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2005年07月31日
「帰郷」
西島秀俊が好き。そして予告編で泣きそうになった。見に行った理由は多分それだけ。でも、良かった。最近の邦画は何だかいい感じな気がするんだよね。ハリウッドが得意とする映画はハリウッドが撮ればいいし、日本は日本で撮れる映画を撮ればいい。そこにただある、普通の日常の一場面、そんな感じの映画を見るとほっとする。
東京で働く男が、母親の再婚を唐突に葉書で知らされ、結婚式に故郷へ戻る。そこで初恋の女性と偶然に再会するが、彼女の言動から、彼はその子供が自分の子ではないかと思い始める。そして、彼女は昔と同じように唐突に彼の前から姿を消した。子供を置いて……。
この話って、西島くん扮する主人公の成長物語なわけだけど、当然の如く私は女なので、彼に感情移入することはできない。同じように故郷を離れ、淡々とありふれた日常を過ごし、時々ふと過去をふりかえったり、忘れてしまったり、そしてもうそんなに若くない。そういった部分においては、30歳をとうに過ぎ同じような環境にいる人間として、ものすごく共感できるし、切ない。でも、未練とも単純(!)ともとれる彼の行動については、さすがにちょっと理解できない。いや、どこにでもいる男性だとは思う。そしてそこからの成長がテーマなわけだから。私としては、主人公を振り回しているとしか思えない初恋の女の行動もどうかと思うけど、確かにああいったタイプの男性を前にするとそうなるかもなあ、というか。そんな忘れてしまいそうな昔のことを、「あれは何だったの?」「どうしてなの?」「ねえねえ」と子供みたいに聞かれても確かに困るわな。もうお互い、いい大人なんだし。
だから、これは割とリアルな話だと思うし、見ているこちらとしては何となく照れくさくて、少し俯きたくなるよな、そしてちょっとほろ苦い気分になる。恥ずかしい、というのもあるかもね。
今回の西島くんて、割と子供っぽくて真っ直ぐで、一歩間違うとダメな男性役なんだけど、すごく自然に演じていて、実は素なんじゃないかと思ってしまうほどだった。やはりいい役者だよね。主役でも脇役でも、存在感があって。もちろん主役ではない時は、主役をくってしまうよなことは絶対なく。今年はまだまだこれから西島くんの出る映画目白押しだから、非常に楽しみ。
この作品、どちらかといえば地味だと思うけど、30代男女に見てもらいたいな。多分、10代・20代前半でこれを見ても、感じるものは少なかったと思う。そういう作品、最近増えたような気がするんだけどね……(遠い目)
投稿者 kaori : 2005年07月31日 13:08
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