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» 「東大生が書いたやさしい経済の教科書」読了 date : 2007/09/30
東大生が書いたやさしい経済の教科書」読了。

相変わらず最近経済の話に興味があるので、買って読んでみた。
内容はケインズ経済学に則ったIS−LM曲線の話。
懇切丁寧に書かれているのでだいたい理解できた。
スティグリッツ先生が詳しい情報の非対称性とか、クルーグマン先生が
「恐慌の罠」で解説していた、流動性の罠などにもさらりと触れている。

あと、「国家間は激しい経済戦争を行っており、これを勝ち抜くためには政府が
産業の保護と育成を行わなければならない」などという主張が
いかにオタンコナスか、よく分かる解説もある。
(国家間の経済競争に敗れてその国の経済が没落するのであれば、
勝った国とて大切な買い手を失ってしまう事になり、共倒れじゃねーか、という奴。
基本的に自由貿易は双方の国に利益しかもたらさない。)

古典派経済学がお尻の方でちょろっと出てきたが、ここらへんは、旧来の
古典派の原理原則しか書かれておらず、ページも少なくて不満。
古典派にも色々あって、新古典派と、それとは別に「新しい古典派」と呼ばれる
グループが出現してるらしいので。

カバーの最後には、これを編集した東大経済学部の連中が載ってるのだが、
彼らが頑張って優秀な経済学者や官僚になったとしても、多分日銀総裁に
なるのは難しいんだろうな。

なんとなれば、全29代日銀総裁のうち、経済畑の学校を卒業したのはたった6人。
それに比べて、法学系は15人である。

戦後に限れば、総裁12人中、なんと9人が東大法卒。東大経済学部出身は
第20代の山際正道だけという有様。

これはなぜかと尋ねたら、経済学部より法学部の方が偏差値が高くて
エリート度が上、しかも学閥がしっかり日銀内で出来上がっているから
そうなってしまう、という話を聞いた事がある。

いくら秀才とはいえ、経済畑でない人間がこの国の経済計画のトップに
立ち続けているというこの事実。

戦前の軍隊が、出世と人員配置を適正に関係なく、士官学校の卒業年次で
割り振っていたこととダブって見える。驚くべき硬直性。

まあこれが日本の伝統かと思うと暗くなる。
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  posted at 2007/09/30 1:55:09
lastupdate at 2007/09/30 2:29:28
»category : 書評修正

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