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» 「聖女の救済」読了。 date : 2008/11/09
東野圭吾著「聖女の救済」読了。

あまり東野圭吾は読まないのだが、2年近く前に読んだ「容疑者X」が面白かったので、
湯川ものの新作長編推理という事で、本書を読んでみることにした。
「容疑者X」は最近映画でも観たので、雰囲気的にもタイムリーである。

以下あらすじ
子供が出来ないことを理由に、妻に別れを切り出した真柴義孝は、飲んだコーヒー
の中に毒を盛られて、自宅で絶命した。
捜査線上には、当然動機のある妻の綾音が浮かんできたのだが、
夫が東京の自宅で毒殺された時、綾音は遠く郷里の北海道で、旧友と温泉旅行に
出かけていたのだった。
警察は、彼女の鉄壁のアリバイに手も出せない上、美貌の容疑者の魅力に
草薙刑事が惹かれ始めてしまう。
コンビを組む女刑事の内海は、草薙が冷静さを失っていると判断し、湯川教授に
捜査の助力を仰ぐのだが・・・・。


TVオリジナルの内海刑事が、原作にレギュラー入りである。東野圭吾は上手だね。
メディアミックスが。

さて前作の「容疑者X」はミステリ作家や評論家で議論の的になるほど、賛否両論
分かれた作品だった。
この批判には二通りあって、まず一つ目が、手がかりが不十分でフェアさに欠け、
本格ミステリの体をなしていない、という批判であり、もう一つが、トリックの難度が
低く、「このミス」で1位を取るほどの出来ではない、という内容のものだった。

挙句には前者の批判の声の方が大きくなって、「容疑者X」は本格か否か、までの
論争に発展してしまうのだが。
トリックが簡単だ、と批判していた人達も、「いや、さすがにあれは本格だろう」と
擁護し始めたので、「容疑者X」は概ね「本格推理」と分類してよい、との業界的、
ファン的コンセンサスはとりあえず得られた事になっている。

しかしこの当時の論争は、多分に東野氏本人にも影響を与えたのではなかろうか。
今回の作品を読むに付け、作者がかなり慎重に手がかりやヒントを作中に
散りばめて、フェアさに重きを置いているように感じるからだ。
また、トリックの方も「容疑者X」のようなシンプルなものと違い、屋上屋を架すような
アクロバティックなものが使われている。


「容疑者X」の映画を観にいった層には、はっきり言って福山雅治目当てに
行って来たようなおおよそミステリと関係の薄い女性ファンも相当多かったと
思われるのだが、ネット上でそういった人種の映画評、感想を見ると、映画の結末、
トリックを見て、「驚いた」とか、「見破れなかった」とか、言及してる人がかなり多い。

これは、彼女たちにミステリ読み込みの経験が浅く、すれっからしのミステリマニア
みたいに小煩い事を考えないから、ああいう結末が新鮮だったのだとは思うが、
「容疑者X」のトリックがシンプルかつ美しく、それ故、ミステリに関心のない人達に、
強くアピールする出来になっているのだろうとも考えている。

それに比べれば、本作は、かなりすれっからしのマニア対策に重きをおいた
ミステリになっていると思われる。複雑で、作者の苦心ぶりが目に浮かぶようだ。
が、それゆえか、オチのインパクトが、「容疑者X」に比べていささか弱くなっていると
感じざるを得ない。

うーん、ミステリマニアはこっちの方を評価するのかなあ。
自分は「容疑者X」の方を支持したいが。マニアのいう事聞くと、ろくなことになった
試しがないからなあ。

しかし東野圭吾は、だめんず・うぉ〜か〜を書かせると天下一品に巧いね。
まあ、だめんず・うぉ〜か〜などと美化しているが、
本当に駄目なのは、だめんずに引っかかる女性自身だと常々思っているのだが(笑。
不幸に自分から当たりに行って、喜んでるとしか思えない。
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  posted at 2008/11/09 9:01:55
lastupdate at 2008/11/09 9:23:02
»category : 日記修正

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