1995年 アメリカ映画 120分 日本劇場未公開作品
監督 - アレン・ヒューズ、アルバート・ヒューズ
黒人青年のアンソニー(ラレンズ・テイト)は高校卒業と同時に周囲の反対を押し切って海兵隊に入隊、ベトナム戦争に参戦する。偵察隊の一員として活躍するも、戦争の過酷さで、また上官や仲間の死を目の当たりにしたり、瀕死の仲間に懇願されて止めを刺したことで心に深い傷を負った。しかし過酷な戦争を生き抜いて故郷ブロンクスに戻った彼を待っていたのは厳しい現実だった。ただでさえ黒人差別のひどい時代であった上に、戦争から戻った帰還兵を雇ってくれる職場は少なく、やっと雇ってもらった精肉店も潰れてしまう。高校からの恋人ワニータ(ローズ・ジャクソン)と彼女との間にできた娘を養っていくこともできず、アンソニーの生活は荒れていく。そんな時、旧友のホセ(フレディ・ロドリゲス)たちから現金輸送車襲撃の計画を持ちかけられる…。
ベトナム戦争の帰還兵アンソニーの苦悩と転落の半生を描いた衝撃作。映画はアンソニーたちの高校時代から始まり、ベトナム戦争時代、そして帰還してからの生活と3つのパートで構成され2時間のボリュームで収められているが、とにかく暗く重い作品。またグロテスクな描写が多く、ベトナム戦争のシーンはもちろんのこと、帰還したアンソニーの務める精肉店での肉を切る描写も妙に生々しい。黒人であるがゆえに差別され、命がけで国のために戦ったはずなのに帰還しても称えられることはなく、それどころか生活は好転せず厳しくなる一方で、困窮し犯罪を犯すまでに至った彼らが迎えるそれぞれの結末は、自業自得な部分があるとはいえど一概に責められない。観て楽しむというより、考えさせられる作品である。「ラッシュ・アワー」でブレイクする前のクリス・タッカーのほか、このサイトでも紹介している「スコーピオン」、「ハードキャッシュ」にも出演しているボキーム・ウッドバインがアンソニーの戦友役で、「クラッシュ」、「ハッスル&フロウ」のテレンス・ハワードがチョイ役で登場している。
フレディはアンソニーの親友ホセ役で登場。序盤の高校時代のパートから登場し出番も多いものの、ベトナム戦争後のシーンではすっかりやさぐれ、ヤクでラリっている姿が痛々しく、初々しい高校時代とのギャップがすさまじい。ちなみに高校時代のパートでは遠目ながらお尻を見せるサービスショット(?)がある。
ストーリー | ★★★★☆ : 4 |
グロい | ★★☆☆☆ : 2 |
観た後の後味の悪さ | ★★★★★ : 5 |
総評 | ★★★★☆ : 4 |