» 「スペイン岬の謎」再読 | date : 2006/09/05 | |
エラリー・クイーン著「「スペイン岬の謎」再読。 以前購入して読了していた推理小説再読。 内容忘れていれば十分楽しめるかとも思ったが、意外とストーリーもトリックも 読んでいくうちに思い出して、当たり前だが新鮮味はなかった。 以下あらすじ。 ジゴロの男が、招かれた上流階級の屋敷で殺害された。 屋敷は海岸に面しており、男は、その家のプライベートビーチで椅子に座った状態で 首を絞められていた。 不可解なのは、死体が、シルクハット、ステッキにマントといった装身具を 身につけていたにも関わらず、そのほかの衣類はまったくなし、 素っ裸で殺されていたという事だ。 屋敷からビーチに向かうときは、服を着ていた事が確認されている。 一部の装身具を除いて、何故犯人は服を剥ぎ取る必要があったのか。 そして、屋敷に招かれていた他の客人や、家の主人達の中に、 果たして犯人が存在するのか、といったストーリー。 ほぼ、国名シリーズの掉尾を飾る作品ながら、相変わらず謎の提示と その合理的な解決方法を編み出す手腕に於いては、エラリー・クイーンは 稀代の名手である。 ただ、流石にシリーズ終盤となると、意外な犯人を創造することに疲労が 溜まってきたのか、ややルーティンワーク気味で、ありがちな犯人造形になってきた。 とは言え、相変わらずアクロバティックなレッドへリングも健在ではある。 「スペイン岬」は「チャイナオレンジ」と並んで、国名シリーズでは評価の分かれる (好き嫌いのはっきり分かれる)作品であるけれど、自分は十分読み応えのある、 精緻に仕掛けられた面白い推理小説だと思う。 しかし・・・・、井上勇氏の訳文は相変わらず古い。 雰囲気があっていいという意見もあるかと思うが、作者の仕掛けを台無しに している作品も散見されるので、創元は新訳した方がいいと思うのだが。 早川版はどうだったけな。 |
||
Trackback URL -->
クリップボードへコピーする場合は こちらをクリック(Win+IEのみ) |
||
posted at 2006/09/05 22:59:49
lastupdate at 2006/09/06 2:48:35 »category : 書評 【修正】 |
:: trackback :: |