2004年11月06日
「ターンレフト ターンライト」
言い寄ってくる女性を避ける為に、部屋の門を出るとすぐに右に曲がる癖のある男性と、翻訳しているホラー小説のせいでどうしてもお化けに見えてしまう物体を避ける為に、部屋の門を出るとすぐに左に曲がる癖のある女性。お隣同士に住んでいるにもかかわらず、お互いにすれ違い続ける運命の男女のお話。原作は、絵本だそうで。
一昔前の恋愛ドラマでは、お互いに連絡をとることができなくてすれ違って会えないというのが、アクシデントの定番だった。けれど携帯電話がこれほど普及した今、すれ違いでドラマを成立させるのは微妙にリアリティがなくて難しくなったように思う。もちろん、携帯電話がずっと留守電でとかそういうのはあるだろうけれどね。
この物語のふたりは、都合2度電話番号を交換しているのだがいずれも(1回目は彼女が、2回目はお互いが)番号そのものが判らなくなってしまっている。正直なところ、今どきならば自宅ではなくお互いの携帯電話をメモリーに記録させるはずだ。ところがさすがに大人の絵本だけあって、普通醒めて眺めてしまいそうな設定を可愛らしく演出し微笑ましくなってきてしまう。話が進み、歯車が狂いだし、恋のライバルというかお邪魔虫も登場し物語はひっかきまわされていくのだが、そのライバル達がまたいい味で……。もちろん、ヒロインのジジ・リョンはめちゃめちゃ素敵だ。金城武は、日本語を喋っていない時の方が魅力的。つまり今回は悪くなかった。(『恋する惑星』の時にはさ、あのぼそぼそと日本語を喋る姿が素敵だったんだけどなぁ) 何ていうのか情けない役の方がはまってる気がするのだ>金城武
会えそうで会えずにこのままダメになってしまうのかとハラハラさせ続けるけれど、もちろん物語はハッピーエンド。そこへの持ち込み方がまた相当強引なんだけど、でもこれは御伽噺だから許せてしまう。そして、物語中で頻繁に引用されるヴィスワヴァ・シンボルスカの「恋」という詩も、あまりにもベタ過ぎて居心地が悪くなってしまいそうなのだけれど、でもね。やっぱり心のどこかで憧れがあるんだろうな。ほんの少しだけ共感してしまったことは秘密です(笑)
投稿者 kaori : 2004年11月06日 13:19
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