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2003年07月16日

沢木耕太郎 「テロルの決算」

昨日の本と同じく、借りたまま持ち歩いていたにも関わらず読んでいなかった文庫本を、出雲駅から空港へ向かうバスの中でようやく手にとった。昨日の嫌悪感から抜け切れず、結局あれから最相葉月の本は開いていない。

結論から言うと、「テロルの決算」[amazon]の方が圧倒的に面白かった。出雲空港、羽田空港、浜松町、読むのを中断される機会は何度もあったが、その勢いを止められることは遂になく、練馬駅に到着する頃には、1冊を全て読み終えていた。

それは若き右翼活動家の人生に惹きつけられたということも当然ある。そして、60歳を超えた左翼政治家の昏さが理解できる年齢になっていたというも。題材や視点には、どこか感傷的な印象が漂うのは確かだけれど、感情の押し付けは見られない。ただ淡々とそれぞれの人生と当時の社会が描かれているという印象。そして、これが著者20代に書かれたものだということに、少なからぬ衝撃を受けた。

私は右でも左でもない。どちらかと言うと、権力を持つ人間の最終形は誰も同じだという、漠然とした思いがある。恥ずかしい話なのかもしれないが、私はこの年齢になるまで一度たりとも選挙に出向いたことがない。
不景気と言われる現在でも、私自身の感覚として不景気を実感することは、ない。もしも、私が政治に興味を持つ何かがあるとしたら、おそらく経済の不安定を感じた時だろう。(勿論、今だって経済の危機は声高に叫ばれているし、事実そうなのかもしれないが)

いつかその時がやってくるかもしれない。しれないが、その時まではおそらくは政治的無関心の海に漂い続けるのだろう。今はまだそう思っている。願わくば、永遠にそうであって欲しいとも。

投稿者 kaori : 2003年07月16日 23:39

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コメント

うむ、名著ですな。

投稿者 ysk : 2003年07月26日 23:56

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