Georges Arvanitas。日本ではそれほど知名度の高い存在ではありませんが、1950年代から活動を続けてきた大ベテランの彼は、フランスJAZZ界の至宝とまで謳われ、各国の一流ミュージシャンがヨーロッパを訪れた際には、共演者の候補として必ず名前が挙がるほどの名ピアニストです。研ぎ澄まされたクリアなサウンドとモダンなセンス。ちょっと演奏に軽さがあり洒落が利いているところが、いかにもフランス人らしいところといえるでしょう。ピアニストにおける「中庸の徳」というものを良く心得た、ヨーロッパのKenny Barron的存在とでも言ったところでしょうか。 今回ご紹介する“Rencontre”というアルバムは、以前ご紹介した“Barry Harris Live at DUG”と同様、90年代に新宿のライブハウスDUGに於いて録音された名ライブ盤。AやG、Kなどの王道スタンダードにに加え、Wayne Shorter(ts)の@やCedar Walton(p)のFなど、ちょっとひねった楽曲が上手く配されていて、全体を通して面白み十分の内容。演奏のレベルも高く、単なるスタンダードを並べただけの「お仕事盤」とは、全く趣が違います。 僕が初めてこの盤を耳にしてからもう5年近くが経ちますが、未だに飽きることなく、コンスタントにプレイヤーにのる、貴重な作品。演奏の中に適度な緊張感と余裕がバランス良く混在しており、聴けば聴くほど味がでる一枚です。
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