回は同じ時間を別々の視点から書いているのではなく、一応章ごとに時間が進んでます。一応、一章ごとに話は完結(してはいないけれど、まあそんな感じ)しているので、細切れに読むにはいいかもしれないですが、次の章に移った途端一体さっきの話は何だったのか?という疑問がふつふつと湧いてきましたね、最初は。あまり書くとネタバレになっちゃうなあ。ううん。

個人的には、本編に挿入されていたとある小説の引用は微妙だと思う。その話にとても影響されたのだということはわかるし、それが主題になっているのも判るのだけれど、なくても十分な気がするし。そして、やっぱりラストがそうなっちゃうの?というか……。あまりにもまんまではないかと。

ところで、出張時の移動時間なんかで暇を持て余したり、割と長時間歩いたりする時には、頭の中で色々妄想して遊ぶことが多い。完全な創作なわけではなくて、自分の思い描くように何かが起こったらいいとか、過去のある時点に立ち戻ってもしもこうなっていたらどうだとか、明日の自分はこうするとか、そんな諸々の日常生活を思い描く類のもの。もちろん、過去の話なんかで言えば既にもうありえない話ではあるけれど、そうやって想像するのは結構好きだ。(最近になって、ふつーにみんなやっているんだということが判って安心した:笑)
例えば、未来のお話であれば、強くそう望めば願いは叶うとかって言うよね。それじゃ、過去だったらどうか。記憶なんて信用できないというのは、もうさんざん言われてきた話だから今更感もあるけれど、この話では「自分が誤って認識している過去の記憶に他人も引きずりこめるものなのか」というのが最終的なところなんだろう。そして、誤っていると判っているのに、他人から告げられた相手の真実を自分の真実であると信じ込むことができるのか。

結論から言えばそうなんだろうなー。でもなー、最後はどうもとってつけた感が漂うのです。
毎回彼女の作品を読んで、毎回同じことを書いている気がしますが、途中まではとっても面白かった。

いや、それともよく人に言われるけれど、ストーリーとしての結論をやはり気にしすぎているのかな。そういう部分ではない何かを味わうべきか。ストーリーだけに固執しているわけではないけれど、どうしてもラストが気になる。色んな意味でラストは重要だと思うんだけど……まだ子供でしょうか、私(笑)

投稿者 kaori : 2004年10月16日 00:00

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