丹波鬼平を究める

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ナレーション

  中江真司氏。大江戸暗黒街を読み上げるその口跡は、パキパキと乾いた音を立てそうなハードボイルドタッチ。

音楽

 故山下毅雄氏。TV時代劇では、「大岡越前」。特撮では、「ジャイアントロボ」。アニメでは「ルパン三世」第一作。ハイセンスという言葉がふさわしい仕事ぶり。このテーマ曲は先代幸四郎シリーズから引き継がれたモノだが、さらにジャズっぽい音作りを図っている。

長谷川平蔵

  丹波が鬼平か、鬼平が丹波か。と宣伝されたこのシリーズも全26回であえなく終了。これでは適役かどうか評価を下すのも難しいと言わずばなるまい。監督小野田嘉幹、奥方久栄が小畠絹子で新東宝鬼平と呼ぶ識者もいるようだ。
 ともあれ、殺陣は魅せる。とくに#5#12#14の大決闘シーン。珍しく二刀流の#17。或いは民家の軒先ごと蟹江敬三をぶった斬る#21のラスト。歴代鬼平のなかで一、二を争う剣豪といえよう。ちなみにドラ息子の辰蔵はこのシリーズには登場しない。

剣友

 田村高廣の演じる剣客・岸井左馬之助(#2#5#8#11#14)、中谷一郎の演じる乞食坊主・井関録之助(#12)。この二人が顔を会わせなかったのはかえすがえす残念である(笑)。ほかにハナ肇演じる高木軍兵衛(#1#15)が二回も登場するのは注目できる。このユーモラスな橙武者、吉右衛門バージョンではジョニー大倉が演じていた。

盗賊たち

 なんといっても#16「盗賊婚礼」のオールスター揃い踏みは必見。夏純子の悪女がとくに好演。ほかでは#20で、タイトルロール「川越の旦那」を演じる佐野浅夫の洒脱な演技が目を引いた。

 強敵では#5の木村功が演じた金子半四郎(吉右衛門鬼平では近藤正臣)、#12の”凄い奴”天本英世、#14平蔵の兄弟弟子で、今は盗賊の土屋嘉男演じる長沼又兵衛、といったところが充実した殺陣を見せた。

同心与力

 与力佐嶋小泉博。ほとんど活躍しない。木村忠吾古今亭志ん朝)を叱りつける姿だけが印象に残っている。その志ん朝忠吾だが、これは芝居が巧すぎる。悪巧と言っても過言ではないだろう。これだけ遊里に通じて、口先三寸の木村忠吾となると、原作からイメージが離れていくという感じもするが・・・例えば#21で純情なところを見せても、まったく説得力がないのである(笑)。しかしまあ、名調子のセリフといい、とぼけた役作りといい、比較される尾美としのりさんが気の毒になってくるほどの名演技だ。
 ほかの準レギュラーとしては、本郷功次郎酒井祐助藤森達雄の演じる沢田小平次 。キカイダージローこと伴直弥が演じる名無しの同心といったところ。

 ゲスト同心にユニークな顔ぶれ。ちょっと出世主義で危ないところのある山崎同心に柳沢真一。寺田金三郎に大門正明。原田同心に長谷川明男、狐憑きの青木助五郎を演じる寺田農。唖の十蔵に長門裕之。タイトルロールの泣き味噌屋こと河村同心を演じる谷啓など。なかなか原作ファンも納得する顔ぶれが揃っている。
 ほかに、宮内洋が#7で無名の同心役で出演している。

密偵たち


 密偵たちの描写はあくまで影の存在という扱いで、主役として描かれることがほとんど無いと言って良い。ただ、五郎蔵と粂八は密偵となるいきさつが紹介されている(#3,#8)。
 とくに影が薄いのは、彦十のとっつぁん。この老人が脚光を浴びるのは、萬屋錦之介鬼平での植木等の好演からと言って良いだろう。なによりも予算の都合か、複数の密偵たちが顔を揃えることが少ないのである。ただ五鉄で鍋を囲むという情景は良く描写される。予算の関係か、鍋の中身までは良く映さないが・・・
 最終回「密偵たちの宴」だけは、オールスター密偵競演である。

五郎蔵 内田良平 この五郎蔵は綿引勝彦と甲乙付けがたい。いなせなところと苦労人なところが好バランスで配分され、俳優内田良平としてもベストワークのひとつであろう。
おまさ 野際陽子 吉右衛門鬼平では大活躍だが、このシリーズでは#5#15#26と三回しか出てこない。そのためか、リリーフの女密偵が他にふたり出演。
最終回で五郎蔵と夫婦になっている。
おせん 弓恵子 白粉売りなどしているその姿は、どう見てもおまさだが・・・#23,#25に出演。
お滝 松尾嘉代 丹波人脈か?#16のみ出演。このキャラクターもおまさのリリーフのようだ。
相模の彦十 岡田映一 上品なお爺さん。ほとんど活躍しないが、#17では平蔵の過去を語ったりする。
小房の粂八 新克利 凶悪メイクはラストまでそのままだった。蟹江敬三と比べると、凶悪さが引き立つ。
伊三治 久野四郎 変装の名人という設定。演じる久野四郎さんは映画「忘八武士道」「ノストラダムスの大予言」などで、丹波さんと共演している。
岩五郎 植田峻 人呼んで豆岩。泥棒としては遂に芽がでなかった・・・と屈辱のナレーションが入る。演じる植田(うえだ)峻さんは、「人造人間キカイダー」のコメディーリリーフ役で有名。
舟形の宗平 浅野進治郎(?) ちょっと役者名の特定に自信がない。もとは大盗賊初鹿野の音松の配下でこの世界の生き字引。

 

 

資料作成にあたって


 ちゃんとした形で配役表がクレジットに出ず、役者の名前を列挙するだけなので、資料を作るのにまことに苦労した。このあたり、どんな端役にも役名が用意されている東映はさすがだといえよう。また脚本家の趣味か、原作と役名が微妙に違うことが多い。かなり間違いや不正確なところがあろうが、ご容赦願いたい。


 

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