ロッキーのテーマでお馴染みのMaynard Ferguson (tp)のビッグバンドを出発点に、Stan Kenton (p)、Buddy Rich (ds)、Louis Belson (ds)など様々な名門ビッグバンドを渡り歩き、アレンジャーとしての才能も定評があるテナープレイヤー、Don Menza。ビッグバンド経験者だと、彼のアレンジをやったことがある方も少なからずいるのではないでしょうか。 今回のテーマは、そのMenzaが1965年に、本格的に自己名義の活動を開始した作品、“ Morning song”です。全体的にちょっとオーバーブロウ気味の演奏は、泥臭いとか下世話とかといった印象を与えがちですが、適度なスピード感と、澱みの無い流暢なフレージング、そして何より非常に気持ちよさそうな歌い上げ方が、十分にマイナス面をフォローし、そのブロウを彼の持ち味へと昇華させていっています。音色や、おおらかでスケールの大きいプレイスタイルはSonny Rollinsとも通じるところがあり、Steve Grossmanと並ぶ、数少ないRollins派テナーの名手と言っても良いと思います。 アルバムは全体を通して、4管ビッグコンボならではの重厚感あるサウンド。Menzaのアレンジの妙が十分に堪能できる作りとなっています。Louis Belsonビッグバンドの代表曲でもある@、映画等でお馴染みの古いアメリカ民謡をカッコよくアレンジしたC、哀愁漂うクールなBossaのDなどがオススメテイク。選曲もメリハリがあって、アルバム全体の流れの中にきちんと起承転結があるのが素晴らしい。 レーベルがMPSと言うこともあり、録音のレベルの高さにも注目して頂きたい一枚です。
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