» 「プラットホームに吠える」読了 | date : 2007/01/05 | |
霞流一著「プラットホームに吠える」読了。 以下あらすじ。 引退した名刑事ヒタロー爺を祖父に、現役の捜査一課刑事を父に持つ アキラは、バリバリの犯罪捜査畑である二人と違い、警視庁出版室に勤務する 内部広報誌の編集者。その誌面に連載記事を持つヒタロー爺と二人、 記事ネタを集めるために神社の狛犬のことを調べていたところ、 非常に変わった狛犬が存在するとの情報を得ることができた。その狛犬を 知っていると思われる女性の放送作家を訪ねてみたところ、 その女性は何と殺害された後だった。 ヒタロー爺、父の晴彦、アキラの親子三代が協力して事件の謎に挑むが 捜査は難航。そこで過去も幾度か事件を解決したことのある美貌の鍼灸師 キラリが、謎を解くべく颯爽と登場してくるのであった。 序盤まで、親子三代の警察官が協力しあって謎に挑むところまでは、まあ 面白い。しかし、探偵の造形という点で、キラリというキャラクターはどうも うっとおしい。 普通、探偵と言えば非常にエキセントリックな天才型か、地道に犯人を 追い詰めていく努力型か、超然とした大人の風格を持つ人間か、 まあそんなところだと思うのだが、このキラリという探偵は単なるそこらに いるヒステリックで高飛車な姐ちゃんで、推理力の裏づけとなるバックボーンや 雰囲気を全く持っていない。 加えてこの姐ちゃんが出てきた瞬間、晴彦父は捜査情報の伝達役に、 ヒタロー爺は姐ちゃんの推理が間違っていた場合の指摘役、そんでアキラは 尻に敷かれる役に堕してしまうので、あとはもう読んでいても ヒステリック姐ちゃんの推理ご高説にお付き合いするだけの小説になってしまう。 加えて真相のトリック、ロジック、動機付け全てが強引で、「ああそうか」と 納得する解が全くはじき出されない。 「んなアホな・・・・。」という感想しか湧き上がってこない。 あくまで自分の個人的見解ではあるが、正直「これはないだろう」という 展開だった。 また、作中色々な料理が出てきてそれを登場人物が美味そうに食うのだが、 美味いという事をわからせようと様々なボキャブラリーを使って味や食感を表現 してはいるものの、センスがないのかさっぱり美味しそうに感じられない。 ここらへん、レックス・スタウトの「料理長が多すぎる」やら、映像ではあるが 刑事コロンボの「美食の報酬」あたりと格段に差がありすぎる。 正直、「このミス2007」見て買った作品の中で、今のところ一番のハズレ。 「びっくり館」よりも自分の好みにはあわない。 霞流一は初めて読んだが、これが普通なら到底好きにはなれないな。 |
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posted at 2007/01/05 3:30:31
lastupdate at 2007/01/05 3:33:45 »category : 書評 【修正】 |
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