2006年 アメリカ映画 120分
監督・脚本 - エミリオ・エステヴェス
1968年6月5日、ロサンゼルスのアンバサダー・ホテルは静かな緊張に包まれていた。この日ホテルにはアメリカ大統領候補ロバート・F・ケネディが訪れることになっており、またこの時行われていたカリフォルニアの予備選で彼の勝利が確信されれば、歴史的な祝勝パーティーが行われる予定なのだ。
ホテルの厨房で働くホセ(フレディ・ロドリゲス)は朝出勤すると、厨房マネージャーのティモンズ(クリスチャン・スレーター)によって今日の勤務を勝手にダブルシフトに変えられていることを知り激怒する。ホセは今夜、父親とドジャースの試合を観に行く予定だったのだ。しかもその試合にはエースであるドライスデールの連続完封記録がかかっているだけに、ホセの怒りはおさまらない。そんな彼を同僚のミゲル(ジェイコブ・ヴァルガス)は、自分たちがラテン系だから差別されるのだと言い、そして自分もまたダブルシフトを命じられたと慰める。それでも諦めきれないホセは、ドジャース戦のチケットを持ったまま黙々と仕事を続けるのだが…。
ロバート・F・ケネディが暗殺された歴史的な夜を、22人の豪華キャストがグランドホテル形式で描く人間ドラマ。「ヤングガン」、「マイティ・ダックス」シリーズの主演でお馴染みのエミリオ・エステヴェスが監督・脚本を務め、製作総指揮にはアンソニー・ホプキンスも名を連ねている。新旧多彩で豪華なキャストの顔ぶれに驚かされるが、そのキャストたちのギャラは一律2000ドルだったとか。また舞台であるアンバサダー・ホテルは2005年に解体され今は学校になっているが、この映画はその予定を1週間遅らせてもらい撮影された。タイトルの「ボビー」はロバートの愛称で、当時実際に全米国民がロバート・F・ケネディをこの愛称で親しんでいた。60年代のアメリカを生きた様々な人々を描写しているため、当時を知る上では参考になる部分も多く、またボビーが暗殺される結末が初めから分かっているとはいえ、その結末に向けて登場人物たちがどう動いていくのか、またその結末を迎えた時にどうなるのかと興味をそそられる展開が続く。
フレディは厨房で働くラテン系青年ホセ役。暗殺者以外では唯一実在した人物の役で、厨房パートではほぼ主役、この作品全体で見てもかなり目立っている。フレディはこの作品の出演に初期の段階でサインしており、毎朝セットに行くたびに監督からその日出演を承諾された大物俳優の名前を教えられてとても興奮したのだとか。
ストーリー | ★★★★☆ : 4 |
奇跡の共演 | ★★★★★ : 5 |
LSD | ★★★★☆ : 4 |
総評 | ★★★★☆ : 4 |