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» 「ハードボイルド」と「本格」 date : 2008/12/12
先々日に書いた「本格」の定義の続き。

ハードボイルドと本格

先のくくりで述べたように、自分はエラリー・クイーンを極北とするガチガチの
パズルタイプに理想を置く本格推理小説の愛好者だが、だからといって
他の分野を排外しているわけではない。本格推理の愛好者だからといって
唯一そのフォーマットしか認めないような人間は、むしろ少数派だと思うのだが。
かくいう自分はダシール・ハメットの「マルタの鷹」、ブレット・ハリティの「死の配分」を
児童期にジュブナイルで読み、長じてはハヤカワなどで
チャンドラーの「さらば愛しき女よ」「長いお別れ」等のハードボイルドにも多少は目を
通した口である。
そういう経験を持った上で言わせてもらえば、ハードボイルドは「肌にあわない」。

ハードボイルドはハードボイルドなりに、”探偵の捜査”という手続きと
”意外な真相”という二つに拘っているとし、「本格推理」の正統な後継であると分類
する人もいるが、パズラー派の自分から言わせてもらえば、到底同列には扱えない。
「だって肌にあわねえんだから、しょうがないじゃん」という結論。
決して”面白くない”というわけではない。最近再読した「マルタの鷹」なんか
非常に面白かったし、チャンドラーもそれなりに楽しめたと思う。
しかし、「次の作品を読みたい」「新しい作家を知りたい」というような情熱を
沸かしてくれるほど、熱を上げることはとうとう無かった。

これは単純に好みの問題なので、別にハードボイルドが悪いと言ってる訳ではない
のだが。
但し、現代の「本格推理」的要素と、「ハードボイルド」が背反する要素だとは
思っていない。度肝を抜くような謎解きと、ハードボイルド的要素が絡み合った
名作が生まれる余地は十分にあると思っているし、そういう小説が出てきたら
諸手を挙げて歓迎したい。要は、そういったハードボイルド小説に出会っていない
だけで、むしろ、パズラーを愛好する自分達に、ハードボイルド側から凄い回答を
提示してくれれば嬉しいと思っている。
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  posted at 2008/12/12 2:53:25
lastupdate at 2008/12/12 2:54:24
»category : 日記修正

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