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» 「螺鈿迷宮」読了 date : 2008/01/05
これまたKEN家来氏より借り受けた海堂尊著「螺鈿迷宮」を読了。

以下あらすじ
余命いくばくもない末期患者ばかりを集め、終末医療を専門とする碧翠院桜宮病院。
その存在は、桜宮市において、高度治療を主体とする東城大学病院と対をなすように
貴重な存在ではあったのだが。
その医療内容には不審な点がつきまとい、悪い噂が絶えなかった。
東城大学医学部の留年生、天馬大吉は、幼馴染で医療ジャーナリストの葉子から
依頼を受けてボランティアとして潜入し、桜宮病院の情報収集を行うのだが・・・・。

といった感じ。
ズルズルとしたストーリー展開のしつこさはサービス精神の行きすぎとも言うべき代物、
普通スラスラと読める海堂さんの小説にしては、ちょっと難渋で読みづらさを感じた。

とはいえそこが逆に大作感に繋がっており、簡単には割り切れない大きな問題の
提示など、なかなか重厚な作りに仕上がっていると思われ。
「ナイチンゲール」「ジェネラル・ルージュ」よりも、「世に医療問題を問う」という点では
こちらの方がより深刻の度合いを増している。

「ジェネラル・ルージュ」の感想の時、「こっちを二作目にした方が良かった」と
書いたが、「螺鈿迷宮」の方が、真に二作目に相応しかったかもしれない。

しかし、「螺鈿迷宮」、「ジェネラル・ルージュ」の二作を読んで思った事だが、
法律や制度を遵守すればするほど、患者のためにならないという現行医療の
大きな矛盾。
法律等がいかに恣意的なもので、社会的正義と乖離しているか、痛感させられる。

善悪には法律を以ってせず、一個の人間として判断基準を持っているべきものだと
改めて思い直した。自分の中に規範を作るというのは、難しい事ではあるが。
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  posted at 2008/01/05 22:43:04
lastupdate at 2008/01/06 0:57:04
»category : 書評修正

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