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2005年06月16日

「愛の神 エロス」

平日の夜とはいえ、人、少なすぎ。私を入れて4名。途中でひとり帰ったから最終的には3名。どういうこっちゃ。

エロスをテーマにしたオムニバス。3人の監督による3つの作品なのですが。ひと口に「エロス」と言ったって、描くものは三人三様。ああ、と納得するものもあれば、私には今ひとつ理解できないものもあり。ウォン・カーウァイ監督の作品が目当てで見に行ったのだけど、やはり何というか残りの二人の監督(と言っては失礼なのかもしれないが)のエロスは、いまひとつぴんとこなかった。自分はやはりアジアの人間なんだと、ここまで実感したことがこれまであっただろうか。(いや、ない:笑)

仕立て屋見習の青年が、高級娼婦の担当になるところから話は始まる。青年は次第に腕をあげていくが、娼婦の側は次第に落ちぶれていく。しかし、青年はどこまでも彼女に服を仕立て続け……。

青年と娼婦は結ばれるわけでは決してない。何らかの関係が生じるとすれば、常に彼女からの一方的な行動によるもの。しかし、それも最初と最後では彼女の気持ちも全く違ったものになっている。彼女は青年をどう思っていたのか。かたや青年が抱く彼女への気持ちは恋なのか愛なのか、それともただの憧れなのか、はたまた感謝の念なのか、どこまでも曖昧で不確かだ。触れそうで触れない、重なるようで重ならない、何ともその微妙な関係にぐっときてしまう。例えばベッドシーンなんてなくても声や言葉や手、風景だけで何かが伝わる感じ。ウォン・カーウァイ監督のこれまでの作品で言えば、「花様年華」のような雰囲気。青春恋愛映画(「恋する惑星」とかさ)もいいけど、そろそろこういうしっとりとした作品をもっと見たいですねえ。

それにしても、やはりコン・リーは女王の風格。映画館に実際に彼女が撮影で着ていたドレスが飾ってあったのだけれど、あんなほっそいウェストの服よう着れますね(笑)

まずトップがこの作品だったのだけれど、これが終わった時点でひとり出ていった。今思えば私も出て行けば良かった。それくらい残りの作品がこう……。あまりにストレートなもの(多分その中に色々と表現したいものがあるのはわかるんだけど)に、今いちエロスを感じられないもの(これも、どこが、というのは頭ではわかるのだけれど乗り切れない)が続いて、最後には「うーん」。まあさ、土地柄ってものがあるから、西洋で香港みたいな作品撮っても、相当あかんとは思うのだけれどね。やっぱね、内に秘めた何か、というものが見え隠れする程度のものが好きなんだな。(だから、インファナル・アフェアのハリウッドリメイクは、全く別物になるだろうなー、という予感)

そんなわけで、全体を通すと評価に悩みます。ウォン・カーウァイ監督のは好き。でも、これは趣味の問題になっちゃうのかな、やはり。

投稿者 kaori : 2005年06月16日 23:51

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