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» 「八つ墓村」再読 date : 2009/07/17
仮面ライダーディケイドのコンプリートフォームが田治見要蔵に似ていたから、
という訳でもないが(笑)、横溝正史の「八つ墓村」を久しぶりに再読。

以下あらすじ

5歳の時に母を亡くし、若くして養父と喧嘩をした挙句、家を飛び出たまま太平洋戦争を
迎えた寺田辰弥。
出征から日本に帰ってきた後、養父が死亡している事を確認した辰弥は、天涯孤独
の身となりながらも友人宅に居候し、化粧品のセールスマンとして生計を立てる
平凡な毎日を送っていた。

そこへ、諏訪という弁護士が現れ、辰弥が「八つ墓村」という岡山県の山中にある
郷村の出身で、実は村の大庄屋の落胤である、という事実を告げるのであった。

突然、今まで全く分からなかった自分のルーツが判明して動揺する辰弥。
その前にはさらに母方の祖父であるという丑松老人が現れ、辰弥の出生の秘密を
詳細に語ろうとする。しかしその時、丑松は何者かに毒殺され、辰弥の目の前で
絶命するのだった!

丑松を殺害した毒薬が、彼の持病の薬に混ぜてあった事が判明し、薬の調合元
である八つ墓村に事件の舞台は移る。また、辰弥も自分の本当の実家である
”田治見家”に後継者として望まれて、ついに八つ墓村の地を踏むのであった。

尼子氏の落武者伝説が未だにまことしやかに語られ、因習が深く根付く山間の寒村
で、陰惨な事件の幕が開く事になる・・・・。



本当に久しぶりに読んだのだが、物語の面白さといったらそりゃもう半端ない。
悲しい星のもとに生まれた寺田辰弥が、生まれ故郷の八つ墓村に呼び戻され、
信じられないような数々の事件を体験し、最終的に彼の身にどのような境遇が
訪れるのか。
終盤で一気に緊張感の高まる怒涛の展開と、その修羅場を潜り抜けようと必死に
もがく辰弥の姿は、本書を血沸き肉踊る冒険譚として読んだとしても、本朝屈指の
面白さであることを自分が保証する。

加えて作者本来のフィールドである推理小説の部分もきっちり描かれており、
全く抜かりは無い。真っ向勝負の本格推理小説である。

犯人の断定過程にやや危ういところがあるとはいえ、しっかしとしたフーダニッドが
構成されており、犯人宛ての楽しみも疎かにはされていない。

流石に名作だけあって何度も映像化されているのだが、少なくとも映画版では
この物語を完全に再現したものは皆無。
TV版では複数回に渡って放送する事も出来るので、あるいは完全に近い形も
あるかも知れないが、とにかくこの物語に関しては事件解決の謎解き以外では
金田一耕助は全くの役立たずなので(笑)、金田一に目立つ人間を配役すると
その時点で原作の面白さが崩壊する(笑)。

一度、完全版の映像化を見てみたいもんである。
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  posted at 2009/07/17 4:06:36
lastupdate at 2009/07/17 4:09:09
»category : 書評修正

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