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» 「天使のナイフ」読了 date : 2009/06/21
薬丸岳著「天使のナイフ」読了。

以下あらすじ

桧山貴志は喫茶店を営む三十男。四歳になる娘、愛美と二人、平穏に暮らす毎日
だったが、妻の祥子は四年前、生後五ヶ月の愛美の目の前で何者かに惨殺され、
既にこの世の人ではなかった。
犯人は判明したが、罰せられることはなかった。なぜなら、犯人は13歳の少年
三人組であり、少年法に守られた彼らが、罪に問われることはなかったのである。
やりきれなさを抱えながらも、愛美の育児と喫茶店の経営に奮闘する貴志であったが、
そんな時、当時の事件を担当した刑事が彼の元を訪れ、沢村和也が惨殺された事
を告げる。それは、少年Bと呼ばれた、愛妻祥子の殺害犯の一人だった。
アリバイを欠き、警察から濃厚な疑いをかけられながらも、此度の事件と過去の
事件の真相を暴くため、桧山貴志は独自に調査を始めるのだった・・・。


2005年の江戸川乱歩賞受賞作だったそうで。
うーん、プロットが錯綜しているというか、ひねりすぎというか、本格スピリットが
あんまりいい方向に発露してないというか。
正統派の推理小説として、読者をアッと驚かそうという娯楽性と、少年犯罪の
あるべき解決法、また、犯罪被害者の怒りのやりどころといった重い社会派テーマの
三重奏が、物語の筋道を混乱させ、いい結末に導けていないような気がする。

単なる社会派に留まる事なく、本格推理として読者を驚かそうというケレン味は
大いに認めるけれど、その結果お話がどうしても御都合主義じみてくるというか、
「そんなにややこしい偶然あるかいな」的感想になってしまうというか。

ある程度どちらかを割り切ってもう少しシンプルな構造にした方が良かったのでは
ないか。同じように犯罪被害者と犯罪更正者の物語としては、「13階段」があった
けれど、あれくらいのバランスがちょうど良かったような気がする。
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  posted at 2009/06/21 22:24:33
lastupdate at 2009/06/21 22:27:17
»category : 書評修正

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