練習方法その3


<体について考えよう>

おっとー、いきなりわけわからんタイトルですねえ。(^^;

え〜、このライテクコーナー、初期の頃はよく更新してましたが、ここ数年はさっぱり。
この間、自分が何も得なかったわけではなく、むしろきっとすんごい進歩ぶりだと思います。
きっと何年もの間私の走りを見たことがない方なんかは、今見たらなかなか私だと気付かないかも。

じゃあなんで更新をほとんどしなかったかと言うと、次々と細かい閃きはあるけれど、なかなかそれらがまとまりのあるものにならなかったし、どれも非常に伝え難い閃きで、しかもそれらは、その情報を必要とする段階に達している人にしか伝わらないと思ったからです。

こう書くと、非常に思い上がっているようですが、これは私自身、情報を与えてくれる人が身近にいたのに、自分がそういう情報の価値に気付くのに何年もかかったという事実に基づいて書いております。

しかし、情報は常に必要なら吸収できる状態にあった方がよいし、ここに書くことで、自分自身にとってもよりまとまったものになると思うので、久々に更新してみることにしました。
それに、このコーナーを参考に練習して来られている方も皆無ではないようなので、その方々への責任のようなものも感じますし。



さて、では本論に入りましょう。

この私、ここ10年来、怪我で全く乗れなかった1年間を除き、ほぼすべての休日をMXの練習に費やしてきました。しかも、日数の面だけでなく、1日当たりの走行回数や1回当たりの走行時間も考慮すると、子供の時から始めたライダーに例えると、既にIAになっていてもおかしくない練習量に達していると自負しています。

しかし現実は、私よりもはるかに練習量の少ない、大人になってからはじめたライダーにすら歯が立たなかったりしています。
この状況は何を意味しているのでしょうか?


「ようするにどんくさいんやろ?」


ん、まさしくその通りです!


じゃあ、どんくさいってどういうことなんでしょう?

私スポーツ全般苦手ではありますが、非常に単純なレベルのことまで分解すると、まあ人並みぐらいの身体能力はあると思います。
だけど、具体的に何か意味のある動作をする時に、ほとんどの場合その動作のイメージが根本的に間違っているんだと思います。(頭でっかちになって、理屈先行スタイルになっているから、その理屈が間違ってると、いつまでも間違った方向に進んでしまう)

例えば以前、自分はパワースライドのイメージが間違っていたと書きました。

確かに間違っていました。

しかし、もっと深く掘り下げて考えると、そういう次元の話ではなく、もっと根本的なイメージの間違いに気付いてきました。




具体例を上げましょう。

私は、以前、「IAはどんな状況でも速く走っている。それは、きっと例えばスライドした時に瞬時に適切な量のコントロールが出来るように彼等は極度に訓練されているから、転けないですごい走りができるんだ」と思ってました。だから、自分もそのコントロール(条件反射になっているだろうから、自分もそのレベルに到達するまで訓練)能力を身に着けなければと思っていました。

しかし、自分が左コーナー限定ながら、レール走行をそこそこ身に着けた結果、どうやらそうではないことが分かって来ました。

きっと、IAは、コントロールなんかしてません。
意識的にしてないというだけでなく、訓練によって無意識の条件反射でコントロールしているわけでもありません。

コントロールしなくても、姿勢が乱れたら、その乱れが自動的に修正される「しかけ」を持っているだけです。

そのしかけを、見つけて自分の体に搭載できるかどうかが、上達の分かれ目です。

そのしかけを、無意識のうちに気付いて搭載できるようになるのが、いわゆるセンスのあるライダー(あるいは何をやってもセンスのある人)なんだと思います。

このしかけは、センスなんかなくとも、練習のしかた(ライディングに対する考え方)次第で誰でも搭載できるものです。




速いライダーのフォームを真似るのは良いことだと思います。
が、ただ形を真似るのではなく、なぜそういう形になっているのか、そういう形をとったらその形を保つためにどこの筋肉を使うことになるのか、どこの筋肉でコントロールしていることになるのか(どこの関節と筋肉がしかけを生み出すのか)、どこの筋肉を使うことは無駄なのか、といったことを考えながら練習するとよいでしょう。




速いライダーは、パドックを走っている段階で既にかっこよいです。

それは、かっこいいウェアを着ているから、かっこいいバイクに乗っているから、かっこいい体型をしているから、ではありません。(もちろん、それもありますが)

かっこいいライダーは明らかにバイクにまたがった瞬間からフォームが違います。

最も明確なのは、膝の位置が非常に高いことです。太腿の付け根も高い位置に見えます。つまり、彼等にとっては、少なくとも座っている状態では、脚は体重を支えるためにあるものではなく、腕と同じようにフリーな状態の、バイクコントローラーなのです。

体重を支えることから解放されているのだから、脚は自由に操作でき、基本的に腰に引き付けておく道具なのです。

だから太腿全体が高い位置に見える。

逆に、速そうに見えないライダーの脚は全く引き付けられておらず、「ダラ〜ん」とだらしなく垂れ下がっているように見えます。きっと少なくとも脚の重みはほぼ全てステップにかかっているでしょう。



これは、しかけを搭載するためのフォームに関する一例ですが、いろんなしかけを体の各所に搭載していくことによって、「外乱が来てからライダーがコントロールする」という項目はどんどん少なくなっていき、しまいには、ライダーのやることは、走行ラインをイメージすることとか、レースの組み立てをすることぐらいしかなくなっていくのではないかと思われます。

もちろん、私はまだそんな大それたことが出来るわけではなく、その片鱗が見えはじめたばかりです。

しかし、この閃きには確信を持っています。


このネタは、証明するのに今後何年もかかると思いますけどね。(^^;



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