the great No.4

 Mr. ベストテク kenny matsuo 氏

(NA250cc #06)



(ベストテクの図その1:スズキオートランド生駒 スタート横変則テーブルの踏切り)


 凄いんである。何がって? 全部です、全部。彼の走りを初めて見たのは、NB #43を付けてる時です。第一印象は「凄いフォームやなあ。どっからどう見てもバリバリのベストテクフォームだ。本家本元のマグラや渡辺明先生よりすごいぞ!」でした。最近、悟朗ちゃん(彼の親友、NB #65)から聞いたところによると、先生にまじでそんな感じのことを言われてるらしい。



(ベストテクの図その2:スズキオートランド生駒 スタート横テーブルの手前)


 で、初めて顔を会わしたのは、1年程前の生駒。練習中にコースアウトしてしまった私は、彼と現NA #05 nakayaさんのお二人に助けて頂いた。で、お礼を言いつつ、お話しした第二印象は「凄いいい人だ!」。

 で、私とはマシンの排気量の関係上、いっしょにレースすることはなかったのだけど、彼がNA 250ccクラスの実力者(多分、'99 NB 250cc ランキング2位)であることは知っていたので、今年のレースは注目していた。
 が、どうも冴えない。走りとは関係ないところでのトラブルもあったりしたのだが、普段の走りがレースの結果に出ない。そんなシリーズ前半戦を見て、なんか見てる私の方が欲求不満になりそうであった(といっても、彼の実力から表彰台を期待していたからであって、ポイントは稼いでいる)。



(Fタイヤを極限まで使うの図:スズキオートランド生駒 第1コーナー)
Fタイヤの向きと砂煙りに注目!


 なぜなんだ! そう思っていたシリーズ中盤の生駒(R8)、とうとう本領発揮! スタート3番手から、先行する#01をぶち抜きトップを走行。終盤、NA最速ライダー#02にトップの座を明け渡してしまったものの、その走りは凄かった。

 特に凄かったのは左直角の1コーナーの走り。クリッピングポイントでFタイヤを極限まで使い、その次の瞬間にはRタイヤをパワースライド(もちろん、しっかりトラクションしてる)させて立ち上がるという、ほとんど天才的と言える走りであった。その姿はオンロードの天才、フレディ・スペンサーといったところである。
 私も彼のようなスタイルを身に付けたいと思ってはいるが、凡人にはできそうにないテクニックである。実際、IBでもああいう走りができる人は極少であろう。ほとんどA級チック(ちゅうか、A級でも難しいんじゃないかな)。これはお世辞ではなく、彼を追走していた#02が転倒していたくらいだから、ほんとに凄い走りだったのだ。

 かくして、このレースでそれまでの鬱憤を全て晴らし、2位表彰台獲得!



(一気に向きを変えて立ち上がるの図:スズキオートランド生駒 第1コーナー)
前の写真の位置からほとんど動いていないのに、もうこんなに向きが変わりマシンも立っている。
フォトグラフィレポ 近選R8 生駒にムービーあり。


 さて、彼がこの時乗っていたのは使い古した'98 CR。種々の事情によりニューモデルの購入を躊躇されていたようだが、R12 下市には'01 CRで登場。ニューマシンが手に入ると何でもできそうな気がしてくるらしいmatsuoさん(悟朗ちゃん談)は、序盤に2位まで上がる。先行しているのは#02のみ。
 普通はここで、2位キープの走りになるところだが、彼は違った。まだ飛んだことのなかった巨大なトリプルジャンプをレース中に飛びにかかったのである。危なげなく飛んだように見えたが、飛び過ぎたらしく着地で転倒。普通に考えたら、即救急車。が、彼はすぐに起き上がりレースに復帰。記憶喪失になりながらも再び追い上げ6位入賞。
 もう、言葉が出ません。

 これだけ、凄いライダーでありながら、彼には気取ったところが全くなく、まさに好青年。もはや、彼にすっかり置いていかれてしまった私に対しても敬意を表してくれます。AWSのみなさんとともに、是非国際A級を目指して欲しい、そしてそれがホントに実現できる人だと思います。社会人デビューのモトクロスライダーのみなさん、是非彼を応援しましょう。


追記:彼も結構派手なクラッシュを何度も経験されているようだが、怪我らしい怪我はしたことがないらしい。彼は走りだけでなく、食生活等についても研究されているようである。秘密を尋ねてみてはいかが?