大した事のない特集、第十三弾!!(01.09)
 

徳光発言


 2001年9月9日、大阪近鉄のタフィー・ローズ外野手がパリーグ新記録となる53号本塁打を放った。近鉄の残り試合数は15、シーズンのトータル試合数が違うので単純比較は出来ないけれど、王貞治の持つシーズン55本の記録更新も完全に射程圏内に収めたと言っていいだろう。

 その王が監督を勤める福岡ダイエーが、奇しくもローズの53号を生み出す時の対戦相手となった訳だが、記録回避のために無様な敬遠を繰り返すような真似は全くしなかった。

 もっともダイエーと近鉄は、目下西武を含む三つ巴の首位攻防の真っ只中で、後ろに4番中村紀洋が控えている状況ではローズをおいそれと敬遠できなかった事情もあるとは思う。
しかしそのへんの事情を勘案しても、王監督とダイエーバッテリーの潔い態度は賞賛されてしかるべきだろう。

 んで、当事者同士の潔い対決態度が快いこの対戦に、水を差しまくる男がいるので嫌になる。元日本テレビアナウンサーの徳光和夫だ。
「ローズのような、私が生まれも育ちも知らないバッターに、王さんの偉大な記録が破られてしまうのかと思うと複雑な心境になる。」
聞いたか、おい・・・・。すっかりサイコ巨人ファンとして定着した観のある徳光和夫だが、このへんの台詞は痛すぎる。

 53号を放った9月9日には、
「敬遠敬遠の連続の中で55本を放った王さんと、勝負を避けないピッチャーばかりのパリーグのローズとでは、同じ本塁打数でも価値が違う」
とまで、のたまった。

 これ、どう思う?
 敬遠敬遠だらけだったってことは、よっぽど後ろを打つ打者がヘタレだったんでしょうね?。王の後ろの打者が脅威であれば、そう簡単に敬遠はできないはずですからなあ。現に、ローズの後ろを打つ近鉄の4番は3割3分、40本塁打超の中村紀洋。これではローズとの勝負を避けることはなかなかできんでしょう。

 当時、巨人で王の後ろを打ってた人は誰でしたっけ。確か、N島S男さんとかおっしゃった気がするんですけど。よっぽどタコだったんでしょうねー、その人。
 
 王を賞賛するあまり、却って自分が最大限崇めている人物を結果的に貶めている。

さらには、「勝負を避けないパリーグのピッチャー」と、まるで逃げないピッチャーを非難するような口ぶりだっかが、その「勝負を避けない」采配をしていたのが他ならぬ王貞治ではないか。

王の態度は非常に立派なものだと感じていたが、徳光様はそれがいたく御不満らしい。

 結果的には王に対しても難癖付けている。

長島を侮辱、王を非難。こんな奴が代表的な巨人ファンとして、TVでのさばってていいんですか? 巨人ファンの皆さん。
 
 

増補

 9月30日、既に優勝を決めた大阪近鉄バファローズと、福岡ダイエーホークスとの間で福岡ドームにてこのカードの最終戦が行なわれた。
 ローズは既に55本を放ち、記録更新に王手をかけている。残り試合は3、果たして56号が飛び出すのかどうか、興味の焦点はそこに絞られた。

 結果、ローズに対してダイエーの田之上―城島のバッテリーは、ほとんどストライクを投げず、1打席、2打席と四球になった。
 業を煮やしたローズが、3、4打席はボール球を強引に打ちに行って凡退したが、非常に後味の悪い結果となった。

 「ローズと勝負をするな」という指示を出したのは、バッテリーコーチの若菜らしい、王は試合後に「私は勝負をするなとは言っていない。」との弁明を出した。
16年前、阪神のバースが54本を打って巨人戦に挑んだ時も、敬遠敬遠の連続で非難を浴びた。その時も巨人監督だった王は、今回と全く同じセリフを残している。
王が「勝負をしろ」と言わなければ、コーチや選手は気を遣って勝負をしないのは当たり前、王のへたれっぷりが際立つ試合であった。

 若菜は、「ローズはいずれアメリカに帰る選手。そんな選手に王監督の記録を破らせたくない」とまで言ったそうだ。若菜は16年前阪神の選手だったが、同僚のバースが敬遠されるのを、嬉々としてベンチから見ていたとでも言うのだろうか。

 同じ日、アメリカではイチローが1シーズン安打数の新人記録を塗り替えた。観客は、イチローをスタンディングオーベーションで祝福した。
無論、アメリカには、「イチローはいずれ日本に帰る選手。そんな選手に大リーグの記録を破らせたくない」などとのたまう御仁は存在しなかった。

 記録達成のためにローズを1番に据えた近鉄の態度もどうかとは思うが、過去の記録に固執してローズをボール攻めにしたダイエーの態度は、いまだ日本のプロ野球に下らない悪臭もとい悪習が残ることを証明してしまった。

 他の四球団が曲りなりにも勝負を見せてくれただけに、ダイエーと王のへたれっぷりが際立ってしまった。流石に徳光風情が持ち上げるだけの男ではある。
 
 

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