ラストインプレッション


156 ラストインプレッション

 9年と7ヶ月、期間は結構長く乗った。距離はまだ10万km行ってないので、それほどでもないけど。
結局このデザインが好きだったので、当分他に乗り換えようと思う車が現れなかった。その前に乗ってた206と、この156は、90年代に欧州が好景気に沸いていた時代の遺産というべきもので、それだけに気鋭かつエレガントなデザインが施されていたと思う。

 乗り心地は自分的にはよかったと思っているのだが、会社の年配の方を乗せた時には、「固め」と言われたことがある。ただし、「スポーティタイプによくある、ほどよい固め」という表現だったが。

 4つドアなので、まあ人も普通に乗っけられた。後部席も長距離ドライブの休息のときにベッド代わりに使ったけど、そんなに狭いという事もなく。この手のセダンとしては、標準的だったのではなかろうか。天井はデザイン優先ゆえか、低かったけど。

 荷物も後部座席に乗っけられるので、それなりに大物でも運べはした。トランク容量もそこそこあり、この部分でも著しく実用性を損なうという事はなかった。

 人や荷物を乗せても重さが気にかかることもない。この手のセダンにしては、異例に軽い1360kgという車中で、2.5リッター、192馬力を6速マニュアルで走らせるのだから、ギアセレクトが適切であれば、十分な加速を得ることが出来、高速で流れに乗るときも、追い越し等を実施するときも、問題なし。

よく、「アルファはエンジン音が官能的」と言われるが、これも十分堪能できたと思う。ある評論家からは、「古くてうるさいだけ」とも言われたが(笑)、自分は非常に好きな音だった。

156でメタリックブルーに乗っている人は少なく、すれ違う回数も少なかったので、これまた希少感に浸れるというのも良かった。

あと、感心したことと言えば、山道を速いペースで走った時など、横にGがかかるとき、センターコンソールにひざ下が面で当たるので、足に踏ん張りが効く。こういうのは、スポーツ系の車を作るときに定番の配慮らしいのだが、前の206ではスポーツタイプのS16であるにも関わらず、こういう配慮はなされていなかった。
ある評論家に言わせると、こういう部分が、過去にどれだけその手の車を作り込んできたか、経験の問われる部分という事で、アルファロメオの歴史を感じさせ、「なるほどなあ」と感心させられたものだった。

 
とまあ、長所はこんなところ。んで、色々ウィークポイントを書いていく(笑)。

 まずはエアコン。効きが悪いわけではないが、理屈どおりの温度で送風がなされるまでに時間がかかる。冬は暖まるまでだいぶ時間がかかる。暖まってしまえばそれなりにキープしてくれるが。夏は結構きつい。フルパワーでかけ続けて、ようやくそれなりの涼しさ。特に炎天下がきつい。日陰に入ると問題なかったが。
 あと、AIがあまり賢くなく、まだまだ車中の温度が希望通りに達していないのに、勝手に判断してさっさと微風にしてしまうケースが多し。
よく「イタリア車のエアコンは全然効かない」と言われるが、決してそんなことは無く。ただし、日本製に比べるとパワーという点では2、3歩引けを取ることは間違いない。

あと、小物入れとかポケットとか、あるにはあるけど、あまり使い勝手はよろしくない。さらにはドリンクホルダーもない。
 

 トラブルは大きいものを列挙すると、
○ レリーズベアリングの磨耗によるクラッチの切り離しができなくなったこと。
○ 部品そのもののロット不良によるタイミングベルトの切れ。(発進直後だったので、バルブクラッシュは免れた・・・・。)
○ ウインカーレバーの接点不良により、ウインカーランプが不意に消える。調子悪いとレバー入れても全然点灯しない。

いずれも5年経過後に登場、まとめて来たわけではなくて、1年に1回くらいのペース。

マイナートラブルでは、「運転席側エアコンダイヤルの不調」とか、「アンプ故障によるオーディオの無音」とか、「センターコンソールの液晶表示機が全く見えなくなる」とか。これらはドライブには影響がないんだけど。

修理代も車検代も国産より高い・・・・。おまけに部品が船便だから、到着するのに2週間とか・・・・。
 
結局輸入車は、ディーラーの延長保障プランに入って5〜6年乗る分には十分価値があると思うのだが、特に欧州車はハイオク指定という事もあり、それ以上乗りこなすのは趣味の領域に近くなってくると思う。

プジョー206は3年4ヶ月でトラブルに手を焼くことはほとんどなかったし、維持費もハイオクのガソリン以外はそれほどでもなかったのだが、あれも10年乗ってたらどうなったかは分からんねえ。まあアルファほどではないような気もするが。

最近はBMWとかが盛んにクリーンディーゼルをラインナップに入れているので、ランニングコストはそういうのを買えばある程度は抑えられるとは思うが。

いい点も悪い点も、非常に勉強になった車だった。デザインは今でも大好きだし。

まあ156には思い入れはたっぷりあるが、3年間の円高時代に全く値下げをしなかった欧州車勢に、腹を立てて日本車を応援したくなったという側面もあるのだよ(笑)。


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