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» 「黄色い部屋の秘密」再読 date : 2006/05/19
推理小説古典中の古典のひとつ、ガストン・ルルー著「黄色い部屋の秘密」読了。

正確には再読。子供の頃、ジュブナイル版で読んだが、今回、創元推理文庫版を
読む。
密室事件の教科書的存在。

第一の事件の謎は抜群にすばらしい出来であるが、それに続いて発生する
以後の事件が描写、トリックともどもチープの極み。
また、事件の解決編において、犯人の名を明らかにするタイミングがへたくそで
劇的効果を損ねている。
思わせぶりな続編への予告描写も、一個の推理小説として完結するには余計、
加えてポーやドイルに対しての過剰な意識と自尊心の表れもうざったい。

まあ、それでも、最初の事件の真相はアイディアとして見事という他はなく、
推理作家が「密室」という現象を考えた時、避けて通れない原点になっている。
だから、逆にそれより下った時代の密室モノを何冊も読んでる人間にとっては、
「なんだこんな程度」と思われるかも知れない。

しかし、あの時代にこんなアイディアをひねり出した事自体は大いに評価して
いいと思うのだ。

ちなみに有名な「オペラ座の怪人」もこの人が書いた。
こっちは完全なスリラーっつーかサスペンスっつーか。
少なくとも推理小説ではない。
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  posted at 2006/05/19 2:28:59
lastupdate at 2006/05/27 5:39:10
»category : 書評修正

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