練習方法その4


<落ち着こう(笑)>

タイトルの通りであります。(^^;

これまた、ここ1年ぐらいの間に気がついたことなんですが、コーナーには落ち着いて入らないといけません。

切れのある進入が切れのある立上がりを生む。

これは間違いではないと思いますが、たとえそういう走り方をしたとしても、向きを換える瞬間(アクセルがOFFからONになる瞬間)をできるだけ長く感じられるように、ほんの少し気持ちに余裕を残す必要があると思います。

「瞬時」と感じる動作には、必ず誤差が生まれます。閃きを感じるような研ぎすまされた感覚を持っている乗れている日は、そういう「瞬時」の動作であっても誤差は少ないかもしれません。

しかし人間、常々研ぎすまされているわけではないし、コース1周、あるいはレース全体を通して、ず〜っと研ぎすまされていることなど不可能です。

落ち着いてコーナーに入って行くことができれば、誤差は少なくなり、「あれ? こんなはずじゃなかった」という誤差のせいで限界を超えた転倒は少なくなり、誤差が少なくなれば、より高いレベルでの進入が可能になるはずです。



実は同じことはジャンプの進入にも言えます。(お前が言うなって?) 斜面の始まりが唐突(必ずしも尖っているという意味ではない。斜面そのものはなだらかであっても、平地から突如斜面が始まるジャンプは難しい。普通のジャンプは、そういう難しさがないように、どこから斜面が始まったのか分らないように、ジャンプの始まりがなめらかな曲線でつくってあります)なジャンプや、斜面そのものはイージーでもハイスピードで踏切らないといけないジャンプは、「瞬時」に感じるはずです。

ジャンプの場合、瞬時を長く感じるコツは、速すぎない進入スピードと、斜面が始まる少し手前からのアクセルの開けと、同じく斜面が始まる少し手前からの脚の踏ん張りです。これによって、ジャンプの斜面の始まりが、直線と直線の交点のような難しい状況であっても、まるで交点付近をなだらかな曲線で結んだような挙動になります。



で、コーナーも同じことをしないといけないのです。

ジャンプの進入とコーナー(特にレール)の進入は同じものです。何のアクションもしなくても、進入時の衝撃で勝手にサスペンションが縮み、適当に進入したらどちらもおつりが来てえらいことになります。

コーナーの場合には、ジャンプのように、その始まりがきわめてなだらかに作ってあることはまれです。というか、皆無と言えます。

だからこそ、細心の注意を払ってコーナーに入って行くことがテクニックになるのです。


誰もが陥るパターンは次の2つです。

ただ進入スピード上げて、前輪をレールに強く当ててしまうパターン:
このスタイルでは、通常前輪だけがレールに強く当り、次の瞬間フロントサスペンションが急激に伸びてあおられます。すると、次からはそれを防ぐため、上半身を極端に後傾させて入りたくなります。しかし、それをやればやるほど、実際にはますますフロントの安定感は減少します。

フロントのあおりを嫌って、レールにリアを当てるパターン:
先のパターンよりはましです。しかし、リアといえども強く当ればバイクは起き上がりやすくなり、その後的確なバンク角を維持しにくいばかりではなく、当てたおつりでリアが浮き上がり、開けられなくなります。というか、そもそもレールにリアから当てられるということは、その直前に大きく向きを変えているということになります。フロントタイヤを使って向きを変えているとしたら遅く、リアをスライドさせて向きを変えているとすれば、レールに当ててからが遅くなります。



じゃあどうするか?

落ち着いて入っていって、なめらかな曲線を描いて、スムーズにまずはフロントタイヤを当て、次にリアを当てるのです。いや、当てるという表現すら適切ではありません。レールに前後輪を「沿わせる」のです。いつバイクが寝て、いつフロントが当って、いつリアが当って、いつアクセルを開け始めたのか分らないようなスムーズな進入をするのです。

それをやってはじめて、おつりがこない状態になります。

おつりがこないのなら、その後の姿勢も予測しやすいし、前後輪は安定して1G以上の荷重がかかったままになり、アクセルを開けていくことが可能になります。



で、最初の格言です。

レースを志してコースを走っているライダーなら、あなたはほぼ間違いなく進入スピードが速過ぎます。

え!? 「全然速く走れてないし、IAは、もっととんでもなく速いスピードで進入してるじゃないか!」って?

いやいや、そこに落とし穴があるんです。

IAは進入だけ速くしたらいいのなら、もっとも〜っとはるかに速いスピードで入っていけるはずです。

しかし、けっしてそれをしないのです。

それをやると、その後が遅くなり、トータルで遅くなるからです。


それを肝に命じて練習すれば、いつの日か、「アクセルを開けて回る」ことの意味も分るようになるでしょう。

ただ、この練習は辛いです。

特に常々レースに出てる人には。

落ち着いて入ることの恩恵をはっきりと感じられるようになるまでは、「こんなスピードでは」という不安を拭いきれないからです。

でも、昔はジャンパーで、今はコーナーリングの鬼を目指している私が保証してあげます。

間違いなく恩恵の方が大きいです。

進入スピードの不安も、練習を重ねていくことで、「落ち着いていられる」スピード自体がほんのちょっとづつ上がっていきます。

それを感じられるようになったら、もうあなたのもんです。

直線のトップスピードより、次のコーナーのイメージを持って練習しましょう!



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