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2003年07月16日
おっさん
出雲空港から帰路につく。読書に没頭しようとしていた私の背後で何やら言い争う声がする。集中力を削がれて背後に意識が向いたところで、「矛盾があると思わないか」との言葉が耳に入ってきた。
どうやら機内で電源を入れたまま携帯電話をいじっている男性に、「協力をお願いします」と客室乗務員の女性が訴えているところだった。
女性は、「安全のしおりにも書かれておりますので」と説得する。男性は、「この記述には矛盾がある。アナウンスもないではないか」と言い放つ。さらに続けて、「解釈にも色々あるでしょ? お客はこう理解するんだよ! 不愉快だ」と。
私は元々口が悪い方である。もう少しで「おっさん、あんたの方が不愉快なんだよ。子供じゃないんだから、いい歳してアナウンスされなきゃ判んないわけ? 屁理屈言ってんじゃないよ。くだらない」と吐き捨てるところだった。かろうじて押しとどまったのは、理不尽な言いがかりにそれでも丁寧に対応しようとしていた客室乗務員の方が一番困ってしまうだろうという理由からだった。
携帯電話の電源を切るのがそんなに嫌なのか。女子高生じゃあるまいし寸暇を惜しんでメールを打つわけでもなかろう。それとも出会い系サイトにメールを送っていたとでも言うのか。
座席の前に置かれている「安全のしおり」には、2種類の方法で機内における電子機器の使用制限について説明がなされている。ひとつは、絵柄で「離陸」「着陸」「水平飛行」時には携帯電話の電源を切るようにという内容。もうひとつは、文章で「機内では携帯電話の電源をお切りください」という内容。その男性は、この2つにおける微妙な違いを逆手にとって難癖をつけていたのだ。
こんな矛盾は許せない。自分は、まだ離陸していないから問題ないと理解しているのだ。きちんとアナウンスしてくれたら従うが、それもないくせに、と。
呆れてしまった。確かに離陸していない状態では、何の影響もないかもしれない。けれど、そんなことを言い争うのもばかばかしいし、飛行機嫌いの人間にとっての感情や(危険の可能性は徹底的に排除したい)、まわりでそんな言い争いを聞いている他の乗客の気持ちを考ろ、と言いたい。あんたの方がよっぽど不愉快さ。
その後も、おっさんは客室乗務員に「あんたとはもう話したくない」(携帯電話を機内預かりにしようとした乗務員に対して)とか飲み物のサービスを無視したりと、訳のわからない傍若無人ぶりを発揮して、機上の1時間強を過ごしていた。
おかげで、私はめちゃめちゃ不機嫌。疲れも手伝って、いやーな気分で羽田に降り立ったのだった。
投稿者 kaori : 2003年07月16日 23:44
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