» 「誰がケインズを殺したか」読了 | date : 2008/02/25 | |
W・カール・ビブン著「誰がケインズを殺したか」読了。 重版がなく購入できなかったので、ヤフオクでハードカバー版を購入。 いやあ、今まで読んだ経済学関連の本で、一番面白かったかもしんない。 アマゾンの読者書評では、直訳で読み辛い、との意見もあるが、個人的には 全然そんなことはなかった。 古典派経済学を倒したケインズ革命、それを越えるべく復権した新古典派 (マネタリズム)と、その後やってきたサプライサイド経済学。 現代においても非常に影響を及ぼしている経済学派と経済政策の時系列的な流れが、 非常によく分かる良書だと思った。 特に、これだけ経済学の専門的内容に触れておきながら、出てくる数式は MV=PQというマネーサプライに関する1個だけ。それも大してしつこくない。 数式を見るとつい身構えてしまう数学が苦手な自分にとっては、これは非常に ありがたかった。 本書は、今まで読んできた近代経済学の知識を体系だてて理解するのに 大変役に立ったが、その他、新しい知識もいくつか仕入れる事ができた。 代表的なものが、「国家の財政赤字は何故望ましくないのか?」という命題について。 その答えが、財政の不足を市場からの借金(国債など)で補おうとすると、 金利が上昇して民間の借り手を圧迫し、経済成長に良くない影響を与えるから、 というもの。ただし、影響の大小については各経済学派によって意見が分かれている みたいである。これはなるほど、と思った。 逆に言えば、 「国の赤字が増えると国が破産して倒産しちゃうぅぅぅぅぅぅ!!」みたいなアホな レベルの議論とは全く違う問題があるという事だ。 この本にも書かれているけど、 「景気後退期における赤字は適切だとの考えは、今では幅広く受け入れられている。」 「景気後退期に歳入の減少を埋め合わせようと増税を行うのは愚かなことだという事 は、今では常識化している。」 というとおり、経済学者の学派を問わず上記二点は大きなコンセンサスになっている のだが、それさえ持ち合わせていない経済評論家や政治家が多いのには 本当に驚かされる。 |
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posted at 2008/02/25 1:58:37
lastupdate at 2008/02/25 2:06:17 »category : 書評 【修正】 |
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