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2004年03月29日
「殺人の追憶」
えーと、ネタばれです(笑)
最終上映が終わって劇場を出た後、階段をおりる私の背後からあるカップルの話が耳に入ってきた。
「いやー、何かすっきりしないよな。判ってたんだけど……。判ってて観ちゃうんだよなあ」
……同感ですとも(笑)
韓国で実際に起きた未解決の連続殺人事件。
だから、最後に謎が解けてすっきりするなんてことはもちろんのことありえない。最後まで謎は謎のまま。むしろ、その事件を捜査した2人の刑事の物語。捜査の過程での2人の心の揺れや変化が描かれている。結末はわかっているから、途中微妙に間延びに似た感覚が襲ってきたりもしたけれど、全般的にはさすがに面白かった。
登場したふたりの刑事にはそれぞれに自分の信念みたいなものがあり、だから捜査にもそれがきっちり現れている。何度かそれが裏切られても、まだ彼らの自信は揺らがない。ところが、これが最後の砦と思った容疑者が犯人ではないと判明した時の表情。それがものすごく印象的だった。人の目を見れば全てわかるといっていた刑事、書類は嘘をつかないといっていた刑事、そのふたりともが自信と理性を失ってしまう瞬間。
そして、本当に刑事を辞めてしまった彼の十数年後の表情が。何ともいえないやりきれないラストシーンに、これが狙いでしょう?と思いつつすっきりしない気持ちになってしまった。
犯人は犯行現場に舞い戻る。彼の中では一生事件は終わらないのだろうと。
まんまと刑事の感情と同調してしまった。やられた。
フィクションとノンフィクションが微妙に入り混じった物語。踊る大捜査線の○倍(何倍かは忘れた)も面白いというキャッチがついたポスターを見たけれど、やっぱりそれとは方向が違うでしょう? あれはあれ、これはこれの良さがあると思うよ。確かに人物の心の動きとかそういうものでいうならば、殺人の追憶はよく出来ているとは思うけど。
そういえば、前出のカップル。彼の方が「彼が目撃者だってこと、すごく注意深く見ていたつもりだったのに判らなかった」と言っていたね。でも、私から言わせれば丸判りだったっと思うのだけれど……。
投稿者 kaori : 2004年03月29日 01:31
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