八丈島の生物


庭の野鳥

 昔から「鳥もかよわぬ八丈島」と言われてきましたが、実は鳥は元気にかよっているようです。正確にはこれまでに八丈島で観察された鳥類242種。過去5年間でも135種とのこと。(資料 : 八丈ビジターセンタ)1996年にはナベヅル、今年はコハクチョウの飛来が確認されています。私の家は断崖絶壁に建っているため上昇気流が発生するらしく、ナベヅルの一隊が鳴き交わしながら、螺旋状に旋回して上昇していくのを目撃。ジェット気流に乗って目的地へ去っていったと思われます。

 7月の朝はウミネコのパティー。空一面をうめつくす何百何千のウミネコの群。この時期だけに見られる現象です。繁殖期の集団見合いなのかもと思っているのですが、どうなのでしょう。 ウミネコ

 春になると多くの鳥が庭にやってきて、鳥の声で不眠に悩まされるほどです。まずホトトギスが午前2時頃から大音響で叫びだす。夜が明けるとコジュケイが枕元で集団で鳴き交わして朝礼を始めます。時折キジが鳴き、イソヒヨドリがナワバリを主張し、ヒヨドリ、モズ、アカコッコ、アカハラ、ホオジロ、メジロ、ウグイス、シジュウカラ、マヒワ、キジバト、カラス、サギ、トラツグミ、キセキレイ、ツバメなどなど。どれが渡り鳥でどれが留鳥なのやら…鳥たちは大自然が好きなのかと思ったら、手入れされた庭が好きなようです。花を植えると、さっそくやって来てうれしそうにしています。鳥同志の力関係は身体の大きい順。気性が激しいのはイソヒヨドリ。自分より小さい鳥たちには大威張り。自分より大きい鳥が来るとスゴスゴと去っていきます。
 野生の鳥たちと楽しくやる方法はただひとつ。知らんぷりをすることです。こちらが無視すれば驚くほど近くまでやってきます。知っているけど知らないそぶりで、さりげなく観察してみてください。よく見ると鳥の生活って意外に大変そうです。




イタチ

イタチのイラスト

 数年前、地元新聞の南海タイムス紙は、町議会定例会でイタチ駆除の賛否をめぐって論議が白熱したと伝えています。ネズミの駆除を目的に昭和34年から36年にかけて45組のつがいが放されました。 そのイタチが増え過ぎ島の生態系を変えているとの批判が出ているようです。
 イタチは島のいたるところで見ることができ、人家の庭先にもよく姿を見せます。

イタチのイラスト(後姿) 雌は雄より小さく、体長約20cm。身体は細長く、赤から黒にかけての茶褐色。色の濃さは個体差がかなりあります。ナワバリ主張のためか一段高くなっている所にフンをする習性があり、庭のベンチの上などによくフンをみかけます。夜行性でネズミなどを捕食するとなっていますが、昼間もよく見かけ、フンを観察すると昆虫(主にサツマゴキブリなど)を食べているようです。
島の生態系問題について一言。家の庭では鳩や小鳥はイタチが来ても逃げませんが、ネコが来ると一斉に飛び立っていきます。これは何を意味しているのでしょうか。駆除策を考える前に充分に議論されることを期待します。



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