» 「密室殺人ゲーム王手飛車取り」読了 | date : 2008/09/27 | |
ここのところ、本を読む機会が増えているので、書評を連発。 まずは歌野晶午の、「密室殺人ゲーム王手飛車取り」読了。 これも昨年買って放置状態だったのを一気に読みきった。 深夜集まる五人のチャット仲間。彼らは覆面をしてカメラ付きのライブチャットの前に 集まり、お互いに推理クイズを出し合って、謎を解きあうミステリマニア達である。 但し、彼ら五人が興じる推理クイズは、出題者達が現実世界で、実際に犯してきた 殺人の数々なのであった・・・・・! というストーリー。 ええー、歌野昌午は久しぶりに読んだ。「長い家の殺人」以来。ってデビュー作だろ。 いやあ、見破っちゃったねえ。久々に完璧に。 というか、それほど難しい問題でもなかったので、真相見破った人は多かったと 思うが。 まあこの作品自体、個々の細かい推理ゲームの集まりみたいなもんなので、 それを全部解き明かせた訳ではないのだが。 最後の殺人の真相は、ほぼ見破れた。クイズが出された瞬間に、「やっぱりそうきた」 という感じで。 作者は、トリックのための殺人、という舞台を設定したくてこのような書き方に したかったのだろうが、これは確かに一つのアイディアである。 「動機や必然性まで含めて推理小説のパッケージである」とか、 「トリックは、それを解くこと自体が重要なのではなく、何故それを実行しなければ ならなかったのか、が重要である」 という、推理小説の重い金言も、上記設定においては全く無意味なのだから。 なんせ殺すこと自体が目的な訳だし、尚且つ、ゲームとして出題されるからには、 トリックやフェイクをちゃんと仕掛けなければならない。 メタミステリとして、通常の小説の枠を超えた作品ならともかく、推理小説の 枠内に収めつつ、動機や必然性をここまで極自然に無力化した設定は、 なかなか巧妙かつ斬新だと言える。 まあその結果出てくる謎解きが、面白ければ言う事はないのだが、残念ながら あまり自分好みのトリックはなかった。 結末のエピローグみたいなもんも、あまり好きな展開ではなかったし。 自分が当事者だったら、馬鹿馬鹿しくなってスタコラ退席していると思う。 |
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posted at 2008/09/27 23:08:57
lastupdate at 2008/09/28 3:02:40 »category : 書評 【修正】 |
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