» ペットボトルのお茶 | date : 2007/09/19 | |
最近、JTから発売されている辻利というお茶を飲んでみた。味は普通。 「辻利」というのは京都の老舗のお茶屋さんとの事だが、こういう老舗の お茶屋さんを活用する流れは、サントリーの「伊右衛門」から始まっていると 思われる。 ○に大きな字で”伊”と書いたデザインをそのままパクったように、 アサヒから”麦”とでっかく書いた「麦本舗」という麦茶が発売されていたが、 これも津之国屋という江戸時代からの麦問屋に由来するそうで、 最近のトレンドに沿ったお茶飲料の流れと言えそう。 以前にTXの「ガイアの夜明け」かなんかで、ペットボトルお茶の元祖伊藤園の 「おーいお茶」の生産戦略と、それに対抗するべく老舗と組んだサントリーの 「伊右衛門」の発売前夜をドキュメンタリーで追っていたのだが、 「伊右衛門」をプロデュースした老舗茶屋福寿園の社長が、 「これでコケたら老舗連中からいい笑いものにされる。」 またサントリーも、「一過性の話題を狙うのではなくて、「おーいお茶」に対抗 できるような定番商品に持っていく。」と意気込んでいた事を思い出した。 その意気込みのとおり、今では「伊右衛門」は定番になりつつあると思われ。 しかし、このJTの辻利は大丈夫なのだろうか。サントリーより派手な宣伝は 打ってないし、コンビニやスーパーでの展開も、「おーいお茶」や「伊右衛門」に 遥かに劣る。 「伊右衛門」の参入で老舗茶屋のペットボトル飲料ビジネスはハードルが下がった のかもしれないが、組む相手が決して飲料ビジネスで決してメジャーとは いいかねるJTと組んで、不安にならんのだろうか。他人事ながらちょっと心配。 アサヒの麦本舗については、こちらの津之国屋はアサヒビールモルトという名で 現在は既にアサヒの傘下企業なので、老舗のイメージは使いたい放題、 なおかつ商品の改廃も自由自在である。 で、先に述べたペットボトル茶のドキュメンタリーで、伊藤園の茶匠がそれぞれ 静岡のお茶と鹿児島のお茶の葉を買い付け、その年の茶葉の出来具合で ブレンド比率を決めるという仕事をやっていた。 今のお茶は、渋み主体の静岡茶と、甘みの強い鹿児島茶の茶葉をブレンドするのが 主流で、渋みも甘みもその年の茶葉の出来によって強さが違うので、 それを上手にブレンドする事によって毎年同じ味に仕上げるのが 茶匠の一つの仕事なのだそうだ。 そういえば、茶葉の出来は確かに毎年違うはずなのに、「おーいお茶」といい、 「伊右衛門」といい、毎年同じ味しかしないのも、よく考えてみるとすごいことである。 日本の飲み物はだいたいこういう傾向があって、毎年米の出来も麹の出来も 違うはずなのに、杜氏の力量で毎年同じ味に仕上げる日本酒も、お茶と同じような 感覚なのだろう。こちらもお茶と同様にすごい。 これがワインなら「今年は不作で不味い」とか、「今年の葡萄は出来が最高で 美味しい」とか、「何年物は傑作」とか、「自然相手にしてるんだからしょうがねえだろ」 と言わんばかりの偉そうな態度で、「てーいっ」てなもんである。 それで通用して誰も不思議に思わないのだから、日本の文化とは偉い隔たりが ある。 日本なら、お茶にせよ日本酒にせよ、同一銘柄の味がコロコロ毎年変わってたら 苦情きまくりに違いない。 |
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posted at 2007/09/19 0:18:34
lastupdate at 2007/09/19 0:48:44 »category : 日記 【修正】 |
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