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» 新訳発売開始 date : 2010/04/13
ついに創元文庫で、S.S.ヴァン・ダインの新訳が始まる。

まずは「僧正殺人事件」からだ。まだ未読だが、早速購入した。

本国では冷遇一途のヴァン・ダインだが、イギリスやフランスにて優遇されているか
と言えばそういうわけでもなく、今更新訳が出る国というなら、せいぜい日本くらい
しかあるめえ。

クローズドサークルの館物、童謡殺人、薀蓄垂れるうっとおしい探偵(笑)など、
様々なフォーマットを作り、数多くフォロワーを生んだ開祖であるのに、ここまで
顧みられない存在というのも珍しい。

まあ原因はフォーマット作りこそ見事だったが、小説そのものは弱点が多かった
という点もあるのだが、
それよりも、ヴァン・ダインが小説中で行った中二病的な知識のひけらかしが、
後に高二くらいに文化が進んだアメリカ人の羞恥心を煽ってしまったという側面も
あったと思う。
発売直後はアメリカ人ども絶賛したくせに、後代になって、「なんて恥ずかしい
小説をプッシュしてしまったのだろう」と我に返ってしまったわけである(笑)。

まあ異国の自分らからしたら、そんなヴァン・ダインのお茶目ぶりも笑って許し、
純粋に推理小説家としての大きな足跡を、正当に評価していきたいもんだ。

彼の小説中で、「中国の絵画や彫像は素晴らしいものがあるけれど、
日本のそれは低俗で、装飾に毛が生えただけの存在に過ぎない。」
と切って捨てられた我が国であるが、そんな日本が今や、ヴァン・ダイン作品を
最も庇護する国であるというのが何とも皮肉。

ともあれ、ヴァン・ダインの新訳が発売される国であるという事は、本格派推理小説
の牙城として、日本という国を大いに誇るべきではないかと思っている。
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  posted at 2010/04/13 22:36:43
lastupdate at 2010/04/14 0:52:46
»category : 書評修正

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