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» 「fの魔弾」読了 date : 2008/02/21
柄刀一著「fの魔弾」読了。
病院行ったとき待合の退屈しのぎに売店で買って読んだ。

以下あらすじ。

浜坂憲也は、内側から鍵をかけられ、密室状態にあったマンションの一室で、
2人の銃殺死体とともに睡眠薬による昏睡状態で発見された。
手元には、その二人を殺害したと思しき拳銃が転がっており、昏睡状態は
殺人疑惑の言い訳にはならなかった。
浜坂憲也の殺人罪が確定しかけ、死刑の求刑もあるかという絶体絶命の裁判。
憲也の親友南美希風は、彼の無罪を信じて調査に奔走するが、彼の身にもまた、
大きな危険が迫っていた・・・・。


柄刀一は初めて読んだが、まあ読了して思ったのが、
いわゆる”新本格作家”だなあ、と。
キャラの造形が下手くそで薄っぺらいし、ストーリーテリングもあまり面白くない。
魅力的な謎と合理的な解法さえあれば、あとはそれを物語化するための
記号でしかない、と言わんばかりの典型的”新本格作家”である。
だが、そんな作家は自分は嫌いではない。
本格推理を読みたいときは、何と言っても魅力的な謎と合理的な解法に
耽溺したいというのが一番の欲求なのだから、それを過不足無く満たしてくれれば
その小説に別段不満はないのである。

ちなみに、その核となるこの小説のトリックはなかなか面白い。
密室を成立させるための巧妙な仕掛けが二重三重に張り巡らされており、
「主要なトリックは出尽くした」と言われる昨今にあってもまだまだアイディアの
生きる余地は大きいと、実感させてくれる。

ただ、トリックは見抜けなかったけど犯人は見破っちゃった。
綾辻の十角館もそうだったけど、文章に対する鍛錬が甘いと、描写を追ってけば
犯人分かっちゃう時あるよなあ。
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  posted at 2008/02/21 20:01:15
lastupdate at 2008/02/21 20:01:15
»category : 書評修正

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