欧州・旅人日記
☆今回のヨーロッパ旅行にあたって☆
昨年(97年)の夏休みに初海外のハワイへ行ってからわずか数ヶ月。最初にI君とヨーロッパ
へ行こうか、と言い出したのはその年の秋であった。そして、I君が格安の航空券(モスクワ経
由のヨーロッパ往復・6.5万円)を見つけたことをきっかけに、話は本格化していった。それか
らというものの、池袋や新宿の某旅行会社にいろいろ話しを聞きに行き、徐々に計画も進行し
ていった。5万円で15日間ヨーロッパをめぐれる鉄道周遊券(ユーレイルユースパス)がある
ということを知ったのもそのときである。やはり、パックやツアーではなく個人旅行ということで、
知らない土地という不安や親の心配などもあったが、こういう旅行は今でしかできないし、今の
うちからこういう経験をしておけばこれからの人生において大いに役立つと感じたので踏み切
った次第である。
☆出発にあたって☆
北欧の方はかなり寒いとのことで、服装はかさばらない程度に厚着をしていった。あと荷物
は、ほとんど鉄道を使って移動するとはいえやはり身軽な方がいいので、最小限の着替え
と非常食、雨具、カメラ、ガイドブック、携帯バッグくらいしか持っていかなかった(それでもだ
いぶ重かった・・・)。あと、大切なパスポートや鉄道周遊券やクレジットカードなどは首から
吊り下げ、現金はドルに換えて(円より換算率が良いから)財布に入れて持っていった。
1日目・日本<成田>・晴れ
いよいよ出発の朝、朝8時にI君とJR池袋駅で待ち合わせて日暮里から京成スカイライナー
で成田空港(第2ターミナル)へ行った。今回うちらは、知る人ぞ知る「アエロフロート・ロシア
国際航空」というマイナーな飛行機を使うわけだが、見学しに行ったらちょうどその飛行機が
入ってきた。その飛行機を見て僕らはブルーになった。口に出したことは同じ、「こんなに小
さいの・・・!?」・・・そう、
その飛行機にはエンジンが2つしかなかったのだった。事前に調べ
た情報によると信頼度はそれほど低くはなかったので安心はしていたのだが・・・本当に大丈
夫なのか!?保険にも入ったし落ちて死ぬのは一瞬だ、と覚悟を決めていざ搭乗口へ。そし
て、良好な天気の中13:00発のモスクワ経由ロンドン・ヒースロー空港行きSU582便で日
本を飛び立った。ロシア国際航空だけに、モスクワへ帰るロシア人ばかりかと思えば同じ経由
でロンドンへ行く日本人もけっこういた。それよりも驚いてしまったのは機内食が意外にイケて
たことと、サービスの良さである(おしぼり・記念品・しつこいくらいのドリンクサービス)。特に
ドリンクサービスはワイン・ビールなんかもあって、ちょっとしたビジネス気分だった。添乗員は
みなロシア人だったが日本語を話せる人もいて安心した。これで往復6.5万は本当に安いと
思った。モスクワまで10時間25分、そして現地時間の17:25に到着した。この日モスクワは
悪天候で吹雪きの中の着陸はかなりこわかったけど、無事成功した(滑走路には凍結防止剤
がまかれていた)。そのモスクワ空港で給油のため1.5時間待たされた。ロシアには一生来る
ことないと思っていたのだが・・・そこの空港はひどかった。もう外は真っ暗なのに照明がほと
んどなく空港全体が暗〜く静まりかえっていて、ちょっとただならぬ雰囲気だった。おまけに出
発便を知らせる掲示板が壊れており、時計も狂っていて、放送だけが頼りであったが・・・それも
ロシア語で言われては・・・。なんて空港なんだ。こんなところに取り残されるのは死ぬよりも嫌
だったので、トランジットのカードを持ってずっと待機していた。そして再び4時間15分飛行機
に乗ってロンドンへ向かった。この時間帯、日本ではすでに深夜なので睡魔もおそった。飛行
機の時間は合計約15時間にもなるので疲れてしまうのだ。しかし、ロンドンに着陸するときにそ
の眠気は吹き飛んだ。窓から見るロンドンの街の夜景が素晴らしかったのだ。街灯がすべてオ
レンジ色に統一されており、それは言葉では言い表せないほど奇麗だった。もう、そこはすでに
別世界であったのだ。そして着陸のとき、さらに眠気が吹き飛んだ・・・勢い余って機体がワンバ
ウンドしたのであった・・・まあ、兎にも角にも20:10無事ロンドン・ヒースロー空港にたどり着い
た。とりあえず今日は初日から緊迫感漂いまくりで疲れたので、地下鉄を使って速攻で予約した
市内のホテルへ向かった・・・が、ここでさっそくアクシデント!!地図に沿って探しても探しても
お目当てのホテルが見つからない!地図がわかりにくかったのもあるが、他にも同じようなホテ
ルがずらーっと並んでいてわけがわからない。夜も更けてきて歩き回るのも危なくなってきたの
で、スーパーなどでアドレスを見せて聞き込み作業を何回も行った。そして1時間近く歩き回って
、23時ころようやくホテルが見つかった。安いホテルと聞いていたので、どんなにひどいものかと
思ったが、けっこうきれいだった(シャワーでお湯が出なかったのがまいったが)。明日から始まる
本格的な旅に備えてゆっくり休んだ。
2日目・イギリス<ロンドン>・快晴
朝7時頃起床。ロンドンの朝は晴れていた。ホテルの下では朝食が用意されていた。バイキング
形式になっていて食べ放題だった。まさか朝食がつくとは思っていなかったので非常に助かった。
そしてホテルを出発して、いよいよロンドン市内見学である。まず向かったのはロンドンの主要駅・
ウォータールー駅だ。ここで、今日乗るパリ行きの
ユーロスターの予約を行った。しかし、9000円
くらいで買えるはずの2等片道切符がなく、1等だと18000円近くとられる。仕方なく、15000円の
2等往復切符で妥協した。その後、地下鉄を利用して名所めぐりをした。まず
テムズ川を見て、ピカデリー・サーカス、猿岩石のゴール
したトラファルガー広場、そして
ロンドン塔、バッキンガム宮殿、
ウエストミンスター寺院、ビッグベンなどだいたい行きたい
ところへは行けたし、それほど駆け足でもなく余裕をも
って回れた。イギリスは紳士の国と聞いていたがその雰囲気はあったし、町並みも独特の光景をもってい
て感極まった。さわやかで清潔感の漂う街という印象を受けた。ただ、物価が高いのがちょっと難点だった。
さすがに日本人も多かった。もうちょっといたい感じもしたが、昼飯(路上のハンバーガー)を食べて、
ウォータールー駅16:23発 パリNord行きのユーロスター
に乗った。その際、駅で空港ばりの厳しいセキュリティチェックを受けたのだった。まさに空港のような大
きな駅であった。暮れゆく夕日の注ぐ中をユーロスターは走った。時速300キロ以上出るらしいのだが、
驚いたことに全く揺れないし音もしない。よってそのスピードは実感し難いが、かなり快適な車中であった。
そしてパリには20:29に着いた。この日もホテルをとってあったのでそこへ行くこ
とにしたが、パリの地下鉄はけっこう怖かった。夜ということもあるが、ホームは真っ暗で閑散として
いて怪しそうな人が何人もいた。その電車もドアが手動式で走っていても開いてしまうのだ。しかも
走っている途中で車内の電気が消えて真っ暗になってしまったりと、まあいろいろあった。そして、ホ
テル探しだが、また地図に騙された。結局また聞き込み作業。フランスでも簡単な英語は通じた。し
かし嘘を教えられ反対方向に行かされる始末。結局最寄り駅のはずの駅からは15分も離れたとこ
ろでようやく見つかった。今日も苦労した。しかし、昨日のロンドンよりはきれいなホテルでテレビもシ
ャワーも完璧だった。23時ころ寝た。
3日目・フランス<パリ>・快晴
8時頃起きた。このパリのホテルの朝食はかなりよかった。バイキング形式でパンやヨーグルトなど
種類もいっぱいあって非常においしかった。そして今日も快晴。気持ちのいい朝だ。昨日同様地下鉄
を使っての市内見学であるが、パリの地下鉄は13号線まで張り詰められていて、どこまで行っても
料金は同じシステムなので、便利な10回券(カルネット)を買って、二人で分けて使うことにした。最初に北駅に行って、またこの日のスペイン行き寝台車
の予約をしたのだが、目当ての電車は満員でとれなかったため、経由を隔てた別の行き方に変更して一件
落着。そして、まずはフランスといえばここ、エッフェル塔へ行っ
た。そして登った。当然エレベータがあるわけだが、料金の違いがあるので御苦労なことに自分たちはあの
エッフェル塔を階段で登ったのだった。昨日かなり歩いたのでめちゃくちゃきつ
かった。3日目にして早くも足が止まってきた。しかし、その足で稼いだ高さは大きな価値を生み出した。
パリ市内を一望できる景色は素晴らしかった。それは京都の五條閣
のようなキャンパスにビルを埋め込んだような感じだった。次に行ったところはロダン美術館。不謹慎な例えだが、広島の原爆ドームのような建物だった。次に、シテ島に
渡ってノートルダム寺院を見た。こちらも独特な造りで印象が強か
った。あと、オペラ座を見て、ル
ーヴル美術館にも行った。ルーヴル美術館は中に入ろうと思ったのだが、ものすごい行列(ほとんど日
本のツアー客)ができていて、とても入れるような状態ではなかった。日が暮れてまう。仕方なく入場はあ
きらめて、ガラス張りのピラミッドからちらっと中が覗けたので、それで我慢した。そこから、コンコルド広場を経て凱旋門へ向かう
途中にいろいろおみやげ屋が並んでいたが、やっぱり目を引くのが今年行われるサッカーワールドカップ
の関連の店だ。地元でも相当盛り上がってい
ていろんなグッズが売られていた。すでに夕方。凱旋門は夜がきれ
いとのことなので、シャンゼリゼ大通りのマクドナルドで飯を食べ
て暗くなるのを待った。そして、凱旋門がライトアップされた。これを目の前で見るとフランスに来たん
だなと実感できる。ちょうど門の下でダイアナ妃への儀式が行われていた。それでもって、ここでも上に登
った(また階段だった・・・きつかった)。また夜のパリの街もきれいであった。特に
シャンゼリゼ大通りが一際輝いていてその彼方には同じくライトアップされたエッフェル塔が見えた。
今まで見た夜景の中で最高の景色だった。ところで、上から見るとよくわかるのだが、凱旋門を中心に何本
もの大通りが交錯していて、特にシャンゼリゼ大通りは片側5車線の計10車線なので交通規制が大変で
警官が整備しなければいつぶつかってもおかしくないようなめちゃくちゃな状態になっていた。さて、
今日1日パリ市内を歩きまわってわかったことは日本人が多すぎるということだ。
ちょっとした観光名所に行けばツアーの団体が必ずと言っていいほどいるし、普通に街を歩いていてもす
ぐ見かける。あと、シャネルやグッチなどのブランド店にも必ずたかっているの
だ。日本人も多ければ日本の店も多い。「免税店」と漢字で書かれた店も数多くあるし、日本語をよく見掛
ける。一番笑えたのが「札幌ラーメン」と書かれた店があったことである。ところで今日、こんなことが
あった。黒人が近づいてきてユニセフの募金だから、といって100フランもってかれたが、すごい怪しい。
本当にユニセフに行くのなら別にいいのだが、どう見てもあれは怪しかったぞ
!!今日もいっぱい歩いたので疲れた。Nord駅に戻って明日から使う周遊券に印を押してもらった。
そして22:58のイルーン経由、スペイン・マドリード行きの夜行列車に乗り込んだ。今回初の夜行列
車だが、この日は座席車だったので寝にくかった。
4日目・スペイン<マドリード>・晴れ
昨日予定の変更を余儀なくされたので7:35にIrunに着いて、マドリードChamartin駅に着いたのは14:5
5になってしまった。しかし、Irunからマドリードへ行く列車にはテレビがついていて映画が見れた。しかも、
車窓からはきれいな田園風景が見えて郊外の良さもわかった。マドリード市では、まず
王宮を見た。その後レティーロ公園へ行った。そこの池に浮か
ぶアルフォンソ12世の騎馬像は立派だった。あと、プラド美術館と
コロン広場のコロンブスの塔を見てまわったが、コロン広場では市民
によるデモが行われていてちょっとおっかなかった。昼はマイナーなハンバーガーショップで食べた。夜は
パンを買って食った。今日はそれほど歩かなかった。Charmartin駅で22:00発バルセロナSants行きの夜
行を待ち、乗った。6つ座席のある1ルームだったが混んでたので今日も座ったままだった。横のおっさんのいびきがうるさかった。
5日目・スペイン<バルセロナ>・快晴
7:00ちょうどにバルセロナに着いた。今日も快晴。なんとうちらがヨーロッパに来てからずっといい天気が
続いているではないか。最後までもつかどうか。バルセロナは同じスペインでも昨日のマドリードとはだい
ぶ雰囲気が違った。なんとなく街全体に重みがあり、歴史的建造物が数多く建ち並んでいる。かと思えば
、丘を登ってグエル公園に行けばラテン的なイメージで、
コロンブスの塔
の立つ広場から見る地中海は広大であった。しかし、もっと
感動したのはモンジュイックの丘に登って一望できた市内と
地中海の光景、そして偉大な
モンジュイック城の歴史ある風格であった。立派な城壁に囲まれていて、大きな大砲が幾つか
ズシンと置かれていた。実はこの丘、登るのがかなりきつかった。そしてこの日のバルセロナは夏のような
暑さだったので余計しんどかった。でも、ロンドン・パリとはまた違う世界を見ることができたと思う。帰りに
丘を下っていくと、1992年に行われたバルセロナ・オリンピックスタジ
アムが見れた。中に入ることもできて聖火台もそのまま残って
いた。I君いわく、「思ってたより小さい・・・」だったが、日本の国立競技場くらいだった。最後に
カタルーニャ美術館を見て、Sants駅に戻った。19:20発のCerbere経由、ニース行きの夜
行に乗った。今日は空いていたので座席車で横になって寝れた。ところで、この日の昼飯はなんと"カツ井
"だった。ガイドブックに載っていた和食レストランを探して行ったのだった。今まで、レストランには入る機
会がなく(高かったし、メニューを見てもわからなかったので)マックやパンばかりだったので、とてもおいし
かった。普通この辺にある和食レストランというのはめちゃくちゃ高いが、ここだけはお手頃な値段(1000
円くらい)だった。他にもカレーライスやラーメンなんかがあって、そそられた。今度ご飯を食べるのはいつ
になることやら・・・。
6日目・フランス<ニース>/モナコ・雲り
7:55にニース駅に到着した。市内全体に朝もやが立ち込めていた。ニースは見るとこがあまりなかったが
、美しいと有名なニースビーチへ行った。海岸線がしなっていて、
まさにビーチという感じがした。そこは珍しいことに砂浜でなく、小石の
ビーチであった。波が来るたびに、そのきれいな小石がカタカタと音を奏でていた。ちょうど朝日が昇る
時で、とても幻想的だった。ここは、真っ青なビーチというイメージがあったが、こういう光景も美しいも
のだと思う。ニースはこれくらいにして、10:04の電車でモナコ公国に向かった。
海岸線沿いに走って約20分、モナコ・モンテカルノ
駅に到着した。モナコといえばF1グランプリくらいしか知らなかったが、意外と見どころはあった。
うちらはモナコの王宮へ向かった。ここも丘の上にあるため、階段を登っていった。そうしたらやはり
ここでも町並みを一望することができた。モナコの建物の
特徴は屋根がみんな橙色なので、これもまた不思議な世界であった。北の方角にはモナコ港があり、
ヨットクラブになっていた。そしてびっくりなことに、桜ら
しきものがきれいに咲いていた。その後スーパーでピザを食った。あと、もっと北の方に行けばグラン・カ
ジノなど、にぎやかなところがあったのだが、次に行くイタリアのミラノは危険なところと聞いていた。よ
って、そこに早く着きたいということもあって、予定を繰り上げ12:41にモナコをあとにした。いよいよ、
イタリアである。この辺りは列車で国境を越えてもパスポートのチェックは来なかった。ミラノ中央駅には17:
45に着いた。そしてマックで夕食を食べた後、速攻ホテルへ向かった。ここは駅から近いところにあるはずだ
ったが、それでも迷った。また聞き込みを敢行したら、めちゃくちゃわかりにくい位置だった。しかし、このホテ
ルはかなり良かった。予約では2人部屋になっていたが、同じ料金でそれぞれシングルルームにしてくれた。
しかも、部屋の中は一番きれいで、テレビは日本の番組も一部見れるようになっていた。この日はゆっくり休
んだ。
7日目・イタリア<ミラノ・ヴェネツィア>・雲り
ミラノはあまり見るところがなさそうだったので、朝飯を食べた後しばらくホテルでゆっくりしていた。そのときに
ちょうどテレビで、長野オリンピックの閉会式をやっていた。まさか、こっちで見れるとは思っていなかったので
意外だった。そしてホテルはチェックアウトぎりぎりの11:30ころ出発した。
まず行ったのは
ガッレリアという、天井がガラス張りになった大きなアーケードである。ここにもツアーの日本人
が大勢いて買い物をしていた。次に有名なドゥモへ行った。
この建物の造りは凝っていて、ものすごかった。パリのルーヴル美術館
とかもそうだったが、ヨーロッパの歴史ある建築物というのは壁や柱や扉など、どれを
見てもひとつひとつに細かい細工が施されていて、凝った彫刻などがたくさん埋められているのだ。これは
写真などの2次元的な映像ではわかりにくいのだが、実際に近くで見てみると一体どれくらいの時間と労力
を費やしたのだろうか、と本当に驚いてしまう。また、ドゥモの広場にはたくさんの鳩とたくさんのカラフ
ルな紙ふぶきが散りばめられていて非常ににぎやかな場所だった。そこでは結婚式も行われていたが、まさ
に絵になる場所である。あとは、王宮を見に行ったが、それくらい
しか見どころはなかった。よって時間が余ってしまったので、水の都・
ヴェネツィアに行くことにした。最近では北野武が賞を受けたとして有名な場所である。ミラノ
14:05発の電車に乗ったが、なんだか知らないがその電車がめちゃくちゃ混んでいた。しかも、みんな
変な仮面をかぶったり、海賊などの仮装をしたりしていたのだ。16:55
ヴェネツィア駅に着いても、そこはすごい人でにぎわっていた。特にカーニバルかなんかがあったようには思えなかったが、毎日がそういうお祭りみた
いな楽しい場所なのかもしれない。でもやっぱり、車の全く通らない水上都市というものを目の当たり
にして驚きはそっちに傾いた。タクシーもバスもすべてボートなのである。つまり、何本もの運河が国
道の役割を果たしていて、そこにかけられた幾つもの橋をわたって歩いていくといった感じで、迷路の
ようだった。この町は迷ったら一生抜け出せないと思った。町の中央には心臓
部となる大運河が流れていたが、もはや運河の範囲を越えていた。海のようにただっ広いのに水はずんず
ん流れているという異様な光景だった。そして、だんだん夜が更けてくるにつれ、町もにぎやかになって
きた。いろいろなところで路上ライブが行われていて、教会の鐘の音が高々に響き渡ったり、おみやげ屋
には楽しい覆面が売られていたりと、本当に楽しい町だった。夜の運河を通る屋形船のライトアップなど
も美しかった。夕飯はピザを買って食べた。イタリアのピザだから本格的だろうと思っていたが、こっち
のピザは生地が薄いのではなく、パンみたいなフワッとした感じになっていて日本でい
うピザパンみたいな感じだった。日本のピザの方がうまいと思うのだが・・・。そのあとしばら
く夜行を待って、22:50にヴェネツィア
からローマに向けて出発した。
8日目・イタリア<ローマ・ナポリ>/ヴァチカン・雨
列車を変更したため、ローマTermini駅に着いたのはなんと6:15。まだ外は真っ暗だった。しかも最悪なこと
に外は激しい雨が降っていた。8日目にして初めて恐れていたことになってしまった。とりあえず、明るくなるま
ではしばらく駅の待合室で時間をつぶすことにした。そして8時ころ市内見学に向けて出発。しかしまだ雨は降
り続いていた。まずは地下鉄で移動。オッタッヴィアーノ駅というところで降りて、一番小さな国、ヴァチカン市国
へ行った。そこには、サンピエトロ広場、サンピエトロ寺院が
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