» 「悪魔はすぐそこに」読了 | date : 2008/09/25 | |
ひっさびさの書評。去年買って放置していた推理小説、D.M.ディヴァインの 「悪魔はすぐそこに」を読了。 以下あらすじ ハードゲート大学に勤める数学教官のハクストンは、出世の道を断たれ、 学内の主流派から白眼視されつつも自分の地位に断固居座る覚悟でいた。 主流派の教授達は彼を追い落とそうと画策し、ある不行跡を根拠に彼を査問に かけるが、その席上、ハクストンは、「過去の大学の醜聞をばらす」と脅迫めいた 言葉を吐き、憤然と退場する。 ハクストンの友人で父親の代からの付き合いがある数学講師ピーターは、 嫌々ながらも彼の嫌疑を晴らすべく助力を請われていたが、その矢先、 ハクストンは自宅でガス中毒を起こし変死体となって発見された。 十数年前に起きたスキャンダルの因果か、これを発端に大学は騒動に 巻き込まれていく・・・・・ というストーリー。 D.M.ディヴァンはミスディレクションの名手で、さりげない文章の中にも 多くの事件の手がかりと、レッドへリングを散りばめる事の出来る技巧派なのだが、 この作品の場合、あまりにもテクニックが鮮やか過ぎて、 喉ごしが爽やかになり過ぎたあまり、印象を留めないまますんなり肝の文章を 読み過ごして、レッドへリングに引っかかる以前に軽く流してしまうケースが多かった。 これによって、真実が明らかになったときのショックがいまいちで、「あっそ」的な 感覚にしかならなかったのが残念。 巻末で解説担当ののりりん(法月綸太郎)が、「再読すると凄さが分かる」と 言っているとおり、注意深く読むと、ものの見事に細部にわたって丁寧な仕掛けが 施されている事がよく理解できるのだが、一読の時はそこに騙される暇もなく 通り過ぎてしまうので、作品の持つ凄みが非常につかみ辛い。 むしろ、最初っから、絶対犯人を当てる気で注意深く読んだ方が 面白いかも知れない。 |
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posted at 2008/09/25 1:49:39
lastupdate at 2008/09/26 18:32:14 »category : 書評 【修正】 |
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