廃線跡 有馬鉄道(兵庫県) <2>



有馬の町を背に


明け方に雨の音を聞いた様な気がするけど 起きたら雨は降っていなかった。
とっとと朝食を採って先日の続きの有馬鉄道廃線跡を辿る準備をする。

この前は有馬まで後少しのところで引き返した。

koharuと二人でこの前引き返した通行止めの看板のところまで行き 一気に突っ込んで行くと 住宅が何軒かあるその先で高いブリキの壁に行く手を遮られた。
ブリキの壁の隙間からのぞくと 向こうは山を切り開き むき出した赤土の中にダンプが点在している大規模な工事現場だった。
これでは通れる筈もなく やむなくその場を後にする。

もう一本有馬側にある道路を有馬鉄道は突っ切っていることになるので その場所に行くことにする。
奥に入る道路はそれほど多くはないので その道路はすぐに見つかだろうと 有馬に向けて少し車を進める。

左の山側に入る道路はやはり少なく それと思える道路をすぐに見つける。
橋を渡り奥へ奥へ・・・・曲がりくねった狭い道を入って行くと道は途切れていた。
これは有馬鉄道との交差地点を通り過ぎたことになる。
来た道を戻る。目標は十八丁川と並ぶ地点。
少し戻ると左下に川を見つける。十八丁川だ・・・ゆっくりその辺りを見回しながら進むと こんもり茂った小山に石積みらしきものを見つける。


一対の橋脚


少し車で近づいてみるとその左手に橋脚がぬっくと立っていた。
「あったぁ!! あれやわ!」二人一緒に叫んでいた。
道路が広くなったところにバックさせ 車を置いて 歩いて行くことにする。

橋脚 川の三田側に残る橋脚は土手から築き上げられているので高くはない。
こんもりと見えた方の橋脚だ。

有馬側に残る橋脚は川底からぬっくと建つ。


残された石積みの橋脚二つは 旅館群が立ち並ぶ有馬の町を背負っていた。まさしく有馬を指して鉄道が走っていたのだ。
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川は流れを変えていたのだろうか 本流は別の方向から流れて来ているようだ。



橋脚のある位置から三田側に向かって道路を挟んだ地点から道が残っていた。

その山道は笹と静寂に包まれて続いていた。
少し奥へと歩いて行ってみるが突然の雹と寒さに慌てて車に戻る羽目になる。
もしお天気が良くても koharuと二人では奥まで入って行く勇気はなかっただろう。




橋脚のある川の反対側(有馬側)に道を確認できない。藪の中へと消えてしまっているようだ。
有馬まではすぐの地点なので余り期待はできないけど 後は有馬駅側から辿ってみることにする。

有馬駅は病院が建っている。


その地点から三田方向へはほとんど道を見つけられなかった。
二人顔を見合わせて「ここでおしまいだね。」
koharuと二人で辿った有馬鉄道の廃線跡は こんなに近くに廃線跡があった驚きと 数多くの痕跡と巡り会えた喜びが 滅び行くものへの哀惜の念を呼び起こしてくれた様だ。

有馬鉄道は戦争に消えた。その事実は哀惜とは別の深いわだかまりとなって心の底に残るのかも知れない。



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