プラネット・テラー in グラインドハウス
PLANET TERROR
GRINDHOUSE

DATE

2007年 アメリカ映画 105分
監督/脚本 - ロバート・ロドリゲス

CAST
  • チェリー・ダーリン - ローズ・マッゴーワン
  • エル・レイ - フレディ・ロドリゲス
  • ダコタ - マーリー・シェルトン
  • Dr.ブロック - ジョシュ・ブローリン
  • ヘイグ保安官 - マイケル・ビーン
  • JT - ジェフ・フェイヒー
  • アビー - ナヴィーン・アンドリュース
  • タミー - ステイシー・ファーガソン
  • マルドゥーン - ブルース・ウィリス
STORY

 とあるテキサスの田舎町にある米軍基地にて、科学者アビー(ナヴィーン・アンドリュース)と部隊長マルドゥーン(ブルース・ウィリス)が、密かに危険な生物化学兵器の取引を行っていた。しかしその最中、アビーが取引で提示した量よりも多くの化学兵器を隠し持っていることが発覚する。マルドゥーンにすべて渡すよう追い詰められたアビーは、咄嗟に化学兵器の詰まった装置を銃で撃ち抜く。装置からは化学兵器が噴出するが、マルドゥーンとその部下たちはそこに誘われるように群がり始めた。アビーはその隙に逃げ出すも、化学兵器は大気中に漏れ出し、風に舞って周囲一帯に広がってしまう。
 その頃、ゴーゴーダンサーのチェリー(ローズ・マッゴーワン)は立ち寄ったバーベキュー店で、元恋人のエル・レイ(フレディ・ロドリゲス)と再会する。エル・レイのトラックでドライブに出かけた2人だったが、その途中で凶暴なゾンビに襲われる。それは噴出し蔓延した化学兵器に感染し、「シッコ(感染者)」と化した町の住民たちだった。エル・レイの応戦もむなしく、チェリーは彼らに右脚を食いちぎられてしまう…。

解説

 ヒロインのチェリーが右脚にマシンガンを装着したビジュアルが衝撃的なロバート・ロドリゲス監督によるゾンビ映画。元々はロドリゲス監督とクエンティン・タランティーノ監督が、60〜70年代にアメリカで栄えた、低予算のB級ムービーを2、3本立てで上映していたグラインドハウスと呼ばれる映画館を再現しようと立ち上げた企画で、この作品とタランティーノ監督の「デス・プルーフ」、そして偽のCMや、ニコラス・ケイジなどが出演した偽映画の予告編を交え「GRINDHOUSE」というタイトルで全米公開されたのだが、191分という長編になってしまったからか興収が思わしくなく、海外での公開は両監督作品の全米公開版で時間短縮のために削られたシーンを加えたディレクターズカット版での単独上映となった。(ちなみにこの全米公開版の「GRINDHOUSE」は、アメリカ以外では唯一日本でのみ東京、大阪の二都市・二館で1週間限定公開された)全米公開版にあった偽映画の予告編は単独上映版ではほとんどカットされてしまったが、ロドリゲス監督が製作した「マチェーテ」のみこの作品の冒頭で上映された。
 映画の内容はロドリゲス監督が敬愛したジョン・カーペンター作品やゾンビ映画といったB級ムービーの雰囲気を再現しつつ、監督の持ち味もしっかり出したスタイリッシュなアクションとブラックユーモア満載の快作。傷や飛びといった使い古しのフィルムの状態や、長きに渡る上映による映画館のリール紛失をあえて再現するといった当時のグラインドハウス映画を思わせる演出もされている。肝心な部分はいつの間にか闇に葬られているという雑なストーリー展開もB級映画感満点。登場キャラクターもメインビジュアルになっている片脚マシンガンのヒロイン・チェリー、銃を持つと空気が変わる謎の解体屋エル・レイ、脚に注射針を仕込んだ銃を身に着けた女医ダコタ、ソースの味に場所を問わずこだわるバーベキュー屋JTなどなど、主役から脇役に至るまで皆キャラが立っていて個性的。タランティーノ監督も衝撃的な役柄でゲスト出演している。ゾンビ映画でありつつ笑いどころもしっかり抑えた娯楽大作で、個人的には2007年度最もお勧めしたい映画なのだが、グロい描写がキツめなのが難点。また日本ではタランティーノ監督がフューチャーされ気味で、この作品はやや影が薄かったのも残念である。
 フレディは解体屋を名乗る謎の青年エル・レイ役。右脚を失ったヒロインを助けるヒーローとして、最初から最後まで出ずっぱりで事実上主役といっても過言ではない。今作では本格的なアクションに挑戦しており、華麗なナイフ捌きとガンアクションを披露し新境地を開いている。その姿は常に目に力の入った睨み気味の表情とあいまって最高にクール。手錠・足枷姿でドロップキックをかましたり、返り血を浴びないように思いっきり反り返ったり、気合の入りすぎたガン回しを見せたり、子供用のポケットバイクで疾走するフレディはこの作品以外では今後もお目にかかれないだろう。しかしここまでクールなのにもかかわらず、片脚マシンガンのヒロインにお株を奪われがちで、全米公開の時もあまり大きく扱われなかったのは残念。ちなみにロドリゲス監督とは同姓だが血縁関係はない。

ビデオ・DVD・関連書籍など
MY RATE (個人的5段階評価)
ストーリー(B級映画の再現度も加味して) ★★★★★ : 5
グロ度 ★★★★★ : 5
エル・レイ ★★★★★ : 5
総評 ★★★★★ : 5
感想
…準備中…

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