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» 「ダメな論議」読了。 date : 2010/03/15
飯田泰之氏関連の著作書評2発目。「ダメな議論」読了。

経済学者の飯田泰之氏が、経済論議の中で散見される非論理的展開を抽出し、
「こういう議論にしてはいけない」と自説を展開する解説本。主に取り上げられる
詭弁のテクニックとしては、”コールドリーディング”という占い師やカウンセラーが
よく使用する手法で、相手の言葉に誘導された上、最終的に賛意を示させられて
しまうという議論のやり口に騙されないよう、読者達に警鐘を鳴らす。

しかし、逆に考えると、”コールドリーディング”をマスターすればかなりの人を
説得できてしまうわけで。実際に人を説得するときに、コールディリーディングを
応用できるような実力があれば、その人は相当優秀な人だと言えるんじゃないか。
「”コールドリーディング”とはこういうものです。危険だから引っかからないように
しましょう。」と言われて、それを見抜く力は比較的容易に養えると思うが、
それ自体がどういうものか理解していても、それを武器として使用するのはかなり
技術の要る仕事だと感じた。占い師のテクニックには舌を巻いてしまうわけで。

本書の後半には、著者が具体的に体験したと思われる経済論戦を取り上げ、
「ダメだこりゃ」という実例を挙げて、どこがいけないのか、という解説が入る。
氏の論敵というと幾人か顔が浮かぶが、まあ一言で言えば、
「飯田さん、苦労してんなぁ」と苦笑させられるような内容。

お互いの知識ベースでコンセンサスが取れた上で、議論をしているのなら実りも
あろうかというものだが、結論ありきの相手と角突き合わせて、不毛な主張と論難
を繰り返すことにどれだけの意味があるんだろうかという、著者の徒労感みたいな
ものが感じられてちょっと気の毒である。 
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  posted at 2010/03/15 1:47:33
lastupdate at 2010/03/15 1:52:06
»category : 書評修正

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