» 「エンド・ハウス殺人事件」読了 | date : 2009/05/09 | |
久々にクリスティを読む。クリスティは作品数多すぎて結構読んでいないモノが 多いのだが、この作品も今まで未読。 ちなみに新潮文庫版は邦題のお尻に「殺人事件」が付いているのだが、原題では 「エンド・ハウスの災厄」とかその程度の意味らしい。 ハヤカワ版では「邪悪の家」、創元では「エンド・ハウスの怪事件」と邦題バラバラ。 以下あらすじ たまたま列車で同乗した女性、ニック・バックリーが、何者かに狙撃された事を 確認したエルキュール・ポアロとヘイスティングスは、女性に対して押しかけ護衛を 持ちかけ、その周辺を警戒することになる。 不審な周辺人物が多く、誰が彼女を狙ったのかはっきりしない状況下で、ポアロは 最善の手段を尽くすのだが、奸智に長けた犯人は陰謀の末・・・ といった展開。 流石に黄金期の名作だけあって正等派で、端正かつ意外な結末が用意されている。 肝になるトリックに関しては、自分、読んでる最中から、 「あれ? あれ? あれー?」と気になってたところで、解決篇でそれが明らかに なったときは、「やっぱりそうか」と納得した次第。 それゆえオチでの驚きはいまいち少なかったのだが、この時期の推理小説は 色々実験的でありながら物語としてもよく纏まっている。 新潮版はこの作品としては1988年発行と他版に比べて一番訳が新しく、現代語調 の翻訳術で文章が読みやすい。ポアロとヘイスティングスの言動や振る舞いも いわゆる後世のイメージと寸分違わぬ典型的な造形。 いつも難渋な読解を強いられるハヤカワ、創元の二大古訳(笑)とは一線を画す 出来上がりで、スラスラと最後まで読了できた。 まあハヤカワとか創元の訳も時代がかって味があると言やあ、あるんだが、 ”「おお、ポアロさん、その通りです。まったく」”とかいう訳文を読まされると、 翻訳の技巧として、古式蒼然とし過ぎだろ、と思ってしまう。 |
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posted at 2012/04/20 2:17:00
lastupdate at 2012/04/20 2:17:00 »category : 書評 【修正】 |
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