大した事のない特集、第十八弾!!(04.07)
 

新潟および福井の集中豪雨に関するマスコミの対応

 2004年7月、新潟は三条市を中心とする広い範囲において、集中豪雨による河川の氾濫があり、数万世帯に避難命令もしくは避難勧告が出た。多くの家々で床下、床上の浸水が発生し、土砂や水かさを増した河川を起因とする死亡者も発生し、甚大な被害を与えた。

 つづいて同じような集中豪雨が、福井県福井市でも発生し、市の中央を流れる足羽川の堤防が決壊、土砂を含んだ河川水が大量に市中に流入し、これまた数万世帯に避難命令&勧告が出て家屋の浸水も広大な範囲に広がった。

 この2件で感じられた事は、県外に住み、当地に縁戚がいるものにとって最も必要な現場の安否や情報が、マスコミ報道からはほとんど入手できなかったという事である。

 両水害とも被災者数は万人を超え、潜在的に十万人以上の被害を抱える大災害であったのだが、最も情報発信の責を追うはずの各放送局は、通常番組を流しつづけ、情報を視聴者に全く与えなかった。

 特に酷かったのが福井県の時で、情報を知る最大の手がかりである報道番組では、全てのキー局で拉致被害者曽我ひとみさんの夫、ジェンキンス氏の来日報道一色に塗りつぶされていた。

 某民放では報道番組の冒頭より数十分全てジェンキンス報道で通貫し、あまつさえ移動するバスにヘリからの空撮を付けて追いまわす始末だった。

水害報道は番組後半で1分以内に追いやられ、被災地区の範囲や実際の浸水状況など、知る手がかりは皆無と言ってよかった。NHKが7時のニュースで多少マシな報道をしたものの、それでも現地の状況を良く捉えていたとは到底言い難い。

 これが首都圏の水害だったら、通常番組やジェンキンスさえぶち抜いて大騒ぎをする癖に、地方都市だと所詮こんな扱いである。
 首都圏の方が人口が多く、与える影響範囲も大きいとはいえ、ここまで扱いに差が付けられると一層すがすがしいくらいの気分だ。
 

 小生は福井市に実家があり、現地の情報を最も欲していた人種の一人なのだが、現地の情報をマスコミ報道で入手することはついぞ無かった。BSハイビジョンのデータ放送などでも適当な情報しか流れておらず、現地の被害を伝える具体的報道は皆無だったといっていい。

どの局もどの局もジェンキンスジェンキンスジェンキンスジェンキンス曽我曽我曽我曽我曾我である。

 無論拉致被害者の動向は国民の関心事でニュース性が高いのは重々承知の上であるが、それにしても病院に運ばれる爺さん一人にヘリを飛ばしてバスを追跡するまでやらかすような必要性が一体どこにあるのか、さっぱり分からない。
 

 マスコミの怠慢はキー局だけに止まらない。福井の地方放送局たるFBCは、堤防が決壊し土砂を含む水が市中住宅地にどんどん流入している緊急事態にあって、「渡る世間は鬼ばかり」を放映しつづけた。
 間に一回、水害の緊急報道を挟んだかと思えば、再度ドラマの続きを放映し始める念の入れようである。
 もう、何をか言わんや、はっきりいえば単なる馬鹿、間抜け、阿呆である。

 結果的に一番情報入手に役立ったのが、インターネット上に存在する掲示板や各地方自治体の運営するWebサイトの広報であった。
 当地の人が現場の状況をデジカメ等に納めてネット上にアップロードし、具体的な被害状況をリポートする。自治体のWebではリアルタイムに避難勧告&命令の出た地区を報せ、ケーブルTVと提携して現地の動画をネット中継した。
 

 最近マスコミによってネット社会へのバッシングが大きいが、マスコミの機能不全を見るにつけ、説得力を欠く事甚だしいものがある。
 役に立たない機関が既得権益を守ろうとするために役に立つ新しいモノを誹謗中傷しようという行為は、マスコミがいつも批判している官僚や族議員と全く同じように(普段正義感ぶってるからそれら以上に)醜く、情けなく、みっともないものがある。
 

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