» 「神様ゲーム」読了 | date : 2006/06/04 | |
麻耶雄嵩著「神様ゲーム」読了。 当代の人気ミステリ作家が腕を振るったジュブナイル「ミステリーランド」 シリーズ中の一作。 正直、麻耶雄嵩は嫌い。ミステリの約束事を破ろうとして、かえって自分が自分に 律した約束事にがんじがらめになっているような気がするので。 尚且つ、それで突き抜けた面白さが表現できているのならいいのだが、 別にそうでもなかったり。 しかし本作は「このミステリーが凄い!2005」で、本格推理の枠内で 推薦されていたので購入してみた。 あらすじ 小学校4年生の芳雄の周囲で、連続で猫の虐待殺害事件が起こる。 その真相を知っていると告げる転校生は、自らを「神」と名乗った。 芳雄は、同じ町内同士で結成した少年探偵団で事件を調査していたが、 それとは別に、猫殺害の犯人に「天誅」を下す事を、「神」である転校生に 依頼する。 芳雄に対しては退屈凌ぎの恩があると言い、「神」はそれを快諾する。 その直後、少年探偵団の秘密基地で、死体が発見されるのだが。 麻耶雄嵩にしては、割とまじめな謎解き小説。衝撃のラストも、 ちゃんと伏線が張ってあるようだ。 (これはネットで書評をめぐった時に確認したんだけど。「あ、なるほど」と。) 他の人の指摘を読むまで気がつかなかった自分がこう言うのもおこがましいけど、 本格推理小説らしく、ちゃんと伏線が張ってあることが分かったので、 設定こそ多少突飛だが自分的には許容範囲である。 ジュブナイルとしてはとんでもない強烈な真相に、 子供に読ませる事をためらう論調もあるが、子供ってぇのはそんなにヤワではない。 小学生くらいにもなれば、物語の中から有益なことをちゃんと吸収できる脳みそが 育っている。 中身が強烈だとしても、それを滋養にできる力があると思う。 エラリー・クイーンの「Yの悲劇」、ヴァン・ダインの「グリーン家殺人事件」、 ウイリアム・アイリッシュの「黒衣の花嫁」、ここらあたりも十分強烈な物語だと 思うが、自分達の子供の頃からこれらのジュブナイルは平気で流通していたし、 自分も夢中になって読みふけったものだ。 上記の物語を子供の頃読んだ結果、それらが自分に何がしかの影響を 与えたとは思うが、決してマイナスではなかった。 個人的には、「神様ゲーム」の物語自体は「まあまあ」といった評価だが、 逆にジュブナイルとしては、「世の中には、こういう世界、こういう物語もある」と 知って欲しいがために、主人公と同じ程度の小学校4,5年生くらいには 是非読んで欲しい小説だと思う。 |
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posted at 2006/06/04 11:09:03
lastupdate at 2006/06/04 19:44:00 »category : 書評 【修正】 |
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