» 「大日本帝国の民主主義」読了 | date : 2007/03/14 | |
坂野潤治&田原総一郎の対談「大日本帝国の民主主義」読了。 田原総一郎は、「朝まで生テレビ」や「サンデープロジェクト」では、簡単には答えの 出ない問題に無理やりYESかNOかを迫って論者を困らせるしょうがないおじさんという イメージしかないのだが、実はインタビューや対談本は面白い。 それは無理くり論者にはっきりとした回答を迫るテレビと違って、聞き役に徹して いるからだと思う。 「連合赤軍とアルカイダ」も面白かった。連合赤軍に参加していた人や、イスラム教 のアラブの人とかにインタビューしていた内容は、まったく生の声で、目から鱗の事も 多かった。 この「大日本帝国の民主主義」も、田原総一郎はひたすら聞き役、質問役で、 それに坂野潤治氏が訥々と答えていく、というもの。 戦前からも天皇は象徴でしかない、というよりも天皇は鎌倉時代以降一貫して 象徴でしかなかった、という論議は非常に興味深かった。 思うに、近代国家では、やはり世論が大きくものを言うのだなあ、と実感。 時として世論は、国家の実力を超えた無茶な要求を政府や議会に突きつける。 民意を以って政権を維持している以上、政治家は国民に表立って逆らうことは できないわけである。 明治大正、戦前昭和の内閣が、世論を抑えきれなくなって 総辞職や解散総選挙に追い込まれるという内容を、たびたび史書や 人物事典で目にしていたのだが、戦前の政府が、民意の反映されない 専制政治であったなら、そういった事態は起きるはずがない、 とかねてより思っていた。 この本によって、その確信が深まった感はある。 東条英機のお孫さんに、坂野氏が見せてもらった当時の国民からの手紙。 戦争回避に努力してた政府に対して、「ばかやろう」「腰抜け」と罵倒し、 戦争を煽る内容の封書やはがきが山ほど送られてきていたそうだ。 民意を反映したからって、それが正しいとも限らんし、かといって全く無視しちゃ 単なる専制だし、さじ加減が難しいところではある。 |
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posted at 2007/03/14 2:24:18
lastupdate at 2007/03/14 2:30:57 »category : 書評 【修正】 |
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