制作 松竹 フジテレビ
剣客商売(1998)

 

第一シーズンはたった十本で終わってしまう。池波正太郎氏がもっとも気に入っていたシリーズ久々の映像化だが、キャスティングは池波ファンに不評。小兵衛が大きすぎる、大治郎が小さすぎる、鬼平メンバーが情実出演しているなど・・・・かなりやかましかったようである(笑)。しかし昨今のTV時代劇では、希にみる凝った美術には脱帽。さすがに京都映画株式会社、松竹の伝統を見る思い。「まゆ墨の金ちゃん」あたりから好評を得はじめたようだが、このシリーズ、吉右衛門鬼平のようなロングランになるかどうか、今から楽しみである。

ストーリーは楽隠居を決め込んだ無外流の剣客秋山小兵衛が、カタブツの息子大治郎とともに様々な事件を解決するというもの。40も年齢の離れた女房おはる、女武芸者で田沼意次の令嬢佐々木三冬といったキャラクターが賑やかなドラマを展開する。原作小説は『読むクスリ』系統、さらりと描かれているので脚本家は腕の見せ所か。

 

 

原作 池波 正太郎

主演 藤田 まこと(秋山小兵衛)、渡部 篤郎(秋山大治郎)

共演:大路 恵美(佐々木三冬)小林 綾子(おはる)

三浦 浩一(四谷の弥七)木村 元(板前の長次)
山内 としお
(傘徳)真田 健一郎(生島次郎太夫) 

佐藤 恵利(おみね)江戸家 まねき猫(およね)江戸家 猫八(老僕嘉助)梶 芽衣子(おもと)

  竜 雷太(牛堀九万之助)平 幹二朗(田沼意次)

 

スタッフクレジット 企画
市川 久夫 能村 庸一 西渕 憲司

プロデューサー 
河合 徹  武田 功 佐生 哲雄           

制作協力
松竹京都映画株式会社

制作 フジテレビ 松竹株式会社

制作主任:高坂光幸
ナレーター:橋爪功
音楽:篠原 敬介

解説:

鐘ケ淵にある小兵衛陋居のセットと大川(隅田川)をわたる舟の描写は、何度見ても感心する。タイトルには協力・近江八幡市商工会議所、八幡堀を守る会とあるのでこのあたりのロケか。
フジテレビHPによると鐘ケ淵セットは嵐山近郊に作ったらしいが、公開すれば新名所間違いなしだろう。

今回の映像化は小兵衛が主人公となっているのが眼目だが、前半のエピソードは大治郎の活躍する回が多いので、まだスーパー爺さんの殺陣全開とまではいかないようだ。73年版と違って佐々木三冬が大活躍するのも、原作ファンには嬉しい材料だろう。また贅を凝らした大江戸グルメ描写にも、期待できそうだ。割烹料理は不二楼の長次(木村元)、家庭料理はおはる(小林綾子)が担当する模様。

おおむね原作通りの脚色だが、何故か序盤の白眉「剣の誓約」を飛ばしてしまった。伊藤三弥の腕を飛ばす場面が問題になったのだろうか?これくらいの描写が問題になるというのでは、TV時代劇の未来は暗いとしか言いようがない。伊藤三弥は大治郎の七人抜きで肩を砕かれたという設定になっている。原作はいちおう編年体なので、飛ばしたエピソードをまた後で映像化できるのか余計な心配をしてしまう。或いは飛ばしたエピソードは、後でスペシャル版もしくは映画(まさかな・・・・)にキープしてあると思えば、これも楽しみであるが・・・・

(98.11.1)

 

原作キャラクター紹介
     秋山小兵衛

 人間凶器揃いの秋山一家でも極めつけのリーサルウエポン。

 辻平内=辻喜摩太=辻平右衛門と引き継がれた無外流。その辻平右衛門門下で嶋岡礼蔵とともに龍虎と謳われた。道場の稽古は実戦的で二百人の門弟が七人しか残らぬ・・・・ほどのものであったらしい。
 江戸で一、二を争う剣術の達人であったが、あるとき豁然として女体を好むようになり、四十も年齢の離れた百姓娘おはるに手を付けてしまった。原作第一巻「まゆ墨の金ちゃん」で、そのおはると祝言。息子大治郎には年下の義母ということになる。
 性格は清濁併せのむという印象が強い。諸大名や大身旗本との付き合いも深く、今をときめく老中田沼意次が強力な後ろ盾。原作小説はその田沼意次が失脚する天明六年(1786)あたりまでの時代を背景に、小兵衛一家の出来事を編年体で綴る。

 大川、荒川、綾瀬川の三川の合流する鐘ケ淵に、三間ほどの小さな家を構えている。大変な食通で食い道楽。料理も手ずからすることが多い。時々腹を壊しているのがご愛嬌。第六巻「金貸し幸右衛門」で千五百余両もの軍資金を得て、いよいよ怖いものなしかと思いきや・・・・・・実はおけら虫に滅法弱い。おはるに泣いて飛びつくほどである(^^;)。
 普段は堀川国弘一尺四寸五分の脇差一つを気軽に帯びているが、強敵を相手にするときなどは藤原国助大刀(もしくは粟田口国綱二尺三寸)を遣う。原作では、九十三才まで生きることになっている。

秋山大治郎

 その小兵衛が先妻お貞との間にもうけた息子。

 十五のとき、山城に隠棲した小兵衛の恩師・辻平右衛門のもとに修行に出た。そこで平右衛門・嶋岡礼蔵の薫陶を受け、さらに何年間か各地で武者修行。
 江戸に戻ってきたのは、安永六年(1777)の二月。大治郎は二十四才、小兵衛は五十九才になっていた。父親と違って堅物ではあるが、意固地なところはなく性格は明るい。ひたすら剣の修行に没頭する。ながらく童貞で読者は心配していたが、第六巻「新妻」で、佐々木三冬とめでたくゴールイン。

おはる

 小兵衛から四十も年齢の離れた女房だが、老齢の夫に甲斐甲斐しく尽くす姿は微笑ましい。
 小兵衛の薫陶もあって、料理も上達。得意技は鯉の洗いとか、鯰のすっぽん煮とか多数(涎・・・)。実家の農家や鰻売りの又六から新鮮な食材が供給されているのが強みだ。

 返事は「あい、あい」語尾には「〜よう」とのんびりした百姓言葉。

佐々木三冬

 田沼意次が愛妾に産ませた娘だが、正室の意向で佐々木家の養女に出された。汚職政治家と評判の実父になじめず、井関道場で男顔負けの荒修行。メキメキと腕を上げ、四天王と称されていた。
 スリの指を折ったり、湯殿への闖入者には目潰しと・・・このひとの人間凶器ぶりも凄まじい。大治郎と所帯を持ってからは、だいぶ女らしい面も見せるようになった。ちなみに料理の師匠はおはるである。

田沼主殿頭意次

 佐々木三冬の実父。三冬とはしっくり行ってなかったが、「御老中毒殺」事件で三冬はこの父親の政治家としての大きさと人間性を知り、次第にうち解けるようになる。この作品では意次は開国貿易を夢見るほどの進歩的政治家として描かれるが、そのため敵も多く、秋山親子がそれをたびたび救うという設定。

四谷の弥七

 信用のおける御用聞き。四谷に道場があったときの小兵衛の門人でもあり、この人も準人間凶器。TVではふぅーっと羽織から抜け出したりしていたが、原作では後ろから小兵衛が放った鉄火箸をさっとよけたりする。女房に武蔵屋という料理屋をやらせている。

傘屋の徳次郎

 弥七に恩義のある下っ引。腕っぷしはさっぱりだが、追跡潜入にその真価を発揮する。

(98.11.3)

    

NO. タイトル 脚本 監督 出演 原作  備考 登場する料理
1 父と子と 古田求 富永卓二 鶴田忍
遠藤憲一
第一巻「女武芸者」 90分スペシャル 根深汁
2 井関道場四天王 古田求 蔵原惟繕 梨本謙次郎 〃同名作品   寒鮒
3 まゆ墨の金ちゃん 野上龍雄   岡屋龍一 伊原剛志    〃同名作品   山芋
4 御老中暗殺 古田求 三村晴彦   渋谷天外
金子研三
〃「御老中毒殺」 ラストは大殺陣 合鴨鍋
お汁粉
5 老虎 井手雅人 小野田嘉幹 北村和夫
本田博太郎
第二巻同名作品    
6 深川十万坪 古田求 井上昭 藤田弓子
伊藤敏八
第三巻同名作品   手長蝦の付け焼
ハゼの甘露煮
7 箱根細工 田村恵 富永卓二 山本学
長森雅人
第四巻同名作品   泥鰌鍋
8 嘘の皮 下飯坂菊馬 小野田嘉幹 石橋蓮司
及森玲子
第三巻同名作品   白玉汁粉
小鮒の甘露煮
9 天魔 野上龍雄 舛田明廣 片桐光洋
島田順司
第四巻同名作品   冷や汁
特製冷や奴
10 兎と熊 古田求 酒井信行 朝岡実嶺
中野英雄
第三巻同名作品    

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