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2004年04月19日
「六本木クロッシング」&「クサマトリックス」
結局、私は何かを批評したりする言葉を持たないから、映画を観たり、美術展に行ったりしても、素直に感想文しか書けない。しかも、ぜーんぜん作品の意図するものを読み取れたりもしないし、それが何故優れているのかも全くわかりはしない。はたから見たら、何でくるのさ状態である。作品を見ながらしきりにメモをとっている人達を横目にふらりふらりと会場を歩くだけ。
今回もそう。「六本木クロッシング」のように、あれだけたくさんの人がジャンルの違う作品を山のように展示していれば、もちろん面白いものもあるし興味のないものもある。けれど、みていてただ純粋に楽しい。興味のあるものに立ち止まって好きなだけ眺めて過ごす時間って、何て贅沢なんでしょう。
私が美術館に足を運ぶのは、何て言うのかなあ、時間が止まった感じ……いや、違うな、ひんやりとした感覚が好きなのだと思う。心の中にあるどんよりしたものなんかが静かにリセットされていくような気がするから。同じような理由で図書館も好き。もっとも、なかなか実行に移せないのだけど。
結局作品も静かな印象のものが好みなのだな。「六本木クロッシング」なら、福井篤の《midnight trail》が良かった。四角く区切られた部屋の中で、ずっとそこにいたかったくらい。もしかすると、意図するところは全く違ったのだと思うけど(揺らぎとかぜんぜん念頭にないし:笑)、でも白い壁に囲まれた部屋の中で随分と長くそれらの絵を眺めていたと思う。
いい感じで気分が安らかになったところで、次に向かった「クサマトリックス」は強烈だった……。順序逆の方が精神衛生上良かったかもしれない。何しろ原色水玉だらけの世界や、壁や天井に無数の人形の絵がぶら下がるその光景は、もうどうしようもなく強迫観念的で観ているだけで疲労してきてしまった(汗) 唯一心穏やかになれたのは「水上の蛍」という作品内でのみ。ガラスばりの真っ暗な部屋の中を、天井から釣り下がった無数の小さな電球がどこまでもその闇を照らしていた。本当にものすごく綺麗だったのですよ。静かにずっとそこにとどまっていたかったのだけれど、ダメだった……。ここは観光地内の美術館。見るからに観光客の集団おばさま方が、そりゃあもう大きな声でわいわい喋りながら背後を通り過ぎていって一気に幻滅。せっかくいい雰囲気だったのにだいなしー。何より残念だった。
あまりに残念だったので、ポストカードを購入してまいりました。部屋でせいぜい眺めて和むことにいたします(笑)
なかなかに充実した週末。しかし、美術館以外の目的で六本木ヒルズに来ることはまずないだろうと思ったのでした。
投稿者 kaori : 2004年04月19日 23:59
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